2014/03/28

ザ・ドゥ=デカ=ペンタスロン (2012)

The Do-Deca-Pentathlon(2012) ★★★★

二か月ぶりの更新は、ロン毛少年が登場する映画です。兄のマーク、弟のジェレミーのひねくれ者兄弟が、卓球やビリヤードで競い合い、どちらが強いか勝負する話。メタボなお腹を揺らしながら意地になってマラソンしたりプールを泳いだりする兄弟。どちらを応援するでもなく、なんとなく様子を見ているハンター少年(Reid Williams)。

男の兄弟と言うのは、この映画の二人のように、いがみ合ってることが多いと思う。それは大人になっても一緒なのか。子供のように、何の意味もない争いを続けている。兄のマークの方は、奥さんもいて息子のハンターもいて、一見良好な家族を築いている。弟のジェレミーは、定職に就かず、ポーカーで稼いだ金で食っている。お互いがお互いの生活を羨ましがっているのだ。マークからしてみれば、自由気ままに生活している弟のことがうらやましい。弟のジェレミーは、兄のように安定した生活を望んでいる。

兄のマークは、癇癪持ちだった。精神安定剤のようなものを飲みながら、気が狂いそうな日々をなんとか過ごしてきた。ところが、弟のジェレミーが実家にやってきてからというもの、少年時代に競い合い、中途半端に終わっていたドゥ=デカ(二人だけのオリンピックのようなもの)の決着をつけることになり、片鱗を見せ始める。弟のジェレミーは兄のことを「あいつは羊の皮を被ったオオカミだ」と言っていた。マークは奥さんから家で過ごすように言われても、ジョギングに行ってくるだとか適当な理由をつけて、ジェレミーの前に現れ、やれ走り幅跳びだ、やれゲートボールだと、顔を真っ赤にしながら挑んでくる。ときどき暴れだす父を、切ない表情で眺めるハンター。

最終的には、ガチンコの殴り合いに。表通りに出て、大人げなく意地の張り合いである。ところが今回も勝負は曖昧に。とうとう別れの日となると、ちょっとだけ二人の間に絆のようなものが生まれる。どうしようもないおっさん連中を見ていながら、純粋な少年二人を見ていたようだった。