2013/01/27

チャーリーとパパの飛行機 (2005)

L'avion (2005) ★★★★

昨日の夜は寝れなくて、ベッドの中で物思いにふけっていたら、この映画が見たくなった。最近見ている映画と言えば、暗いものばかりだったので、この「チャーリーとパパの飛行機」みたいな夢にあふれたファンタジーは心にしみた。

主役のチャーリーを演じたロメオ・ボツァリス(Roméo Botzaris)君が可愛かった。セリフが多いわけではなく、登場人物も最小限に抑えてあって、静かに話が進んでいく。今回は2度目の鑑賞。初めて見たのは数年前だけど、チャーリーが夜空を飛ぶシーンはずっと覚えていた。

軍人のグザビエは別に悪者というわけではなく、家族に危険が及ぶということで、チャーリーの飛行機を回収しようとしていたのだが、それにしてはひどいやられようだった。「調査し終わったら返すよ」と言っているのに、チャーリーと母親はまるでグザビエが悪者であるかのように、彼を避ける。可愛そうなグザビエは飛行機に首をやられ、コルセットのようなものを付けていた。

この映画に似ていると思うものに「ハッダーの世界」「パパにさよならできるまで」がある。かつてからちょこちょこつけていた映画メモによると、どちらも★5つ評価なので、父親と息子の関係を描いたものが好きなのかもしれない。「父、帰る」「チャンプ」とかも好きだしな。

2013/01/26

好奇心 (1971)

Le souffle au coeur (1971) ★★

ルイ・マルという監督の映画。ツタヤに行くと監督別にDVDが並べられたりしてあって、いままでは映画を見るときに監督なんて気にしたことなかったけど、最近は少し参考にしている。ルイ・マルは「さよなら、子供たち」を撮った監督。

これもマザコン少年の話だった。最近よく見る。選んでいるわけじゃなくてたまたま。もう少し主役のBenoît Ferreuxが可愛かったらな。マザコン度はどんどんエスカレートしていって、ラストはお母さんとベッドイン。でも直接的な描写はない。この前のベルトルッチの「ルナ」のほうが過激だった。

ああいう兄貴たちがいたら楽しいだろうな。親がしばらく旅行で家を離れるとなると、すかさず女の子たちを家に招待してパーティーを催すし、娼館にも連れて行ってくれる。「ほうれん草テニスを知ってるか?」と、食事に出されたほうれん草を投げあう。

外国の子供たちは大人っぽくみえるので、お母さんに甘えるのがまだ許せる年頃だったとしても、マザコンに見える。ローランがお母さん以外に興味を持った女の子といい感じになったときの「経験はあるの?」「半分だけ」「どういうことよ?」「説明しづらいんだ」というやりとりが面白かった。兄貴たちに連れて行ってもらった娼館で、ローランが裸でお姉さんの上に乗っかっているころを兄貴たちに邪魔されたので半分と言っている。ジャズがよく使われていて、おしゃれだったけれど、面白くない映画だった。

2013/01/23

ぼくら、20世紀の子供たち (1994)

Nous, les enfants du xxème siècle (1994) ★★★

ヴィターリー・カネフスキー三部作の第三弾、「ぼくら、20世紀の子供たち」。子供たちの主張を代弁してくれている。ドキュメンタリー映画なのかな。もし「ブラザーズ・オブ・ザ・ヘッド」みたいなドキュメンタリー風に仕上げたフィクションだったら意味ない(あの映画にはしばらく騙されていた)というのも、わざとらしいと思う箇所があったりした。しかしすべては実際に起きていること。カンヌで2度の受賞に貢献したワレルカ役のパーヴェル・ナザーロフはその後、刑務所に入っていたのだった。「映画?また撮るの?出たいな」と、檻の中で言っていた。

自分の悩みなんて、どうでもいいことのように思える映画だった。施設に入るにあたって坊主にさせられた少年たちみんながカメラを睨みつけていた。それは映画を見ている観客にも向けられる。犯した罪について話をする場面では、子供たちが人を殺す状況について淡々と言葉で説明していき、監督はそれに「殺しのエキスパートだな」などと冗談を言い、その場に笑いが漏れていた。どうしてロシアはあんな状況になっているのだろう。街には小学生ぐらいの、いわゆる刑務所行き予備軍の小さい少年たちがたくさんいる。煙草を吸い、自分がやった盗みなどを誇らしげに話していた。こう言っちゃなんだけど、可愛かった。

