2012/12/31

ブルー・バード (1979) <未>

Blauvogel (1979) ★★★★

18世紀半ば、アメリカ大陸をめぐるイギリスとフランスの戦いでイギリス側の開拓者としてインディアンが住む未開拓地にやってきたラスター家の話。二男のジョージ(Robin Jaeger)はあるときインディアンにさらわれてしまう。ジョージは終始インディアンたちの生活に合わせて上半身裸でいる。ちなみにインディアン(ネイティブ・アメリカン)のことをRed Manというらしい。白人、黒人ならぬ、赤人。そのためさらわれるとすぐ服を脱がされて黒いものを全身に塗られ、皮膚を赤くされていた。「蠅の王」のような少年たちの露出度が高い映画だった。

実際のインディアンもこの映画に出てきたようなパンク・ロッカーみたいなモヒカン頭をしていたのだろうか。普通の役者がインディアンを演じているのでインディアンというよりは、インディアンのコスプレをしたような人たちになっていた。インディアンのところに連れてこられ、初めのころはまるで敵に囲まれた捕虜のような気持でいたジョージは、逃げ出そうとするのだが、狩りに行ったりしてそこでの生活に慣れてくると、ジョージは鏡に映ったインディアンの衣装を纏った自分の姿を満足そうに眺めていた。結局大人になるまでその集落で暮らし、その頃には自分が何者なのかわからなくなってしまう。戦争が終わり、かつての家族のもとに一度は戻るが、父親の葬式の時に家族に背を向けどこかへ歩きだしてしまう。

2012/12/29

アナとオットー (1998)

Los amantes del Círculo Polar (1998) ★

不思議な雰囲気漂うラブストーリー。このようなシチュエーションは以前にもジャコ・ヴァン・ドルマン監督の「ミスター・ノーバディ」で見た。少年期、青年期の時間軸が交錯していくあたりや、子持ちのカップル同士がくっついて、彼らの息子と娘が愛し合うようになるあたりが似ている。両親に隠れて同じベッドで一晩を過ごすというシチュエーションに「ミスター・ノーバディ」でもこれでもドキドキした。お互いの話になるときに“Otto” “Ana” の文字が浮かび上がってくるのが印象深かった。序盤から中盤あたりまではその不思議な雰囲気のおかげで目が離せなかったが、終盤オットーが家を出て行ったあたりから退屈になりはじめ、最後あたりは1.5倍速で流し見していた。良さげな映画だけれどラブストーリーとなるとどこか冷めた見方をしてしまう。男女の恋愛は難しい。


2012/12/25

エクスプロラーズ (1985)

Explorers (1985) ★★

少年3人が宇宙に行くという話。主人公のベン (Ethan Hawke) は夢で不思議な回路を目撃する。はっと目覚めて見たものをノートに書き写す。それを友達のウルフギャング (River Phoenix)に無線で報告する。実はこの映画にリバー・フェニックスが出演していてウルフギャングがそうだった。「スタンド・バイ・ミー」では頼れるリーダー的存在のクリスを演じていたが、この映画では機械いじりが好きな地味なオタクを演じていたので途中めがねを外すまで全く気づかなかった。それからベンが夢で見たものを元にしてウルフギャングがなにやらプログラミングをし、不思議な力を発見する。それを使って宇宙船を作り上げる。ここら辺のくだりは?だったがそんなことはどうでもよくて、とにかく夢と希望に満ちた宇宙へ行けるのだ。意外とわくわくしながら観ることが出来た。やっぱり宇宙の存在は人類に夢と希望を与えてくれると思う。この映画を見てわくわく出来たことが嬉しかった。これからはもう少しSF映画を見る機会を増やしていこうかな。

2012/12/22

ブラジルから来た少年 (1978)

The Boys from Brazil (1978) ★★★★

この映画にはほとんど少年が出てこなかった。でもとても面白かった。

クローン技術を用いてヒトラーを復活させようとするDr. メンゲルを阻止するという話。内容の核心はそういうことだが、中盤までは何が起こっているか分からず、異常に青い目をした姿形が全く同じである子供があちこちで発見されるなど、そういった不可解な謎のおかげで最後まで引き付けられた映画だった。ヒトラーといえば歴史上でワースト1と言ってもいいぐらいに悪人と思われている人物だと思う。でも実際のところヒトラーは人よりはるかに多くのことを考えていて、それらを踏まえてのあの結果に至ったのだと思う。何も知らないのにヒトラーという名前を聞いただけで極悪人と思い込んでしまうのはどうなのか。

