2013/05/29

親指こぞうニルス・カールソン (1990)

Nils Karlsson Pyssling (1990) ★★★★

アストリッド・リンドグレーン著「親指こぞうニルス・カールソン」の映画版。75分と短めだったが心温まる内容だった。

両親が仕事に行っている間、ベッティ(Oskar Löfkvist)は毎日退屈している。2階におばあちゃんが住んではいたが、猫とLudoというボードゲームばかりやっていて、遊び相手にならない。

あるときベッドの下の壁の穴から小さな男の子が出てくる。ニルス(Jonatan Lindoff)と名乗るその子はベディの体を小さくすることができ、2人は一緒に穴の中で遊ぶようになる。

ニルスがねずみに怯えていると、ベッティはニルスを慰めて守ろうとする。目覚まし時計にひもをひっかけた装置を作り、何かあったらこれを鳴らして僕を呼ぶんだ、と守るべき存在を見つけたベディは逞しかった。小さい子が自分より小さい子に優しくする姿は見ていてじんとくる。「ミオとミラミス」のミオとユムユムの関係もそう。2人が声をそろえて歌う歌詞がまた良い。

英語歌詞
It feels so good to have you.
It feels so good to have each other.
And fantastic of course to be together every day.
To be together you and me.
No one, no no one wants to be alone.

2013/05/27

アフターライフ (2009)

After.Life (2009) ★★★

交通事故で死んだアンナと、死者と会話のできる葬儀屋による死後の世界。葬儀屋と同じ能力を持つジャック少年をチャンドラー・カンタベリー君が演じている。出番は多くない。

アンナ(クリスティーナ・リッチ)がヌードになったり、血だらけになったりと、耽美的な映像が多かった。死んでしまったことを認めたくないアンナだったが、葬儀屋から「すがるほどの人生だったか」「死んでいたも同然だろ」など、きついことを言われ、納得させられる部分も。葬儀屋は他にも「死が怖いと言いながら、本当は人生に怯えている。」など印象的なことを言っていた。アンナは、「死んで良かった」とつぶやき、穏やかに自分の葬式を迎える。しかし最後まで、もしかしたら、と思わせられるようになっていた。

葬儀屋は地下で、事故などでひどく傷ついた死体を、生前のように整えていくのだが、例えば口を閉じさせるために内側から針で縫ったりして、実際にあんな風にやっているのかなと思った。人形のようだった。

2013/05/25

ハンカチのご用意を (1978)

Préparez vos mouchoirs (1978) ★★★★

フランスの映画でやっぱり淡々としていた。退屈になりかける。見どころは途中から登場してくるクリスチャン(Riton Liebman)。フランス人っぽい顔つきの上品な少年だった。大人たちがどうあがいても振り向かせられなかった女性をものにする。

ある女性がうつ状態になってしまい、必死で元気づけようとする夫と、もう一人の男。女がうつ状態になった原因は不明。夫は、そこら辺のレストランで見つけた男に協力を求める。どういうわけかその男も女を救おうと本気になる。女が常にトップレスでいることにも触れられない。不思議な映画。

うつ状態の女と、夫と、もう一人の男は、子供たちの林間学校にお邪魔する。そこでクリスチャンと出会う。彼は知能指数が高く両親もお金持ちで、少し気取っている。そのことで他の子供たちからいじめられる。夜中、ベッドの上で寝ていたクリスチャンは、襲撃され、素っ裸にされしくしくと泣く。

うつ状態の女と、クリスチャンは、出会って以来お互い惹かれあい、一晩を共にするまでに。クリスチャンは、女の服をめくり、乳首や股間を眺める。女は彼の目の前で裸になる。エロい描写だった。その後、クリスチャンはそのことを友達に話して聞かせる。「中はどんな感じだった?」と聞かれると、「気持ち良かった」と答える。

スタンド・バイ・ミー リベンジャーズ/僕たちが銃を握った日 (1996)

Sticks & Stones (1996) ★★★★

いかにも「スタンド・バイ・ミー」(1980)と関係ありそうな邦題だが、別物。「僕たちが銃を握った日」とまでついている。なんとなくいやな予感がしたが、とても面白かった。

主役のジョーイ(Justin Isfeld)がイケメン。髪型や服装など、まさに90年代のアメリカンキッズという感じだった。野球をやっていてその年の割には速球を投げる。デブのブック、お調子者のマウスの2人といつも一緒にいる。