2013/01/22

ひとりで生きる (1992)

Samostoyatelnaya zhizn (1992) ★★★★

「動くな、死ね、甦れ!」の続編。どういう話だったか説明しづらい。前作よりは、ラブストーリー色が強くなっていたように思えた。字幕をつける人によって、たとえ続編でも、人物の名前の表記が少し変わる。「ワレルカ」が「ワレールカ」になっていたし、「ガリーヤ」が「ガーリャ」になっていた。前作でガリーヤは殺されてしまったけど、ガリーヤの妹として、ガリーヤを演じた女優が再び登場していた。ワーリャという女の子で、ワレルカととても仲良がいい。恋人と言っていいのかどうかは微妙。2人をそう呼んでしまったら、生ゆるい話になってしまう気がする。

前作でワレルカがペットとして飼っていたブタも出てくる。「信じきった目をして、僕を見つめてきたんだ。僕は裏切り者だ。」映画の冒頭から、その豚は食べられるために切り刻まれてしまう。あのシーンは見れない人もいると思う。火だるまになったネズミが雪の上を駆け回るシーンなども驚きだった。

ワレルカのことを見る映画だったと思う。彼から学ぶことは多い。こうやって文章を書いてみると、見終わった時より、いい映画だったなと思えてきた。1回見ただけじゃだめな映画かもしれないな。

2013/01/20

ルナ (1979)

La luna (1979) ★★

「1900年」のベルナルド・ベルトルッチ監督の作品。ゲイっぽい描写が多くある。「1900年」でも、ロバート・デ・ニーロが裸になっていたし、この映画でも、少年が何度も裸になる。ただ、少年というよりは青年だったかな。わき毛は生えていなかったけれど。

ジョーはマザコンだった。母親も息子のジョーを溺愛していて、2人でディープキスをするほど。父親は事故で死んでしまい、2人はイタリアに引っ越す。そこでジョーはクスリを始めて、そのことに気付いた母親はジョーを叱るが、どういうわけか、叱られている最中にもかかわらず、ジョーはピアノを弾いて歌いだす。それで2人は笑顔になる。

クスリは怖い。母親はやめさせようとするのだが、苦しむ姿を見るのに堪えられず、ジョーにクスリを渡す。しかし針がなかったので、ジョーはフォークを腕に突き刺していた。「1日に2,3回打ってる。切れると我慢できない。寒気がして汗をかく。注射するとすべてが快適になる。」すっかりジャンキーとなったジョーは、ふらふらと街をさまよい、変態おじさんにお尻を掘られる。(たぶんそういうことだろう)

この映画も雰囲気を味わったり、行間?を読むような映画だったのかな。正直退屈だった。ラストがいまいち分からなかったし。母親とジョーがベッドで絡むシーンはドキドキした。母親に手コキしてもらうとかないわー

2013/01/17

盗まれた飛行船 (1967)

Ukradená vzducholod (1967) ★★★

アニメと特撮が合わさったような映画だった。CGもいいけどこういうのもいい。この映画を見て、そういえばチェコのアニメは日本でも人気があるらしいけど、こういう映画がチェコにあったからこそアニメが発達したのかなと思った。大人がはまるアニメらしい。1989年に社会体制が崩壊するまでのチェコスロバキアでは、著作権の関係でチェコ独自の映画ポスターが制作されていたらしい。「チェコ 映画ポスター」で検索すると変わったデザインのポスター画像がたくさん見つかった。

色の変化が斬新だった。人が死んだりするような恐ろしい場面では画面が赤くなったり、飛行船が嵐に巻き込まれるときには青くなったりしていた。5人の少年が当時の最先端技術を駆使してつくられたという飛行船を盗んで空を旅するのだが、少年たちによる空の旅ではなくて、どちらかというと町の大人たちの騒ぎようが話の中心だった。ただ、飛行船が島に墜落してからは、少年たちメインのファンタジーのようになる。せっかくネロ船長の潜水艦に招かれたのに、どうして少年は抜け出てしまったのかわからなかった。

