2013/08/31

11人のカウボーイ (1972)

The Cowboys (1972) ★★★★

西部劇に登場してくる男たちはたくましい。映画の中のヒーローは、実際問題あり得ないスーパーマンとかではなく、西部の男たちなのである。彼らは必死に生きている。自分たちで土地を切り開いて、家族を守るために一日一日を全力で過ごしている。昨日観た「シェーン」に続いて、良い映画を立て続けに二本観たという感じ。

牛を売りに行くために、ウィルのもとに集まった11人の少年たち。数千頭の牛を率いていく道中を見ていて、中高生の時に経験した部活動を思い出した。まさに集団行動(好きではなかった。今でもあんまり)。自分に与えられた仕事をこなすだけではなく、自ら進んで動かなければならない。何かしでかすと、強面で口うるさい顧問、この映画の場合ウィル、から怒鳴られる。

不満や文句も出てくる少年たちだったが、どこかでウィルのことを尊敬できたからこそ、途中で逃げ出さず、ついて行けたのだと思う。上に立つ人間は、ウィルのように強くて、なにより人並み以上に努力をしなければならないのだと思う。

この映画の好きなシーンは、夜中に子供たちだけで集まって、こっそり取ってきた酒を回しながら、ウィルやナイトリンガーの悪口を言ってふざけている場面。そんな子供たちの様子を、ウィルとナイトリンガーは、なんだか微笑ましそうに見ているというのがにくい。

映画的に一つだけ不満を言うならば、どうして少年を一人死なせてしまったのかというところ。そのあとのウィルの死だけでも十分だったように思う。


2013/08/29

シェーン (1953)

Shane (1953) ★★★★

西部劇はざっくりと、悪い奴の話なのか、良い奴の話なのか、で分けられるように思う。例えば、最近観た「夕陽のガンマン」は、人を撃ちまくって賞金を得る男たちの話。法なんてあってないような世界。「明日に向かって撃て」「ワイルド・バンチ」なども結局は悪者。確かにかっこよくて、痺れるのだが。

逆に、この映画や、「西部の男」「大いなる西部」の主人公は、基本的に銃を扱いたくない。派手な場面は少ないが、こっちタイプの方が見終わったあとに心に響いてくるものがある。

この映画のシェーンは、弱いものの味方だし、銃の腕も立つし、非の打ち所がない完璧なヒーロー。ただ、あまりに完璧すぎても、興ざめしてしまうことがあるのだが、(クリントイーストウッドの「ペイル・ライダー」「許されざる者」など)この映画の場合そうはならず、「何とかしてくれ、シェーン!」と素直に応援できた。特に、酒場での殴りあいの場面なんかは、手に汗握った。おそらくジョー少年も、同じような気持ちで喧嘩を見ていたのだろう。ジョー少年が、シェーンに慕う様子には、ものすごく共感できた。

映画を見終わってから、ネットで調べてみると、シェーンは死んでいたのかそうでないのか、と議論があるようだった。自分の場合は、馬の上で静かに死んだのだと思い込んでいたので、生きている余地があるということを知り、少し嬉しくなった。

「俺はこの家を捨てたくない。未来を勝ち取るんだ」なんて台詞があったが、この言葉は忘れないでおきたい。今の時代に必要とされている情熱である。(少なくとも自分にとって)


2013/08/28

サンペリの母心 (1969) <未>

Cuore di mamma (1969) ★★★

サルヴァトーレ・サンペリ監督作品。前回の「Nenè 」に続いて、この監督の作品を観るのは2本目。日本でもDVDになるとかしてもらって、日本語字幕付きを観てみたい。このぼんやりとした雰囲気はどう伝わってくるのだろう。

69年制作という割には、いろんな面で前衛的だと思った。例えば、出演者の着ている服や、部屋のインテリアなど、鮮やかな原色でコーディネートされていて、「時計じかけのオレンジ」を思い出した。