2012/12/21

ぼくのともだち ドゥーマ (2005)

Duma (2005) ★★★

あまり面白いと思う映画ではなかったが、劇中のザン少年のように家を飛び出して学業も一旦放棄し、動物を連れて大自然の中を旅するという体験は、普通に授業を受けているよりはるかに貴重なものになっただろう。そんなのに憧れる。
群れからはぐれたチーターの赤ちゃんを拾ったザン (Alex Michaeletos) はそのチーターをドゥーマと名付け、父親とともにアフリカの広大な農場で育てる。しかし、冒頭からあっさりと父親は死んでしまい、ザンと母親は農場を離れ都会に引っ越すことになる。それを機にザンはドゥーマを自然に帰すため、父親とドゥーマを拾った場所を目指して旅に出る。

転校したばかりのさっぱりしたザンの制服姿が、ドゥーマとともに荒野を進んでいくうちに茶色く汚れていき靴も穴があいてボロボロになっていく。ドゥーマはどちらかというと情けないチーターで、その俊足を生かしても獲物を捕らえきれず、空腹なザンの期待に応えることが出来ない。

ベニス (2010) <未>

Wenecja (2010) ★★★★

英題 “Venice”(ベニス)。以前にIMDbの"The ultimate coming of age movie list"に載っている "10 1/2 " について書いたが、この "Wenecja"もそのリストの10番目に載っている。

アンティーク調の映像がきれいだった。哀愁的な音楽もそれにマッチしている。タルコフスキー監督の作品に通じるものがあって、水を張って作りあげた架空の町「ベニス」を舞台に少年がバイオリンを演奏するシーンは完全に「ローラーとバイオリン」を思い出させた。

第二次世界大戦中のポーランド。11歳のマレク (Marcin Walewski) は田舎にある叔母の屋敷に疎開させられる。男たちは招集されてしまい、残された女性たちとその他の子供たちは空襲に怯えながらもとても立派な屋敷で生活している。マレクにとって一番の関心ごとはベニスだった。美しいはずのその都市に行けば状況が変わるはずだった。戦争は一人一人に大きな傷を残していった。

2012/12/15

少年の町 (1938)

Boys Town (1938) ★★★

これはとてもいい映画だったからこれからも覚えておこう。貧しさのせいで犯罪に走ってしまう少年たちを救うため、フラナガン神父は助けを必要としている少年たちを集め、彼ら自身で治めさせる「少年の町」を作り上げる。現実的に考えたらあんなにうまくはいかないだろうと思いながらもとても楽しめた。不良ホワイティーもその町にやってきた一人で、彼のキャラクターが良かった。初めは少年の町を馬鹿にしていたが、次第に彼の考え方は変化していき皆の支持を得て少年の町の市長に選ばれる。古い映画の俳優の演技は最近のと比べるとかなりオーバーだと思う。サイレント時代の名残とかなのかな。とても面白い映画だったので、そのまま続けて同じディスクに収容されていた「感激の町」も観た。こっちも面白かったが、デイブ・モリス役の俳優変わっていたことに違和感を覚えた。あと、ホワイティーたちが心を閉ざした少年テッドを笑わせるために行ったコント「スロー再生レスリング」のシーンはすこし長すぎたかもしれない。面白い映画だっただけにそのコント分に上映時間が削られていくのが惜しい気がした。しかもあんなに大勢の前で笑うことを期待されてもテッドは変に気を使ってしまうと思う。

2012/12/14

10歳半 (2010) <未>

10 1/2 (2010) ★★★★★

カナダの映画で仏題は “Dix et demi”。海外ではComing of Age Film という思春期の子供を映し出す映画ジャンルが確立している。カナダにはそのジャンルの良質な映画が多い気がする。この映画は IMDB の "The ultimate coming of age movie list" (究極の思春期映画リスト)の4番目に挙げられるほど高い評価を得ている。ちなみに1番目は知る人ぞ知るBL映画“Du er ikke alene”。