2013/01/16

あなたのいないところで (2008) <未>

En tu ausencia (2008) ★★★★★

英題は"In Your Absence" いい邦題が思いつかない。この映画の監督は少年を撮るのがうまいと思う。この次の作品「Brecha」も同じような話。監督が同じだとはいえここまで似るのかと思うほど。

あらすじ(自作)
13歳のパブロは梯子に登り屋根の修理をしている父親を落下させて殺してしまうという悲惨な過去をもった少年だった。

ある日、パブロは田舎の山道で車が故障してしまい立ち往生しているパコという男と出会う。車を動かすのを手伝ってほしいと言われたパブロは、不審に思いながらも動かすのを手伝った。そこに郵便配達をしていた男が通りかかり、パコは彼から近くの町の修理工を紹介してもらう。郵便配達人は去り際に知らない男には気を付けろとパブロに警告する。

パブロはパコを修理工の所まで案内する。車を見てもらうと修理に2,3日はかかると言われる。パコはこの近くに住んでいるはずの友達に会いに行こうとするが、その友達はパブロの亡き父親だった。パコは彼の墓の前で涙を流した。その後、パコは彼との思い出話をパブロに聞かせる。そうしてパブロとパコの距離はぐっと縮まる。

街のカフェにいた2人のもとに先ほどの郵便配達人がやってくる。そしてパコの話に矛盾があったことをパブロに知らせる。故障した車に関してパコは彼自身のものだと言っていたが、実はレンタルされたものであることが分かったのだ。

郵便配達人の話によりパコが怪しい人物だということは分かってはいたが、父親を亡くしているパブロはパコに好意を抱くようになっていた。次の日、パブロは洗面台の前で念入りに髪の毛を整えて、服装もいつもとは違う清潔な格好をしてパコに会いに行くが、彼は修理工の息子である男の子と楽しそうに話をしていた。それを見たパブロはさびしそうな表情を浮かべる。

彼には仲の良い友達である15歳のジュリアがいた。友達であると同時に母親以外の唯一の身近な異性でもあった。2人きりになると年上であるジュリアはパブロにキスの仕方をエスコートし始める。服を脱がされかけたところでジュリアのもとを離れるパブロだったが、その夜、その事を思いながらベッドの中で射精するパブロだった。

パブロはパコを湖に連れて行く。パブロはパンツ姿になり湖に浸かる。パコはそれを眺める。パブロは湖から上がりパンツを脱いで、パコの横に座り彼を見つめる。(この行為が何を意味するのか不明。おそらく深い意味はない?)。その場に再び例の郵便配達人が現れる。新しく聞きつけてきたパコに関する噂を、今度は本人を目の前にしてパブロに告げる。他の街である女性と一緒にいるパコの目撃した者がいるとのことだった。郵便配達人がその女性の名を言いかけると、パコは彼を追い払ってしまう。

パコに関する様々な噂が街中に広がってしまっていた。パコは過去に刑務所にいたということをパブロに明かす。街を出ていこうとするパコだったが、パブロはどうしても彼にそばにいてほしかった。

別の場所で湖でふざけあっていた男の子たちのうち一人が溺死するという事故が起こった。溺れたのはパコと仲良く話していた修理工の息子だった。一緒にいた男の子たちは、責任を逃れようと友達を殺したのはパコだと嘘をつく。街の人たちは完全にパコが犯人だと思い込み、彼を捜索し始める。

その時、パコはパブロの母親とベッドの中にいた。実はパブロは騙されていた。パブロの母親とパコは昔からの愛人であり、パブロの母親は夫を事故で亡くして以来、パコが刑務所から出所してくるのを待っていたのだ。

ベッドにいる2人をパブロは目撃してしまう。パブロは銃を持ち出しパコに向ける。ちょうどそこにパコを探していた人々がやってきて、パブロから銃を取り上げて裸のパコに発砲する。