何より、オープニングのインパクトがすごい。マッシモ少年(Mauro Gravina)が、拘束された大人の女性の上に乗っかり、熱した鉄の針で、お尻に絵を描いていくのである。これは一度見たら忘れられない。

特筆しておきたいことはマッシモ少年についてである。彼のことはどう言えばいいのか、表現するとしたら、「やばい奴」とか「サイコ野郎」である。政治のことから科学技術のことまで、年齢の割に知り過ぎている。何かに陶酔しているようで、ずっとヘルメットを被っている。

マッシモ少年のやばい行動。
オープニングのお尻に絵。
女の人を狭いところに閉じ込めて、「裸になれ」と命令し、隙間からガスを注入する。
まだろくに言葉も話さない弟のことをなんだと思っていたのか。ロケットに乗せて、宇宙に飛ばそうとする。さらに、コミュニスト!と罵倒し、自分が裁判長を務める裁判にもかける。ついにはバスタブで溺れさせる。
部屋にガスを充満させる。妹はそれによって死亡。自分はガスマスクを装着。
最後には、ロケットの爆発に巻き込まれる。マッシモ少年の象徴であった、ヘルメットが虚しく飛んでくる。

母親が劇中1度も口を利かないというのも不気味だった。暴走していく自分の子供たちのことをどう思っているのか不明。一緒にお風呂に入ったときは、子供たちを微笑ましく見ていたが。


2013/08/25

ネネ (1977) <未>

Nenè (1977) ★★★★

サルヴァトーレ・サンペリ監督作品。どのくらい知られている監督なのかは見当つかないが、代表作の「青い体験」など、エロチックなものばかり撮っているイメージがある。今作でも、かなりの美少女ネネが、パンツを見せたり、おっぱいを出したり、…。ただ、彼女よりも、観るべきはヨウ少年(Sven Valsecchi)である。

ヨウは、無意識的にというか、女性に対する何かを先天的に持っているというか、とにかく危険なほどに早熟な男の子だった。男っ気の全くない家庭教師のおばさんに対しても、うっとりさせてしてしまう言葉ばかりを投げかける。まずはおばさんの男への愚痴を聞いてあげて「僕が大きくなったら、メイク・ラブを教えてあげるよ」とまで言う。スタイルの崩れた体であっても、純粋そうな綺麗な目で、おばさんの着替えをじーっと眺めるのだった。

あるとき、ヨウの家に、従妹のネネがやってくる。ヨウは、ネネのことが気になるようで、やっぱり着替えているところをじーっと眺める。「あなた、男の目で私を見てるわ」「僕が君のフィアンセだったら、裸を見せてくれる?」「だめよ。まだ子供じゃない。みだらな子ね!」ここから2人の関係(?)は始まる。

ヨウの想いをよそに、ネネは近所の別の男のことが気になって、その男のことばかりをヨウに話して聞かせる。ネネはヨウのことをまだ子供だと思って、軽く見ていたようだった。2人は何度か同じベッドで寝るのだが、ネネはなんと、その近所の男のことを考えながら、ヨウの手をとって自分の胸に押し当てたり、パンツの中に入れたりする。さらには、ヨウの真横で、一人で楽しみ始めた。

ヨウとネネの関係は、少しずつエスカレートしていく。ヨウはたまたま、両親がベッドでいちゃついているのを目撃し、いけないことを学ぶ。ネネにそのことを報告して「僕もやりたい。」と言い出す。驚いたネネだったが、なぜか「わかったわよ」と軽く承諾してしまい、布団にもぐってヨウのを舐め始める。「くすぐったいよ」「まだ小さいわね」「たくさん食べて大きくなるよ」

ラストでは、ネネは好きになった近所の男と、ついに野外でメイク・ラブを始める。ヨウはそれを見て涙を流す。そこに父親がやってきて激怒し、ベルトを抜いて、ネネと男をばしばし叩く。