この映画のテーマの1つは暴力。3人はいじめっ子のヘイズから逃れることに骨を折っている。広場にヘイズが座っていれば、3人は別の遊び場を探さなければならない。3対1なら勝てそうな気もするが、ヘイズに声をかけられると3人はぴくっとなる。

ジョーイはヘイズに追いかけられて、地面に押さえつけられる。ぼろぼろになって家に帰ると、今度は兄貴に押さえつけられる。そんな窮屈な生活を送っていた。ブックもヘイズに散々苛められる。「ブタ」と呼ばれ、学校では裸にされて廊下に放り出され、笑いものに。

あるとき3人は銃を手に入れる(銃と映画は切り離せないと思う)。それを使ってヘイズを殺す計画を立てるが…

それぞれの家庭の事情に共感できる部分も多かった。特にジョーイと兄貴の関係。弟のジョーイにとって、兄貴とどう折り合いをつけていくかが問題だった。「グレッグのダメ日記」のグレッグとロドリックのような関係だった。

2013/05/18

中学生円山 (2013)

中学生円山 (2013) ★★★

今日から公開の「中学生円山」を観ました。映画館で映画を観ること自体があまりなくて、しかも邦画となると、久しぶりだった。数年前に「NANA」を観たことは覚えている。映画館で見ることの良い点は、一時停止や巻き戻しが出来ない分、真剣味が増すということ。DVDで数をこなすことが出来ても、それがどれだけ自分の血肉になっているのか、つまり心に残るのか。基本がレンタルになってるけど、映画館でという風にしたい。

主役は草彅剛だと思っていたが、中学生の円山克也(平岡拓真)だった。「妄想劇」というだけあって、全体的にぼんやりとしていた。克也はレスリング部に所属しており、体を柔らかくするために日々ストレッチに励む。家に帰って自主トレまでする。すべては自分のちんこを舐めるためだった。

妄想でも現実でも、克也はパンツを脱いで前屈の姿勢を取り、「エェ、エェ…」と唸りながら自分のちんこに舌を伸ばす。団地に引っ越してきたシングルファーザーの下井にそのことを話すと、口にくわえることが出来た時には、2つの人格を体験できると聞かされる。口は女で下半身は男とのこと。草彅演じる下井も、ちんこを舐めるのに奮闘していたことがさらっと明らかになる。

目標を達成できたのは、多くの生徒がトレーニングをしている体育館でだった。開き直った克也は、女子が見ているのもお構いなしに、パンツを脱いで、「エェ、エェ」と舌を伸ばす。レスリング部の顧問の先生は、初めこそ、「克也、そういうことは家でやれよ…」と唖然とするが、「上も脱いだらどうだ? 足は、もっと開いた方がいいんじゃないか」と、応援し始める。

劇場では、ちらほら笑い声も聞かれた。ただ、話題になっていたので混むだろうと思っていた割に、半分ぐらいしか埋まっていなかった。「考えない大人になるぐらいなら、死ぬまで中学生でいるべきだ!そうだろ!」

2013/05/17

ピショット (1981)

Pixote: A Lei do Mais Fraco (1981) ★★★

子供たちによる犯罪が絶えないブラジル。衝撃的なシーンも含めながら現状を描く。警察は当てにならず、やってもいない罪で捕まえられたり、その場で射殺されたりする。10歳のピショット(Fernando Ramos da Silva)も、施設に入れられたうちの1人。そこの大人たちは悪者ばかりで、つじつま合わせのために、平気で子供を殺す。仲間が殴り殺されたことをきっかけに、ピショットたちは脱走を決意する。ただ、抜け出しても行くあてはない。外よりここの方がマシだと、残る者もいた。

ピショット、ジト、シコ、おかまのリリカの4人は一緒に行動し、街の人のカバンをひったくりながら、なんとかやっていく。薬物の売買にも手を出すが、騙されてばかりで上手くいかない。4人はバラバラになっていき、最終的にピショットは孤独になる。