サウス・オブ・ザ・ムーン (2008) <未>

South of the Moon (2008) ★★★★

主役を演じたのは色気のあるジェイク・マクラウド(Jake McLeod)くん。

あらすじ(自作)
12歳のコールマンは会ったこともない女の人の夢を頻繁に見ていた。彼は叔父にあたるマットととても仲が良く、マットが寝泊まりしているガレージによく寄り道していた。叔父のマットはクラブでギターを演奏するミュージシャンであり、酒のビンが転がっているようなだらしのない部屋で昼まで寝ているような男だった。しかし、男らしいマットはコールマンにとっての一番の友達だった。コールマンはそんなマットに夢に出てくる女の人のことについて話してみたが、なぜかマットは不自然に話題を変えようとする。

コールマンは学校でいじめっ子にカツアゲされているクラスメイトを慰めてあげて以来、彼と仲良くなる。彼はコールマンに比べていろんなことを知っており、2人は思春期男子特有の話題で盛り上がる。その後マットの部屋でポルノ雑誌を見つけ、もぞもぞするコールマンだったが、そこにマットがやってくる。コールマンはマットの前でパンツを下げて「12歳相応かな」と尋ねる。マットは驚いて「35歳でも大丈夫だよ」と答える。夜になるとコールマンは友達に教えてもらったことをバスタブで実践する。(おなにー)

青春謳歌中のコールマンはクラスメイトのアレクサのことが気になり始める。やがて2人は一緒に下校したりしていくうちに恋に落ちる。

コールマンは水泳をやっていたのだが、コーチに見込まれ、バンクーバーに行き水泳一本でやっていかないかと誘いを受ける。しかしコールマンはあまり乗り気ではなかった。アレクサのことが本当に好きだったからだ。しばらく離れてしまうことでアレクサを失ってしまうのではないかと不安だった。まだ12歳なんだしこれからいろんなことがある。アレクサとは休日帰ってきたときに会えるじゃないか。人生またとないチャンスかもしれないんだぞ。と、マットは恋に落ちて周りが見えなくなっているコールマンを説得しようとする。

マットはコールマンのためにサプライズを用意した。説明なしにコールマンを部屋まで連れて行き、ドアを開けるとそこにはエロい恰好をした女の人(コールガール)がベッドの上に座っていた。コールマンも驚くが、12歳の男の子の相手をするよう言われた女のほうも驚いた。(以下のやり取りはコールマンのあれがでかいってことを暗示してる?)

女 "Do you want me to go to jail!? He is just a little boy!"
マット "Yeah, true I know he is a little boy, but he is big where it counts."
女 "What do you mean by that?"
マット "Coleman, just take down your pants lad and show her what you've got."

マットの励ましもあって、バンクーバー行きを決意し水泳の練習に励むコールマンだったが、突然コーチからマットの死を告げられる。バイクを運転していて事故にあったのだ。故郷に戻り、マットの葬式に出席したコールマンはようやく自分の境遇をすべて知ることとなった。実はコールマンの父親はマットであり、よく夢に出てくる女の人が彼の本物の母親だったのだ。


マットの過去
マットはマリーという女性と恋に落ちるが、一晩愛し合ったあと何も言わずに姿を消してしまう。同じところに留まれない性質の男だったのだ。マットが姿を消している3年間でマリーはマットの子を身ごもり男の子を出産していた。しかしマリーは子を産んで死んでしまった。孤児となったその男の子を引き取ったのが、マットの兄弟(実際にコールマンを育ててくれた父親)でありその男の子がコールマンだった。自分の罪を認識したマットは、マリーとの愛の証であるコールマンを全力で愛していたのだった。

レオンとリア (2008) <未>

C'est pas moi, je le jure! (2008) ★★★★★

この映画の主役のレオン(Antoine L'Écuyer)は、首を吊ったり、自分にナイフを突き立てたり、飛び降りたりと、見ていてひやひやする少年だった。

あらすじ(自作)
主人公は10歳のレオン。想像力がありすぎるせいなのか、だいぶ変わった少年だった。彼が言うには、死のうとすると目の前に白い光が現れて音楽が流れてくるらしい。彼は自殺未遂をよくに犯す。庭の木を使って首を吊ったときには、母親はヒステリーを起こしむちゃくちゃに斧を木に振り落とした。首についてしまった痕を隠すために、レオンはスカーフを巻いていなければならなくなった。