2013/08/24

傷つけられた翼 (1977) <未>

Podranki (1977) ★★★★

この映画には、美少年が多く登場してきたと思う。見た目が日本の学生服に似た軍服(というのかな?)を着ていて、可愛さを際立たせていた。内容は暗めだが、ロシア(当時のソビエト)から見た戦争下の悲惨な状況が学べる映画でもある。以下に長々とあらすじを。

あらすじ
著名な作家であるアリョーシャ(Aleksei Cherstvov)が、戦争下での辛い少年時代を回想していく形で話が進んでいく。彼の両親、そして兄弟は、死亡、または行方不明で、姉のナターシャだけが、唯一彼のそばにいる肉親だった。当時の子供たちは常にお腹を空かしていて、飢えをしのぐために盗みを働くほかなかった。

アリョーシャの母親代わりだった姉のナターシャも、病気のために、わずか14歳にして亡くなってしまう。孤独になったアリョーシャは、かつて父親の同僚であったという男のところに引き取られるが、家族との関係がうまくいかず、1人で抜け出してくる。名前だけを頼りに、まだ見たことのない兄弟を探し始める。しかし、兄弟に会うことができたのは、数十年後、アリョーシャが作家として成功してからだった。

アリョーシャは少年時代の大半を、戦争孤児を受け入れていた軍隊で過ごすことになる。そこで、勉強や、銃の扱い方を学ぶ。アリョーシャは特に詩を書くことに興味を持ち、ノートに書きためていく。また、担任の女教師のことが気になり始め、彼女が裸で日光浴をしているところをこっそり覗いたりする。しかし、恋人といるところを目撃してしまい、窓際に体操すわりをして涙を流すといったことも。

学校の近くには、ドイツ軍が駐屯していた。アリョーシャの友達であるバーリャは、強制収容所にいた経験があり、そこで両親を失っていた。彼は常にドイツ軍の様子をうかがい、いつか大量の爆弾を投げ込んでやる気でいた。

ある日の授業で、「父親は戦争のために何をしたか」という作文の課題が出された。父親は生きていると信じている子もいれば、辛いことを思い出す子もいた。バーリャは、目に涙をためながら、一番に作文を書き上げて教室を出ていった。そして、ドイツ軍のところへ向かった。大量の手りゅう弾をロープでひとくくりにして、導火線に火をつけるが、持ち上げた途端ばらばらになってしまった。必死に火を消そうとするが間に合わず、その場で爆発してしまう。その後、クラスの子供たちが集められ、バーリャが書いた作文が先生によって読み上げられる。

その事件以降、一切の武器を持つことが禁じられた。ただアリョーシャは、枕の中に短剣を隠していた。その短剣は見つかり、取り上げられそうになるが、アリョーシャは必死でしがみついた。それは父親の意思を受け継ぐように渡された大事な贈り物だった。教官に向かって「ファシスト!」と罵倒したことが問題になり、アリョーシャの処分についての会議が開かれたが、そこで、つらい目にあってきた子供たちのことが見直される。少し救われるラストだった。


2013/08/22

村 (1982) <未>

Konopielka (1982) ★★★★

ポーランドの変な映画。IMDbによると、ドイツ語タイトルで Das Dorf = 村。電気も機械もない、文明からかけ離れたある村で起こった不思議な話。予算的にはそんなにかけていないと思われる映像。しかも白黒。話のメインはKaziukというおじさんだが、その息子役として少年が登場する。

かなりの頑固おやじKaziukとその息子Ziutek(Tomasz Jarosinski)は馬車に乗って、森へ木を伐りに行く。その途中で、2人は、謎の浮浪者と出会う。どこから来たのかを訪ねても、"I’m from the World."と答えるだけ。それ以降、村では異常な出来事が起こり始める。

