2013/11/28

ピンチ・シッター (2011)

The Sitter (2011) ★★★

仕事もせずに、だらだら過ごしている男が、あるとき3人の子供のベビーシッターを任される。「かいじゅうたちのいるところ」のマックス・レコード君が出演している。なかなか面白かったが、日本語字幕では伝わってこない、言葉遣いの面白さが多いような感じだった。

スレイター(Max Records)は、精神不安定。薬を入れたウエストポーチをいつも腰に巻きつけている。綺麗な顔をしているとか、モデルのようだとか言われていて、二枚目みたいな役どころだったが、マックス君のイメージとは、何か違うなと思った。それでしばらく観ていたら、実は彼はゲイだというオチがあった。

スレイターと仲良くしていたある友達が、途端に違う子とつるみ始める。スレイターは異常にショックを受けるのだが、それは友情とは別の感情だった。精神がおかしいと思っていたのも、自分がゲイだということに気づいていないことが原因だった。

スレイターの妹のブライスは、すごくませていて、風俗嬢のような厚化粧をしている。「ホット」と言いたい年頃のようで?イカしたことがあると、「ホットなパーティね!」というような言い方をする。妙に面白かった。

そして最後に、養子として迎えられたロドリコ。英語の発音はめちゃくちゃで、スペイン語でひどいことを言う。爆弾が好きでいつも持ち歩いている。遊び半分でトイレの便器などを爆発させる。

そんな強烈な3人とベビーシッターを任された、デブでさえない男のドタバタコメディ。ゲイだというスレイターのエピソードをもう少し観たかった。


2013/11/27

マイキー (1992)

Mikey (1992) ★★★

「チャッキーより、ダミアンより恐い!史上最高の悪ガキ!その名はマイキー!!」とあるが、そのとおりである。子供にこの映画を見せたら悪い影響しか与えない。マイキー役を演じたブライアン・ボンソール君も大丈夫なのか。人形とか、悪魔の子ではない生身の子供が、大人を何人も殺していくところは、たしかに史上最高の悪ガキである。むしろ悪ガキで済ましている場合ではない。

開始10分もしないうちに、マイキーは、家族を皆殺しにする。まずはお母さん。入浴している湯船にコンセントにつないだドライヤーを落として、丸焦げである。次に、床にビー玉を転がしておいて、帰宅してきたお父さんの足を滑らせる。上手い具合にガラスに突っ込み血だらけに。とどめはバットで頭を一発。幼い妹は、プールに突き落とし溺れさせる。そして妹が苦しむ様子を見下げるマイキー。警察が来るが役立たず。

引っ越してもマイキーは殺しをやめない。近所の女の子(といっても年上のお姉さん)に恋をして、彼女を独り占めできないことに腹を立て、殺してしまう。気に入らないやつ=殺してしまえである。子役にこんなことをやらせて大丈夫なのかと、不安に思わざるを得なかった。マイキーを演じたブライアン・ボンソール君が悪い大人になっていたとしたら、この映画に出演したことが原因だと思う。(画像5のブライアン君が…)

マイキーは、特別な力があるわけでもない普通の男の子なのに、大人が数人でかかっていっても、ことごとく返り討ちに。(みんな殺される!そこまでしなくても!)最後までマイキーは生き残り、続編も作れますよと言わんばかりだったが、これきり。

2013/11/17

ラスキーズ (1987)

Russkies (1987) ★★★★

リヴァー・フェニックスの弟、リーフ・フェニックスと、これまた彼の妹の、サマー・フェニックスが共演している。

仲良し3人組の、ダニー(Leaf Phoenix)とアダム(Peter Billingsley)とジェイソン(Stefan DeSalle)は、いわゆる戦争オタク。「第三次世界大戦の勃発だ!」とか「核戦争が始まるぞ!」とか、過激なことを口にする。特にダニーが言い放った、「お前の親父は、良心的戦争拒否者か!」には笑った。「お前は親父譲りのリベラル派か!」。それで、何でも物事を決めるときには、民主主義にならって、多数決をとる。そんな彼らがあるとき、ロシア人の漂流者、ミーシャ出会う。

3人はミーシャを見つけて怖がる様子はなく、漫画で見た世界が現実に現れたという感じで、すごく楽しそうだった。ミーシャの持っていた銃を取り上げて、彼を縛って、アメリカ兵さながらに尋問をする。しかし、すぐにトランプで遊ぶほど仲良くなる。ちゃっかりとロシア語も教えてもらう。そして、彼をロシアに帰す作戦を考え始める。

最後の一番の盛り上がりの場面は、もはや荒唐無稽という感じだったが、それまでの少年3人とミーシャの交流は面白かった。お金をどこから取ってきたのかと思ったが、ミーシャのために服を一式買ってあげて、マクドナルドにも連れて行ってあげる。一緒にプリクラも撮る。ジェイソンは、ボートの操縦ができるので、ミーシャ出国作戦の際には、彼がボートを運転し、まずはキューバに向かうというものだった。行動力のある少年たちだった。「1時間後に、ここに集合な」と言うと、「ラジャー!」と言った感じで、3人一緒に腕時計のタイマーをピピピとセットする。

時代的に、アメリカとロシアの関係が悪い時期だったこともあるのか、少年たちの両親と、迎えに来たロシアの水兵たちが心を通わせて仲良くなるというハッピーエンドだった。

2013/11/14

スウェーディッシュ・ラブ・ストーリー (1970)

En kärlekshistoria (1970) ★★★

「ベニスに死す」のビョルン・アンドレセンが出演しているということで有名。ほんの一瞬、3分画面に映っていたかどうか、という程度だが、「ビョルン・アンドレセンがスクリーンデビューを飾っている」ということが必ず引き合いに出されている。