辛いラストで終わるが、中盤あたりでは4人仲よく水浴びしていたりと、楽しそうな光景もあった。映画を見終えた後にそのことを思うと、いっそう切なくなる。ピショットは1番小さいが度胸はあった。オカマのリリカが1番しっかりしていて、彼の言うとおりにしていれば良かったのにと思った。シコは、「金が手に入ったら拳銃を買ってナメる奴は皆殺しだ」と豪語していたが、情けないところがあり、取引の時もブツを最初に渡してしまったことを年下のピショットに攻められる。売春婦との取っ組み合いの結果、動かなくなる(死んだ?)。ジトは最後までピショットといたが、暴発したピショットの銃弾くらい、死んでしまう。

2013/05/14

はかない風のように (1985)

Drzanje za vazduh (1985) ★★★★

中古のビデオ屋でたまたま見つけて、可愛いパッケージと値段の安さに惹かれて購入したこの映画だったが、当たりだった。DVD化も望めず、話題にも上がらないような作品は、自分だけのお気に入りという感じがして嬉しい。少し寂しくて、健気な子供を描いた内容(「メリー・ゴーランド」「クリスマス・ツリー」のような)は、個人的に好きなので、おすすめの作品があるよという方は、ぜひコメント欄にでも。

孤児院で生活しているミラン(Marko Vojinovic)は、周りの子供たちよりも年下で、小さい男の子だった。彼の身元に関する情報は全くなかったが、自分にはお兄ちゃんがいて、いつか必ず迎えに来てくれると信じている。決してめげずに大人の管理人に悪態をつくほど元気がいい。

街でパン屋を営む夫婦がミランを引き取ってくれるという良い話があったが、兄を待ち続けているミランは夫婦に引き取られることを拒み、対面の時にわざと悪い子を演じる。「僕は盗みも働くし、手榴弾だって爆発させるんだ」と言い、夫婦を驚かせていた。

孤児院の子供たちの間では、手榴弾のピンを抜いて、どれだけ手に持っていられるかという度胸試しが流行っていた。手榴弾なんてどこから手に入れてくるのだろうと思ったが、部屋の壁の裏には、何個も隠されていた。

孤児院の創設者であり、年はもう80歳を過ぎているというおじいちゃんが、行先が決まって巣立っていく子供たちにピカピカの金貨を持たせるのが、ほのぼのした。こんなところに居たくないと言って無理矢理出ていく子供にも、決まって金貨を持たせるのだった。

ミランが話す兄の話は空想だとみんなに思われていたが、あるとき弟を探しているというグレゴリーが孤児院にやってくる。兄弟だと証明するものは何もなかったが、ミランはグレゴリーに抱き着いて、グレゴリーもミランは自分の弟だと認める。

孤児院を出てからのミランは、盲目の祖父に会ったり、愛のキューピットをつとめたりと、可愛さを振りまいていた。最後には、ミランはグレゴリーに墓の前に連れられて「本当の弟はもう死んだんだと」と聞かされるが、そのことを認めたくないミランは「思い出した まだ弟がいたんだ 赤ん坊のね」と言っていたのが切なかった。

2013/05/13

オーメン2/ダミアン (1978)

Damien: Omen II (1978) ★★★

第一作の「オーメン」とそのリメイク版、それからオーメンに似せたようなホラー映画を数本観たことあるが、「オーメン2」をちゃんと観たことがなかったので鑑賞。

主役のダミアンを演じたのはジョナサン・スコット・テイラー君。ストーリーは正直言って、人の死なせ方がひねってあるなということぐらいしか印象に残っていないが、音楽や屋敷の内装など良かった。オープニングから不気味でおどろおどろしい音が流れてきて引き込まれた。そして何よりジョナサン君のことをばっちり見た。

まず彼の声のトーンが良い。義兄弟の男の子が目の前で死んでしまったときにあげる雄叫びのシーンは、巻き戻して2度見た。それからおでこ。おでこは今まであまり意識したことはなかったが、ダミアンを見ていておでこの魅力に気づいた。あと赤くなったほっぺ。真冬の山でスケートをしたりソリを滑らせたりするので、ほっぺが赤くなっていて可愛かった。陸軍学校の制服もかっこよかった。帽子を深くかぶって目に影がかかった感じが良い。

意外だったのは、ダミアンが自分が悪魔だと自覚した場面。全力で走って行って広い湖の前に座り込み涙を流していた。ダミアンは好きであんな風になったわけではなかった。それなのにみんなから忌み嫌われ、殺された方が良い存在だと思われるのだった。ダミアンはむしろ被害者だと思った。

少年時代 (1995)