あるときKaziuk一家の馬が子牛を産む。この異変を聞きつけた近所の人たちが集まってきて、ある男がわけのわからないことを言い始める。「悪魔がこの村を通り過ぎた。世界が変わり始める。牛が馬を産み、羊が豚を産み、男は男と寝て、女は女と寝る。太陽は西からのぼり、東に沈む・・・」というようなことを。

そのすぐあとに、村を文明化しようと、都会から男と女がやってくる。その女は教師で、しかも美人だったので、Kaziukは、ことあるごとにエロい夢や妄想に駆り立てられる。なんだかよくわからないが、最終的にその女教師の色気が原因で、村が壊滅したのだと思う。

女教師が村を出て行ってしまうと、Kaziukは、心にぽっかり穴が開いたのか、農業で使うのはタブーとされている(?)死神が持っているような長い鎌の刃を研ぎ始める。その様子を見た村人たち、さらには、映画の冒頭で出会った謎の浮浪者もどこからか現れて、Kaziukに忠告をするのだが、こっちの方が効率が良いといって、Kaziukはその長くて大きな鎌を使ってどんどんライ麦を刈っていく。止めに入った男と争いになって、ついには切りつけてしまう。

変な内容の割には、ラストの大きな木が燃えるシーン、そしてKaziukがただ一人呆然と突っ立っている光景には、妙にじんときた。今ここに書いた以上にいろんなことが起こっていて、書きたいことがまだあるが、上手くまとめられないし、長くなるので、割愛。


2013/08/20

ムーンライズ・キングダム (2012)

Moonrise Kingdom (2012) ★★

カラフルでホップな映像の割には、サム(Jared Gilman
)には両親がいなかったりして、さびしい話だと思った。正直言って全然面白くなかった。サムとスージーが浜辺でディープキスするシーンはなかなかすごいと思った。おっぱいも触っていた。映像がとても綺麗で、特にオープニングなんかは見入った。半ズボン姿のサムの足もきれいだった。(画像1)

とにかくツッコミがまったくない。ボケっぱなし。笑ってしまうぐらい面白いわけでもない。唯一、テントに泊まっていたサムとスージーが大人たちに見つかったときに、おじさんがダッシュで向かってくる場面はツボにはまった。(画像2)

見どころは、ボーイスカウトの制服姿の子供たち。時代設定が古いので、短い半ズボンをはいている。(画像3)これだけの映像美で観られる足。(脚フェチの人向け)それから、スージーの弟3人も可愛かった。(画像4)


2013/08/04

バード★シット (1970)

Brewster McCloud (1970) ★★★

「ハロルドとモード 少年は虹を渡る」のバッド・コート(Bud Cort)主演。ものすごいインパクトだった。登場シーンからとんでもなく不気味な目つき(画像1)。帽子を深めにかぶって、どこかあきらめたような雰囲気で、車を運転するさま(画像2)。そんな彼には空を飛ぶという絶対的な目標があった。その夢を邪魔するものは、次々と死んでいく。ブラックジョークが満載だった。

なかなか説明しづらい物語。盗んだ高級カメラで、動物園の鳥たちを撮影。鳥たちの骨格を研究し、金具で翼を組み立てる。懸垂を数百回こなし、筋肉も鍛える。邪魔をする者の顔の上には、ぼったりと鳥の糞が落ちてくる。次のシーンには、その人は死体になっているのだった。

お気に入りの場面は、夢が叶って、ついに空を飛ぶことの出来たシーン、ではなくて、次第に限界が見えてきて、ものすごく辛そうな悲鳴を上げながらも、必死で翼をはためかせるブルースターの姿。グラウンドに墜落した時の、人工翼の金具が地面にたたきつけられる、カシャーンと虚しい音。そんなラストのせいで、それまでにちりばめられていた笑い以上に、悲しい話になってしまった。

なんとなく、ブルースターを見ていると前向きになった。こういう駄目なやつもいるんだ、というような気持ち。