そんなレオンが原因でもあるのか、両親はいつも喧嘩ばかり。お母さんがお父さんの顔面にグーでパンチをくらわすほど迫力のある大喧嘩。レオンは注意をそらして喧嘩を止めようとベッドの上に火を起こす。レオンはよく中指を突き上げる。近所の女の子に手を振られても、それでお返しする。その女の子がのちにレオンが好きになるリアであった。

アイスクリーム屋のワゴンがやってくると、こっそり侵入しアイスを箱ごと万引きする。そして服の中にアイスの箱を隠したまま、今度は近所の家に侵入し、家の中をめちゃくちゃにする。クローゼットのなかに放尿したり、持ってきたスクリュードライバーで壁をはがしたりする。気付くと盗んできたアイスは溶けてぐちゃぐちゃになってしまっていた。レオンはそれをその家の冷蔵庫の中にしまう。

お母さんは耐えられなくなって、今の生活をすべて投げ出し遠く離れたギリシャに引っ越してしまう。レオンはお母さんが出て行ってしまった日以降、石を並べて日にちを数え始める。

レオンが凧を揚げて遊んでいると、リアが横にやってくる。「一緒にいたいなら、パンツをよこせ」とレオンは言う。リアは言われたとおりにその場でパンツを脱いでレオンに渡す。本気にするとは思ってなかったレオンは、「四つ葉のクローバーも探せ」と命令を付け加える。言われたとおり四つ葉のクローバーを探し始めるリア。彼女もレオンと同じく家庭に問題を抱えた孤独な少女だった。レオンは彼女の首や腕につけられた痣を見つける。

レオンとリアは新しい生活を始めるための計画をともに練り始める。レオンは母親のいるギリシャに行くために資金を調達する必要があり、リアは隣町にいるはずの父親に会いに行きたかったのだ。

資金を得るために他人の家に忍び込んだ2人だったが、どういうわけかリアは部屋に置いてあったバービー人形を目の前にして泣き崩れてしまった。「人形で遊んでる場合じゃないよ」とレオンが指摘すると、「どうやって遊べばいいかが分からないのよ」とリアは答える。結局、2人の計画はレオンの父親に見つかってしまい中断を余儀なくされる。やけくそになったレオンは、全速力で走りだし、高いところに登って父親の前で飛び降り自殺を図る。大けがを負ったものの、後日父親に連れられて近所中に今までの悪戯を謝りに回らされるレオンだった。

それ以降、レオンとリアの関係はぎくしゃくしリアはレオンを避けようになる。レオンは学校を抜け出してその辺でワゴンを駐車させていたおじさんにバービー人形を買ってきてほしいとお願いする。リアにプレゼントするためだった。授業が終わるとリアのところへ行っておじさんに買ってきてもらった人形を渡そうとするが、いらないと一蹴されていままでいろんな人に向けてきたファックサインを今度は自分が向けられてしまう。

リアとの関係もうまくいかず、お母さんも帰ってこないということを知ったレオンは日にちを数えていた石をついにすべて片づけて、ボウリング場に向かった。人生を1度リセットし、やり直すことにしたのだった。レーンの裏に回り込み、1つ残されたピンの後ろに顔を添える。そのピンめがけて投げられたボーリングの玉が勢いよくレオンの頭に迫っていく。

2013/01/14

動くな、死ね、甦れ! (1989)