10歳のトミー(Robert Naylor)がポルノを見ながらオナニーしている場面から始まった。ちなみに ”Wild Tigers I Have Known“ という映画もそのような行為から始まる映画だった。ポルノの影響もあってトミーは自分より小さい男の子に自分のもの口にくわえることを強制する。そのせいでトミーは更生施設送りとなる。トミーの両親はどちらも育児放棄状態で彼には身寄りがいないも同然だった。施設でトミーのエデュケーターとなったギルは彼の凶暴性に頭を悩ます。トミーだけでなくほかの子供たちも凶暴なので無線を持ったガードマンが常に施設内を巡回している。トミーは何度も暴れて大人たちに押さえつけられ、監禁部屋に入れられる。

問題を抱えた思春期盛りの子供たちの様子が観れる映画だった。食事のときにマナーが悪いと1だけ離れた机に移動させられるのだが(同じような罰が小学生の時にあった)子供たちはそれを無性に嫌がる。不良であってもみんなと同じテーブルで食べたいのだった。性についても興味を示す。胸の大きい女性が自分の担当になると「お前いいな」という話になったり、トミーなんかは話があると言って女性の目の前で壁に股間をこすりつけ始める。

トミーは何度か施設を抜け出すが結局外にも行くところがないのだった。父親を尋ねれば今度は容赦のない暴力で押さえつけられ、母親はドラッグのやりすぎで精神病院のようなところに入れられていた。子供を育てるには相当の覚悟が必要だ。トミーを演じたのはカナダの俳優ロバート・ネイラーくん (Robert Naylor)。 見ているこっちまで恥ずかしくなるような演技をやってのけている。

沼地の悪魔 (1974) <未>

All the Kind Strangers (1974) ★★★

aka "Evil in the Swamp" 「沼地の悪魔」。意外に有名な俳優が演じている映画だった。主役は「アメリカン・ヒストリーX」「ボーン・レガシー」にも出演している当時はとても若いステイシー・キーチ。

車を走らせていたジミー(ステイシー・キーチ)は道で大きなバッグを持っている子供を見つけその子を家まで送り届けてあげることにする。雑草の生い茂った道なき道を案内され、たどり着いた家には両親を亡くして自分たちで生活する6人の子供が住んでいた。子供のほかに「ママ」と呼ばれる女性がいたが、その女性もジミーと同じように道で子供を車に乗せてしまったことで、連れてこられた赤の他人だった。子供たちはあって間もないジミーのことをすぐに「パパ」と呼びはじめ、そのことに驚いたジミーはこの家が異常だということに気付く。

ホラー映画に子供はよく出てくる。純粋だからこそ恐ろしさが増すのだと思う。「ザ・チャイルド」という映画もこれと似たような話だった。子供しかいない町に入り込んでしまったカップルが子供たちによって殺されかけるという話だった。この映画でも子供しかいない家の中でジミーとキャロルが彼らによって監禁される。家の周りには獰猛な犬が何匹も放たれていて家から逃げ出そうとすると追ってこられる。犬から逃げきったとしても子供たちのリーダーであるピーターが必ずショットガンを持って先回りしている。あまり子供が活躍する映画ではなかったけど、子供たちのうちのギルバート、ジェームズ、ベイビーはブロンド美形三兄弟だった。そんな3人が登場するというので見た映画。

2012/12/11

わが谷は緑なりき (1941)

How Green Was My Valley (1941) ★★★

古い映画だけどDVDになっている。炭鉱で働く男たちとその家族の話。末っ子のヒュー(Roddy McDowall)を除いて家族の男たちはみな過酷な労働環境の炭鉱で働いている。ヒューは事故にあってしばらく寝たきりになってしまうが奇跡的に回復。家族で唯一学校に通うことになるが、炭鉱で働く一家の出身だということでいじめにあう。それでもヒューは首席で学校を卒業。しかし炭鉱で働く兄たちにあこがれていたのでエリートの道に進まず、兄たちと一緒に炭鉱で働くことを選ぶ。そんな選択をしたヒューのように今の時代でも優秀な人が責任を負う仕事に就く必要はないと思う。映画の中のお父さんは優秀なヒューが炭鉱で働くことを「宝の持ち腐れだ」と言っていたけど、それよりもお母さんが言っていた「よい人間なら私は満足よ」という意見のほうに賛成だった。家族の置かれた状況は結局ラストになっても良い方向に向かわなかった感じがしたけど、それだけ家族の絆が強かったように思った。この映画を見て何がいいかは分からないなと思った。自分で選んだ道に進むのが一番いいのかもしれない。