余興を楽しむ作品というか、どうでもいいようなことばかりが印象に残った。例えば、冒頭から、おじさんがカンフーの真似なのか、甲高い声を上げてうろちょろしている。それでしばらく見ていると、中指を鍵づめの形にして、くいっくいっと動かして、「女はこれで喜ぶんだ」と言う。あと、家の中に扉を取り付けようとしている日曜大工のシーンでは、ネジの向きが逆だ、とか、だらだらやっていて、完成してみると、左右が少しずれていたり…。ここらへんは、なかなか面白かった。

残念だったのは、主役のカップルの、男の子の方である。可愛げがないというか、不細工である(失礼)。相手の女の子がものすごい美少女なので、さらにつりあわない。不良少年で、バイクを乗り回し、若いのに町工場で働いていたりするのだが、「ターミネーター2」のエドワード・ファーロングや、「僕の小さな恋人たち」のマルタン・ロエブだったら良かったなと思った。


2013/11/10

セ・ラ・ヴィ (1990)

La Baule-les-Pins (1990) ★★★★

姉妹のフレデリック(Julie Bataille)とソフィー(Candice Lefranc)が夏休みに親戚のところへ遊びに行く。両親は離婚寸前。子供たちは海辺で楽しく過ごしているのだが、大人たちはいろいろと揉めている。「フランスの思い出」のような感じ。

映画の中の子供たちがとても楽しそうで、あのころのような楽しい時間は、これからの人生にはもうないのだろうなと思って、切なくなった。でもまた違う楽しいことがあるのだと思っておこう。一番年下のティティをからかって、石鹸を食べさせたり、金魚が泳いでいるところに座薬を入れて、そのせいで色が白くなった金魚を見て大笑いしたり、海岸で催された砂の芸術コンテストに出場したりと、とても楽しそうだった。

近くに海岸があって、好きな時に泳ぎに行ける。思いっきりはしゃぐ子供たちだが、現地の子たちが所属しているクラブが浜辺を陣取っている。勝手に遊具で遊んでいると、監視しているおじさんに笛を鳴らされて怒られる。軽い差別を受けていた。砂の芸術コンテストでは、レネは一等賞を取るのだが、クラブの会員ではなかったので無効となる。子供たちは腹いせに、クラブが所有する遊具に火をつけるのだった。

子供たちだけで、夜中に冒険も敢行する。グループのお兄ちゃん的存在のダニエルが、「拷問の館」を見つけたというのだ。子供たちは、「拷問の館」を一目見たくて、ぞろぞろと歩いていく。結局そんな館は見つからず、家に帰って大人たちに怒鳴られる。

長女のフレデリックが、まだ出会ったことのない誰かに向けて、日記につけていくというのが美しかった。結局、姉妹の両親は離婚することになって夏が終わる。


2013/11/08

僕のアントワーヌ叔父さん (1971)

Mon oncle Antoine (1971) ★★★★

不思議な映画だった。前半と後半で雰囲気ががらりと変わる。前半は、「トリュフォーの思春期」のように、街の人たちの楽しげな様子が見られる。しかし後半になると、主人公のブノワ(Jacques Gagnon)に試練的なものが課せられて、とんでもないラストを迎える。ユーモアにあふれているという点では「トリュフォーの思春期」と似ているが、この映画のそれはよりブラック。主役のブノワが美少女を押し倒しておっぱいを揉むシーンなどあり。ストーリー性を排したような作品なので、退屈になってもおかしくないが、雰囲気だけでも十分に楽しめた。田舎の風景や、レトロな色調、そして美男美女。

印象的だった後半の場面。
ブノワの家は葬儀屋をやっていて、人が亡くなると、その家まで遺体を引き取りに行く。時代設定が古いので、自動車ではなく、馬車で何時間もかけて往復する。あるとき、叔父さんのアントワーヌに連れられて、ブノワも一緒に遺体を取りに行くことになる。彼は好奇心にあふれていた。

しかし、亡くなったのは、ブノワと年齢のそんなに変わらない男の子だった。家に着くと母親は泣いている。そんな雰囲気の中、2人は用意されていたごちそうを味わう余裕はなく、アントワーヌは酒を飲まずにはいられない。ブノワもキョロキョロして落ち着かない様子。

男の子の遺体を入れた棺桶を馬車の荷台に乗せて、来た道を引き返す2人。アントワーヌは完全に酔っぱらって眠っている。ブノワは一人でぼうっと馬車に揺られていたが、アントワーヌの懐から酒瓶を取り出して、ぐいぐい飲み始める。そして、手綱を振り回して馬車のスピードを上げていく。

すると、男の子を入れた棺桶が、雪の積もった道に落っこちてしまう。すぐに馬車を止め、棺桶を積みなおそうとするが、上手くいかない(重たいし、片腕を骨折しているから)。アントワーヌは酔っぱらっていて役に立たない。どうすることもできないブノワは、棺桶を雪の積もる道にそのまま放置して、家へ引き返す。

家に着くや否や、ばったり横になって動かないブノワ。死体を放置してきたというのに、2人は本当に無責任。酔っぱらっていて夢見心地。

そのあとようやく、棺桶を探しに、来た道を戻るブノワたち。しかし見つからず、結局男の子の家にたどり着いてしまう。窓からこっそり中を覗くと、家の人たちは棺桶を囲んで、泣き崩れている。窓越しに、何とも言えない表情をしているブノワの顔がアップになって、ストップし、エンドロールが流れる。