Zikkimin kökü (1995) ★★★★

貧しい家庭で育ったムゾ少年(Emre Akyildiz)を中心にささやかな日常が描かれていた。靴を買うお金がないほど貧乏だったので、ムゾは父親の手作りの靴を履いて学校へ行くが、そのことでみんなにからかわれる。女の子にまで馬鹿にされていた。イラン映画の「運動靴と赤い金魚」でも、靴がないことのみじめさを痛感した。また町並みや人々の生活の様子なども似ていた。ムゾは風船売りのおじさんがやってきても、指をくわえて眺めることしか出来ないのだった。

嵐の夜に、彼らが住んでいたぼろぼろの家は半壊してしまう。次の日から、家族みんなで壁の修理に取り掛かるのだが、とても和やかな光景だった。父親は2人の息子のことを、2人の王子とたとえていた。そんな2人の兄弟は寝るときに、なぜか頭と足を真逆の方向に向けて寝るので、顔のすぐ隣にはお互いの足があった。

ムゾは心優しい少年だった。近所のおじさんにお酒を買ってきてくれと頼まれるが、そのおじさんはお酒が入ると若い妻に暴力をふるうことを知っていたので、自分のお小遣いよりも、その女の人のことを気にかけて、断るのだった。

図書館は、無料で入ることが出来て、しかも暖かい。将来は先生になることを夢見ているムゾは頻繁に通い勉強に励む。そこの管理人と仲良くなり、昼間はお弁当を届けて一緒に食べるのだった。あんな風に毎日食事を一緒にしてくれる男の子がいたら幸せだと思った。

ムゾの家庭は貧乏ではあったが、それだけ家族一丸となっていて、お金が全てじゃないということを改めて感じた。


2013/05/11

ムービー・デイズ (1994)

Bíódagar (1994) ★★★

街中が映画館に夢中だった古き良き時代。主役の男の子トーマス(Örvar Jens Arnarson)も映画が大好きで「ニュー・シネマ・パラダイス」のトト少年のようだった。子供たちがチームに分かれて対立するシーンでは「わんぱく戦争」を思い出した。

子供たちがとても元気だった。大人の男女がベッドの中でいちゃついているのを発見すると「○○号室で○○だ!」とみんなに合図を送り、窓の前に集まって「リンチンチン でかいぞ ぶち込め」と音頭を取り始める。別の日でもそのときの大人を見つけると「リンチンチン でかいぞ ぶちこめ」と所構わず同じように歌いだす。

映画が始まる前に座席でがやがやとしていたのが楽しそうだった。暗いところのわくわく感と今にも映画が始まろうとしているわくわく感。ああいう光景は今の映画館では見られない。中学生の時めずらしく友達10人ほどで映画を観にいったことを思い出した。がやがやしていたら後ろの人から怒鳴られた。次の瞬間にはみんなシーンとなっていて今思い出すと笑い話。映画の最中ではなかったが劇場ではマナーを守ろう。

2013/05/04

ノース・シー 初恋の海辺 (2011)

Noordzee, Texas (2011) ★★★★★

同性愛ものであるが、しっとりとしたテーマソングや繊細な描写など全体的にさわやかだった。恋愛の対象が同性というだけでそれ以外は普通のラブストーリーと変わらない。ただし話の展開は厳しめ。ゲイに生まれた人の過酷さが伝わってきた作品。

主役のピムの幼少期をBen Van den Heuvelが、少年期をJelle Florizooneが演じている。どっちの子も可愛かった。幼年期のピムは冒頭の10分ほどしか出てこない。成長した後のピム役は声変わり済みだった。上半身もがっしりしていた。どちらのピムもお尻を出していた。

同性愛者として生まれたピムは、人を好きになるも裏切られてばかり。その辺は普通の人にはわからない辛さだと思った。ピムにとって本気で好きになった相手が、単に興味本位で近づいてきただけであったり、いくら優しくしてもらっても恋愛の対象にはならなかったりと。ピムのことを好きになった女子も辛い。いくらアプローチしてもピムを振り向かせることは出来ない。この映画の人間関係は、誰が悪いというわけでもなく上手くいかないようになっていた。