デイビッド・コパフィールド (2000) <未>

David Copperfield (2000) ★★★

チャールズ・ディケンズの小説「デイビット・コーパーフィールド」は今までに何度か実写映画化されてきている。特に「孤児ダビド物語」が一番知られているものではないかと思う。フレディ・バーソロミュー (Freddie Bartholomew) はその作品で映画史に名を残す子役となった(適当)。しかし今回はその「孤児ダビド物語」ではなく、2000年のTVムービー「David Copperfield」の紹介。この映画の見どころはデイビット役の子の異常な可愛いさ。散々な目にあってきているとは全く思えない。他の映画と同じようにこの映画のデイビット(Max Dolbey)も散々苛められるのだが、そのすぐあとのシーンにはけろっとした表情に戻っていて本当に苦しんでいる感じが伝わってこなかった。でもそういった子役の詰めの甘さ?は観ていて面白い。逆に「アイ・アム・デビッド」、2005年公開の「オリバー・ツイスト」などは全編通して子役が暗い表情をしすぎではないかと思った。

2012/12/10

ぼくと天国のママ (2006) <未>

Wer früher stirbt, ist länger tot (2006) ★★★★★

日本未公開の映画でも気に入ったものについては記事にしていきます。

この映画の英題は” Grave Decisions” そのまま訳すと「重要な決定」?「死の判決」?日本語でタイトルを付けるとなると難しい。内容は人の死に関するものだけれどポップな感じでコメディっぽい。この映画が日本でDVDスルーにでもなるとすると「ぼくと天国のママ」みたいなシンプルな感じになりそう。ちなみに少年が活躍する映画には「ぼくと・・・」「ぼくの・・・」から始まる邦題のものが多いと思う。
11歳のセバスチャンは自分が生まれると同時に母親が死んでしまったことをあるとき兄から聞かされる。セバスチャンは悩み、家族ぐるみで営むバーにやってくる客たちに相談する。まともにアドバイスをしてくれる人がいたり、元気づけるために冗談っぽいアドバイスをしたりする人もいる。様々な人々とのふれあいを通じて死について考えていくセバスチャンの話。

思ったことはすぐに行動に移してしまうような少年だった。電気ショックを与えることで息を吹き返すことがあることを知ると、死んだウサギの死骸で試してみる。それで衝撃が強すぎて実験台になったウサギの死体はこなごなになってしまう。死なずにずっと生きていたいと思っているセバスチャンは、そのことを大人に相談し、子供を産んで遺伝子を残していけばずっと生きていられるよと教えられる。セバスチャンはさらに、そのためにはどうすればいいのかを真剣に質問する。答えに困った大人たちは「バービーちゃん(女性)に近づいて、やさしく耳を噛んで、やらないか?と囁けばいいんだよ」というようなことをセバスチャンに吹き込む。セバスチャンはそれを学校の先生に対して実践してしまい、父親は学校に呼び出される。また、ロックスターのようにギターを弾くことが出来れば後世に語り継がれていきずっと存在していられるというように思い、夜更かししてギターの練習に励む。そのせいで学校の授業はずっと居眠り。

セバスチャンを演じたのはドイツの俳優マルクス・クロイヤー (Markus Krojer) 君。真っ直ぐな瞳がきれいな子だった。ぽっちゃりしていて、それと着ているTシャツが少し短いというのもあって、お腹がちらちら見え隠れしているのが可愛かった。この映画の4年後に日本でも公開された「ヒマラヤ 運命の山」に出演している。

2012/12/09

パパは、出張中! (1985)

Otac na sluzbenom putu (1985) ★★

フィルムのノイズフェチの人にはたまらない映画だった。DVDだというのに映像にはかなりの乱れがあってしかも暗くて見にくかった。似たような雰囲気のものに「動くな、死ね、甦れ」「自由はパラダイス」「パパってなに?」などのロシアの映画がある。どれも抑圧された環境におかれた人々の生活がチープな映像で映し出されている。これはユーゴスラビアの映画らしいが、それらのロシア映画で見られるようなキリル文字っていうのか例の不思議な形をした文字や自由の利かない生活を送っている人々など共通しているものがいくつかあった。タイトルにある通りにお父さんが出張に行く話ではなく子供たちにはそう説明しているというだけなのだが、内容を何も知らない状態で見たのでこっちまで映画の中の子供たちと同じようにお父さんはどこに行ったのだろうと思いながら見ていた。見終わってから調べてみると、当時のユーゴスラビアは少しでも反社会的な行動をするとこの映画のパパのように強制労働所送りにされてしまったらしい。実際はどの程度だったのか分からないが少なくともこの映画では少しマンガの感想を言っただけで施設送りにされてしまっていた。