Zamri, umri, voskresni! (1989) ★★★★

1989年の映画なのに白黒で映像も粗い。逆にそれが良かったかもしれない。内容と合っていると思うし光の当たり具合などもきれいだった。主役のワレルカの声が特徴的で切羽詰った感じが伝わってきた。便所にイースト菌をばらまくとあんなことになるのか。やらかしたのはワレルカで、動揺していたのか「お前病気か。目つきが変だぞ」と友達に言われていた。それでワレルカは学校を退学になる。そのことの腹いせなのか、ワレルカはレールに釘のようなものを刺して、列車を転覆させる。逃げるように街を飛び出すが、近所の女の子のガリーヤは勘が鋭く、ワレルカの仕業だと察して彼を追いかける。ワレルカとガリーヤのやり取りが面白い。喧嘩するほど仲がいいというような仲の良さだった。「『小さな恋のメロディ』を超える傑作」というような文句がチラシに書いてあっただけのことはあるかもしれない。宝石店を強盗するときに、トイレの鉄柵をすり抜けて侵入するのだが、スムーズに入れるようワレルカは全裸になる。そのときお尻が見えた。普通ではない映画で、気が狂ったおばさんが全裸で箒にまたがり叫び回るシーンは一度見たら一生忘れないと思う。日本兵が出てきたり演歌が流れたりと、海外から見た日本のイメージを若干知ることが出来る映画かもしれない。続編として「ひとりで生きる」「ぼくら、20世紀の子供たち」がある。

2013/01/13

チーズケーキ (2008) <未>

Chizkeik (2008) ★★★★★

主役のパーヴェル・マレンチェフ(Pavel Melenchuk)(Павел Меленчук)くんは映画の中でもかなりの美少年。

あらすじ(自作)
ミハイルがアパートに帰宅すると、少年がドアの前に座り込んでいた。ミハイルと過去にチーズケーキのCMで共演したことのあるアリョーシャという名の少年だった。家に帰れと言ってもアリョーシャは聞かず、一晩だけという約束でミハイルはアリョーシャを部屋に泊めてあげることにする。アリョーシャは謎の多い少年だった。家出してきたという割には、とても几帳面な少年だった。ミハイルよりも早起きし、ベッドを整え、ミハイルの分の朝食も準備してくれる。ミハイルは、かつてその謎の少年アリョーシャと一緒にCMに出演したもう一人の女の人、ナターシャに電話し、アリョーシャのことを詳しく調べてもらう。

アリョーシャの家庭を突き止めることが出来たが、状況はひどかった。父親は行方不明で、アルコール中毒の母親は、アリョーシャに何でも命じてこき使う。そんな状況を見たミハイルは、同情したのか、ルールさえ守れば家に泊まりに来てもいいということをアリョーシャに告げる。

2人での生活が始まった。湖までドライブするなどし、お互いの仲は深まっていった。しかし、ミハイルにはガールフレンドである、ガーリャがいた。アリョーシャを置いてきぼりにし、よく2人で出かけてしまう。そんな2人を、切ない表情で窓から眺めるアリョーシャ。

この頃から、アリョーシャの理解不能の行動が目立ち始める。ナイフを持って街に出て、誰だかわからない謎の男を尾行した揚句、突き刺して殺害してしまう。アリョーシャは吐き気を催しながらもなんとか逃げおおせた。

その事件を聞いて、嘆き悲しむ女優がいた。その女優が、殺害された男の婚約者であり、かつてチーズケーキのCMでアリョーシャ、ミハイルと共演したことのあるナターシャだった。次に、アリョーシャはミハイルの携帯を盗み出し、彼のガールフレンドであるガーリャにメールを送りある場所に誘導する。そして、策略通りにガーリャを爆弾で殺害する。

ガールフレンドが殺されて、もぬけの殻となったミハエル。そして、同じく婚約者を殺害された、女優のナターシャ。そんな2人を同じ場所に呼び出して、今まで見せたことのない幸せそうな表情で、準備してきたチーズケーキを食べるアリョーシャだった。

2013/01/12

霧の中の風景 (1988)

Topio stin omichli (1988) ★★★★

アテネからドイツへ、会ったことのない父親を探して旅をする幼い姉弟を描いたドラマ。1988年、第45回ヴェネツィア国際映画祭・銀獅子賞。1989年、第2回ヨーロッパ映画賞・作品賞を受賞。