ピムの控え目な笑顔が良かった。好きな人と目が合った時など、にこっとしていて可愛かった。好きな男子が目の前で射精して、それを拭きとったハンカチを受け取ったときでも、にこっとする。変態とかそんな感じではなく、純粋に嬉しそうな表情だった。カミソリに着いたシェービングクリームを拭きとった紙、普通だったらゴミ箱に行くようなものでも、ピムにしてみれば宝箱にしまうほどのものだった。終盤に近付くにつれてピムは哀愁漂う切ない表情を浮かべるようになっていき、そこが魅力的でもあった。

一応ラストはハッピーエンドで終わるが、ピムのその後を考えると再び裏切られるように思えてならない。15歳の誕生日を迎えたピムのこれからを思うと切なくなる。

2013/05/02

チキ・チキ・バン・バン (1968)

Chitty Chitty Bang Bang (1968) ★★★★

ちらっと見かけたこの映画に出てくる男の子がとても可愛かったのでいずれ見ようと思っていたが、2時間半と尺が長いしミュージカルというのはあまり楽しめる気がしなかったので後回しにしていた。満を持しての鑑賞。まず気になったのが「チキ・チキ・バン・バン」という不思議なタイトルだが、主役の発明家が作った車のエンジン音から来ていた。

主人公は少し変わった発明家のカラクタカス。彼の2人の子供たちが可愛い。息子のジェレミー(Adrian Hall)はぷっくりとしていてそれがまた良い。父親と子供たちが仲よく歌って踊る姿には癒された。特にチキチキバンバンの歌はくせになる。発音はチリチリバンバンの方が近い。ディズニー映画のような誰でも楽しめるストーリーだった。中盤から空想みたいになって、最後に現実に戻るというのは今まで観たことなかった。

今までに見たミュージカル映画らしいものといえばせいぜい「ダンサー・イン・ザ・ダーク」ぐらいしか思いつかない。とても暗くて救いようのない話だが一応歌って踊っていた。

ミュージカルは好きかもしれない。踊りだすシーンで歌詞の日本語字幕が付いているが、英語の字幕もつけてほしいと思った。そしたら一緒に口ずさめる(1人で観ているとき限定)。ダンスにもキレがあって、まるでカンフー映画のアクションシーンを観ているときのような迫力もあった。

ぼくたちのムッシュ・ラザール (2011)

Monsieur Lazhar (2011) ★★

観る映画を選ぶときに、ほとんど下調べをしないままパッケージやタイトルだけで選ぶことが多いが、それでも何となくイメージしている内容とはまるで違ったということがたまにある。この映画もそうで、邦題やパッケージから連想されるほのぼのした感じは映画を観はじめるや否やなくなった。なかなか退屈だった。

自分が教えていた教室で自殺するなんて、先生としてはあるまじき行為だと思った。先生の自殺後、突然ムッシュラザールという教師がどこからともなくやってきて、教壇に立つのだが、話が飛躍しすぎている気がしてその時点でついていけなくなった。謎のムッシュラザール先生がクラスの子供たちに向ける優しい表情が不気味にも感じた。男の子たちより、アリスという美少女の存在感が強かった。キャラが立っていたし、しっかり演じていた。

2013/05/01

黄色い星の子供たち (2010)

La rafle (2010) ★★★★

1942年のフランス、ユダヤ人たちは子供たちを含めて行先も告げられずに連れられて行く。主役のジョー(Hugo Leverdez)もその一人。衛生環境の悪い競輪場に集められ、ずさんに扱われる。映画は子供の視点で描かれていて、何も分かっていない小さい男の子など「自転車のレースはいつ始まるの?」と痛ましかった。自らもユダヤ人であり救護に奮闘する医者の役をジャン・レノが演じているが、彼の風貌が映画でよく見るユダヤ人と似ているので、彼は本当にユダヤ人なのかなと思ったりしたが、そうではないらしい。

ユダヤ人迫害をテーマに含む映画といえば「縞模様パジャマの少年」「さよなら子供たち」「ライフ・イズ・ビューティフル」「パティニョールおじさん」「小さな赤いビー玉」など子供が中心の作品も多い。戦争の歴史について全然知らなかった時に観た「シンドラーのリスト」は衝撃だった。いろんな戦争映画を観てきてちょっとずつ歴史を学んできたと思う。映画を観て「勉強になった」なんて言っていると「そんなことより教科書を読め」と突っ込まれそうだが、映像で見るとやっぱりイメージが湧く。シモンの弟、ノノがマスコット的な可愛さだった。