少年は残酷な弓を射る (2011)

We Need to Talk About Kevin (2011) ★

これについてはずっと日本の映画だと思ってた。パッケージの人物も見た目は日本人だし、邦題もいかにもつまらない日本の映画って感じ。邦画は基本見ないのでこの映画を見る機会は今までなかったが、そうではないことに気付いて見てみることにした。でもそのまま見ないでおいてもよかったかもしれない。アートな感じを押し出しているような映画だったけど、それが鼻についた。こっちは何が起こっているのか気になっているのに下手すれば自己満足になりかねない場面ばかりがちらちらと映されるのでとてももどかしかった。一度面白くないと思ってしまうとその後の展開を素直に楽しめなくなってしまうように思う。この映画の場合もそのパターンに陥ってしまったかもしれない。ラストになってやっと何が起こったのかはっきりと分かるけれど、結局それはおまけみたいなもので、面白かったのはそれに至るまでの悪魔のような少年と母親のやりとりだった。うんちをしたおむつを替えてもらった直後に、わざとまたうんちをするような子供だった。

2012/12/08

午後の曳航 (1976)

The Sailor Who Fell from Grace with the Sea (1976) ★★

三島由紀夫原作の映画。とは言ってもキャストはすべて海外の俳優。三島由紀夫の小説はちゃんと読んだことないけど何となくゲイっぽくて汗臭いイメージを勝手に持っている。この映画の中で主人公のジョナサン(Jonathan Kahn)が母親の裸を壁の穴からじっとのぞいて汗をにじませている場面があったが、まさにそんなイメージだった。あらすじには船乗りにあこがれる少年の話だと書いてあったので、それだけを見てさわやかな映画を想像していたが全く違った。少年たちのグループのリーダーであるチーフ(Earl Rhodes)は仲間たちを名前では呼ばず番号で呼ぶ。メンバーが少しでもふざけた振る舞いをすると大声で罵倒する。早熟で頭のまわるチーフには太刀打ちできず、番号で呼ばれるメンバーたちは彼に従うほかなかった。次第に彼の言葉や行動はすべて正しいものだと思い込むようになり、猫に睡眠薬を飲ませて解剖するときも、始めこそはみな困惑していたが、猫を解剖しながら語るチーフの哲学を聞かされているうちに彼らの表情は好奇心を含んだものに変化していった。最終的に、暴走した少年たちはジョナサンの憧れであったはずの船乗りのジムに猫にしたのと同じように睡眠薬を飲ませ処刑を実行する。そんなラストを迎える陰気な映画。

2012/12/02

夜のたわむれ (1966)

Nattlek (1966) ★★★

白黒でおしゃれな映画だった。女優が美人だったし屋敷も立派で装飾品も高級そうなものばかりだった。しかしそれらは主人公の男に悩んだ子供時代を思い出させるのだった。過去の回想と現在とが交互に映し出される。最後には屋敷に招待した客に家の物を好きなだけ持って帰っていいと言って、空っぽになった屋敷を破壊する。でもそんなストーリーはどうでもよくて、この映画の見るべきところはエロチックな雰囲気を漂わせるマザコンな少年。寝る前にお母さんが履いていたスカートの裾のにおいをくんくんしたり、口にくわえたりしていた。ベッドの上でお母さんに本を読んでもらっているときにはお母さんの足を愛おしそうに眺めながらシーツの下でシコシコする。そのオナニーはばれてしまいひっぱたかれてシーツを剥がされる。気品のある少年だった。いいとこの子だから着ているものもおしゃれ。化粧して女装もする。演じたJörgen Lindströmという子役は同じ年に公開した「沈黙」という映画にも出ているらしいので機会があったら見てみたい。でも役名が「だれだれの息子」みたいな感じなので脇役だと思う。

ブリキの太鼓 (1979)