どちらかというと少女映画だった。内容もそうだけど音楽や映像とか、とにかくすべてが暗かった。父親に会いに2人だけでドイツを目指すが、父親がいるのかどうかも不明。弟が父親の夢をよく見るということだけが頼り。2人の孤独をひしひしと感じた。どこへ行っても街は閑散としていて、この映画に出てくる人物で元気な人は1人もいなかった。劇団員の男だけが唯一2人の姉妹に優しく接してくれる。ただ彼も、劇を演じることのできる劇場が見つからず、もうすぐ徴兵ということで、哀愁漂っていた。「僕はかたつむりさ。行くあてもなく、這い回っているだけさ。」みたいなことをつぶやいていた。街に雪が降ってくると、人々は立ち止まって空を見上げる。誰しもが静止している情景の中を、2人の兄弟だけが、手をつないで駆けていく。そしてさびしすぎるBGM。そのシーンが一番印象的だった。最後の最後までとことん暗くて、姉はヒッチハイクで乗せてもらった運転手にやられて、それからは自分の体をお金にすることを学び、その最終手段を使って(実際には使わずに済んだ)ドイツ行きのキップ代を手に入れる。こそこそせずに列車に乗れたことに姉弟は顔を見合わせて笑顔を見せるが、パスポートは持っていなかった。列車を抜け出し、向こう岸のドイツを目指してボートを漕ぐ。しっかりと見せてはいなかったが、銃声が響いていたし、姉弟は意識の中だけでドイツに到着したのだと思う。ドイツというか、遠い国。

子供たちの城 (1983)

Zappa (1983) ★★

「ペレ」のピレ・アウグスト監督の映画。スタンド・バイ・ミーとほぼ同じ時期に作られた映画でテーマも少年たちが結束する話で似ている。でも少年のグループの人間模様は対照的。スタンド・バイ・ミーの4人は結局のところは楽しそうだった。でも「子供たちの城」の3人は、本当は付き合いたくない同士というか、一緒にいればいるほど3人ともが不幸になっていくようだった。スタンド・バイ・ミーの4人のうちの太っていてどんくさいキャラだったバーンのようなムーレという少年が出てくるが、彼は虫を食べさせられたり、ペットの小鳥を殺されたりと、言うことを聞かなかったことに対して相当な仕打ちを受ける。そんな姿を見ていたビヨンは、内心やりすぎだろと思ってはいても言い出せなくて、見て見ぬふり。ムーレを苛める奴が悪いんじゃないかと思われるかもしれないけど、そんなリーダー格のスティンも、家の事情のせいで情緒不安定になっているようだった。そうなるのなら最初から付き合わなければよかったのに、3人は殴り合って血だらけになる。そして何の救いもなく終わる。嫌いなわけではないけれど不快になる映画だった。女の子に会う前に勃起してしまったビヨンがそれを抑えようと、必死に意識をそらそうとしたり、水をかけたり、いろいろ試すシーンが面白かった。

2013/01/09

フランスの友だち (1989)

Après la guerre (1989) ★★★★★

「フランスの思い出」に続いてジャン・ルー・ユベーヌ監督と彼の息子アントワーヌ(Antoine Hubert)によるほのぼの戦争ムービー。その2人に加えて今度はアントワーヌの実の弟ジュリアンも出演している。監督は血のつながった息子を、むしろそうだからなのか、思い切って女装させている。映画のポスターやビデオのパッケージにもアントワーヌの女装姿はばっちり映っているのでそのインパクトは強く、「フランスの友だち」というタイトルより先に「女装した少年が大きなライフルを抱えている映画」のイメージが来る。(うまくいえないけど)

さすがは血のつながった兄弟。映画の中でも2人のやり取りがナイス。兄が女装することが弟ジュリアンにとっては面白くて仕方がないようだった。町の人たちがアントワーヌのことを「お嬢ちゃん」と呼ぶたびに、ジュリアンは隣で笑いこける。アントワーヌは兄貴風を吹かして、弟に退屈な見張り役ばかりをやらせるのだが、戻ってきてジュリアンが見当たらないと「ジュリアーン!ジュリアーン!」と、べそをかく。自然と犬も後をついてきて、それに加えてパチンコで仕留めたニワトリをぶら下げ2人は目的地に向かう。アントワーヌはパチンコの名手で、女の人の頭に当てて気絶させてしまうほどだった。前作の「フランスの思い出」にも出ていた俳優演じるドイツ兵と道中出会い、3人が仲よく楽しそうに歩いていく光景がこの映画の最大の見どころだと思う。