Die Blechtrommel (1979)  ★★★★

昨日見た「1900年」もとんでもない変態映画だ!というような評判だったけど、この「ブリキの太鼓」に比べたら全然普通。それぐらいこの映画は衝撃だった。主役の子の目力がすごかった。わざと目を見開くように言われていたのかそれとも元からあんな目をしているのか、とにかく狂気じみた感じだった。大人になるのが嫌だと言って自分の成長を止めることができるし、奇声を発してガラスを割ることもできる。タイトルにもなっているブリキの太鼓をなぜかずっと抱えていて、所構わずぼんぼん叩く。この少年何をするかわからない。そんなことさせて大丈夫なのか?と思うシーンかいくつかあった。成長を止めたので全編通してずっと3歳。演じているダービッド・ベネントは当時それより少し大きいぐらいだと思うけど、そんな小さい子が裸の女性の股間に顔をうずめたりしていた。所々にグロテスクなシーンもあった。海から引き揚げられた死んだ獣の口や耳などからウナギが何匹も出てきたり、オスカル(主役の少年)の母親の気が狂ってイワシやニシンなどの魚をひたすらくちゃくちゃ食べたりするシーンとか。ナチスの赤と黒の卍の旗が画面いっぱいに掲げられていたのも不気味な感じだった。意味の分からない映画だった。オスカルはなぜ成長しなかったのだろう。

2012/12/01

1900年 (1976)

Novecento (1976)★★★★

地主と百姓の戦いの話。5時間以上もあって半ば退屈になりながらも一気に全部観た。この「1900年」についてはとにかくとんでもない変態映画だと聞いていた。”1900年 映画”と検索してみると「珍場面ブログ」というちんこが映る映画とかを紹介しているブログを発見した。そのブログによるとこの映画には少年がちんこの皮を剥こうとするシーンがあるらしかった。そして実際にそのシーンを観た。全裸になった少年(画像)が自分のちんこをいじっていた。その横で友達もそれをまねてた。ちなみにロバート・デ・ニーロも全裸になるが、彼の股間にはモザイクがかけられている。他にも別の少年が男にレイプされそのあとジャイアントスイングをかまされ殺されるというひどいシーンもあった。そんなひどいことをする役を演じていたのはドナルド・サザーランド。他にも彼は猫を縛り付けて思い切り頭突きを食らわすという異常なこともしている。とても長い映画だったけど見てよかった。思ってたよりはまともな映画だった。今時の日本にあんな熱い思いをもって生きている人はいるのだろうか。ああいう熱い時代を生きてみたいという気持ちも少しある。

2012/11/30

大いなる勇者 (1972)

Jeremiah Johnson (1972) ★★★★

あらすじ
文明の中での生活を捨てて山に向かう男の話。凍結した死体から得た銃を使って獲物を捕らえながら、山に住んでいるインディアンたちともそれなりに友好な関係を築いていく。そんな中、男は山を進んでいくうちにインディアンに襲われた白人一家のもとに行き着く。子供たちは殺され、母親はその場で気を狂わせており、唯一残された息子もショックで口がきけなくなっていた。男は口のきけなくなった少年を母親から強引に押し付けられ、仕方なく少年を連れて行く。そんな二人はあるときスキンヘッドの男と出会い、インディアンへの復讐につき合わされることになる。そしてインディアンの一味を倒してしまうのだが、そのことによって男は倒した一味と争っていた別のインディアン集団の長から気に入られ、お礼として娘を授けられることになる。断りきれずに男はその娘を連れて行くことにする。初めはあまり会話もなかったが、ともに生活していくうちに男と少年と娘の三人の間には本物の家族のような信頼関係が生まれる。しかし安泰な日々は続かなかった。男が留守のうちに娘と少年はインディアンの襲撃を受け、2人とも殺されてしまう。絶望した男は、インディアンの集団に一人で乗り込んでいき、仕返しを果たす。それ以降、インディアンに命を狙い続けられる男の孤独な戦いが続いていく。

あまり知られてないのか不思議なくらい良い映画だった。主役の男がかっこよかった。髭を剃ってしまうより生やしていたほうがかっこいいと思った。少年は喋らないし殺されてしまうので、ほとんど活躍しなかった。


2012/11/28

ラッキー・カフェ (1989)

Queen of Hearts (1989) ★★

ロンドンのイタリア街に住んでいる家族の話。幸せそうな家族が半ばバラバラになりかけて最後には幸せに戻る。その家族のお父さんはギャンブルで大勝ちしたお金で「ラッキー・カフェ」という喫茶店を始めるが、主役の子のお兄ちゃんである長男はそんな細々した生活に嫌気がさし、悪い奴の手先になってしまう。お父さんはその悪役にギャンブルで勝負を挑む。しかし今度は大負けしてしまい、お金も店も奥さんも、何もかも奪われてしまう。しかし最終的にイカサマ競馬で大勝し、幸せになるのだった。
いい話だったけど微妙な映画だった。悪い奴がやられすぎだと思った。フィアンセをとられ、最後も負ける。この映画の気に入った場面は、靴下が見つけることの出来ない少年がお父さんに言われた冗談を鵜呑みにして新聞紙を靴下代わりに履いていく場面と、拳銃をもって悪い奴のアジトに乗り込んでいく場面。納得いかなかったのは最後の競馬の場面。おじいちゃんのお告げというなんの根拠もないもので低い確率を的中させてしまったし、そもそも始めの賭けから無効ではないのかと思った。

2012/11/27

ブッチャー・ボーイ (1997)

The Butcher Boy (1997) ★★★

レンタルしてきたこのビデオに貼ってあるシールに異常心理犯罪って書かれている。この映画のジャンルが書いてあるのかな。見る前から不気味な感じだった。実際に見てみると頭がおかしくなっていく少年の話だった。

ジョーとフランシーはかなりの悪ガキ。ジョーはまだ可愛げがあるけどフランシーはブタ。自分でも自分のことをブタと言っている。気に入らない気取ったマダム、学校で彼が苛めてる生徒のお母さん、が道を歩いていると「通行料よこせ。税金おさめろ」と言い寄る。彼の唯一の友達ジョーも次第にきちがいじみた彼とは距離を置くようになっていく。フランシーはそのことに気付きとてもショックを受け、自分の大切なものを奪われていくのはすべて例のマダムのせいだと思い込むようになる。母親が自殺し、父親も病気で死んでしまったフランシーは実際不幸な子供なのだろうけど全く同情の気持ちは湧いてこなかった。マダムの家に勝手に入って、めちゃくちゃにした挙句、口紅で壁中にPIGと書きまくり、しまいには床にうんこをこいたりするから。それが原因で施設に入れられるのだが、彼は神父が自分をレイプしようとしたことにうまいこと見せかけ脱出すると、再び街で暴れる。ブタの肉を扱う精肉屋でバイトを始め、その時使う大きな包丁を持ち出し、例の憎きマダムを切り刻んでしまう。

気持ち悪かったけど面白かった。フランシーの行き過ぎた意味不明な行動には思わず笑ってしまった。主役のフランシーは全然だけど、親友のジョーは控え目にしていれば可愛い少年だと思う。後半は性格もまともになって、完全にフランシーとは違う人間になる。

2012/11/26

人生は長く静かな河 (1988)

La vie est un long fleuve tranquille (1988) ★★★★

このブログでは鑑賞した映画の感想などを綴っていこうと思います。映画「スタンド・バイ・ミー」に感動してからというもの、少年が登場する映画を見るようになりました。文章を書くのに慣れていないので読みにくいかもしれませんが、少しずつ慣れていきたいと思います。

ある看護師が腹いせのために、生まれたばかりの貧困層と裕福層の赤ちゃんを入れ替えてしまうという話。主役の子はフランス出身の有名な俳優であるらしいブノワ・マジメル。赤ちゃんが入れ替わるというような話は「トト・ザ・ヒーロー」でもあった。貧乏な家庭で育ち、あとから裕福な家庭の子だったと発覚した方が主役のモモ(Benoît Magimel)。彼はお金持ちの家に移ることになったことをそこまで幸せだとは思ってない。入れ替わりが発覚し、家族全員が唖然とモモを見つめる場面での「お金もらえるじゃん」の彼の一言が良かった。その後、家から盗んできた銀の食器などの高級品を育った家庭に分けたりする。地元でモモはかるく英雄になっていた。一方、元々の裕福な家庭の子供たちは、モモを通して突然やってきた今までの自分たちとは別の生活に興味を持ち始める。シンナーを吸ったり女の子といちゃいちゃしたりする。利口に育ててきた子供たちのそんな姿を見た夫人はノイローゼになる。

シュールな映画だった。モモを引き渡す代償として大金を受け取った太って醜いおばさんが自分を着飾る服やアクセサリーを買い揃えるのにお金を費やしてしまうのが面白かった。そんなどうしようもない育ての親でもモモは愛していた。夜になると裕福な家のふかふかベッドの中で、涙を流すモモだった。