しかし、そんなほのぼのしていてクスっとさせられてしまうような物語でも、終盤にはやはりフランス映画特有の陰気な暗さを帯びたものになる。ラストシーンでアントワーヌとジュリアンは抱き合いお互いに兄弟愛を確認しあうのだが、思えば彼らは本当の兄弟でしかもそれを撮っているのは彼らの父親だということを改めて思うと、なんて素敵な映画なんだと実感する。

あと、ニワトリの首を握りくちばしを卵にコンコンと当てて割る場面がなぜか脳裏に焼き付いている。それからアントワーヌが茂みで立ち小便をしているのを目撃した老人が「女の子が立ち小便をするご時世か」とつぶやくシーンも面白かった。

2013/01/07

駆ける少年 (1990)

Davandeh (1990) ★★★★★

イランの巨匠アミール・ナデリ監督の自伝的物語。幼少期を過ごしたイランでの日常を描いている。アミル少年(Majid Niroumand)がとにかく走り回っていた。走らずにはいられなかったのだと思う。飲み水を1レアルで売っていると代金を払わずに飲み逃げしてしまったおじさんがいた。おじさんは自転車に乗っていたけどアミルは走ってとことん彼を追いかけた。追い詰めてお金をもらうと、多めにもらったのか、飲み逃げしたような相手に向けられる笑顔とは思えないぐらいの満面の笑みを浮かべていた。氷を盗まれたときも相手をとことん追いかけて奪い返すが、その後も走り続けているうちに氷は溶けて小さくなっていって、結局最後には投げ捨てる。走ることが出来ればそれでよかったのかな。ただ、劇場で見た生アミール・ナデリ監督のおなかはぽっちゃりしていた。他に印象に残っているシーンは、港を出航する船に向かって「僕もつれてってくれ!」と大声で叫ぶシーン。魂の叫びのように聞こえた。あとラストの火が燃えたぎる荒野での駆けっこ。スローモーションになった瞬間は鳥肌ものだった。あとはどうでもいいけど、ひよこを部屋で飼っていたこと。そういえばひよこって小さいし可愛いのにペットとして飼っているという話は全く聞かない。ニワトリになるのが面倒だからかな。

この映画を見終わって、自分ももっと必死になって生きなきゃいけないなと思った。環境が恵まれすぎていているせいか張り合いがない気がする。景気悪くてやりたいことが簡単には出来ないし中国にGDPも抜かれる。それでいて今の生活に何ら不便を感じないので何に期待して生きていけばいいかわからない。

最後は愚痴になった。

2013/01/05

スウィート・ムービー (1974)


Sweet Movie (1974) ★

ほんと訳のわからなかった映画。子役はほとんど出てこなかったけど5分間ほど少年たちとお姉さんによるストリップショーのシーンがあって、そこは強烈だった。ほぼ全裸の女の人を前にあの男の子たちはどんな気持ちだったのだろう。本編ではモザイクかかってたけれど撮影のとき男の子たちは何もかも見ているだろうし、お姉さんも遠慮がなかったように見えた。印象的なのはすごくマッチョな黒人。毛深いおじさんの赤ちゃんプレイ。砂糖にまみれての絡み。チョコレートに浸かってくねくねする美人。生卵も浴びていた。見る人が見ればスウィートな映画なのかも。

この映画を撮ったドゥシャン・マカヴェイエフのインタビューより。
私の映画へようこそ。この作品は1974年カナダ、フランス、オランダで制作。フランスではエッフェル等もロケに使いました。エッフェル塔で撮影しているときにひょっこり現れたのが寺山修司です。仲間でしたが彼と会ったのはそれが最後。彼の映画における変質と詩情が好きです。私のこの作品においても、私自身うまく説明できない要素があります。見る人が意味を決めます。“狂気の旅”と呼ぶ人もいます。イギリスとカナダの一部ではまだ上映禁止。あなたにとって過激でないことを祈ります。