2014/11/30

6才のボクが、大人になるまで。 (2014)

Boyhood (2014) ★★★

当時6歳だったメイソン(Ellar Coltrane)を12年間かけて撮影している。姉のサマンサも一緒に年を重ねていく。一つ思ったのが、メイソンもサマンサも、始めはすごく可愛いが、13、4歳ぐらいの思春期になると、もっさりした長い髪、ニキビなども出てきて、不細工になる。もう少し成長すると、イケメン、美人になっていく。大人になるためにはいったん醜くならないとだめなのか。

正直期待していたほどの内容ではなかった。12年間かけたといっても、数年おきにそれぞれの役者が一緒に撮影に参加して、って感じで断片的。どこの家庭にもありそうなホームビデオを古い年順に観た感じ。実際に撮影は、学校に通わなければならないメイソンのこともあって、各年の夏休み期間だけに限定されていたらしい。確かに役者の顔の変化は明らかだが、長い撮影期間が話題になっている割には、思ってたよりすごくないとがっかりする感じ。同じように1人の少年の人生を描いた「ニュー・シネマ・パラダイス」では、過去と現在がつながっていく的な、ずっと変わらず一貫したものがあった気がする。

ただ、それと比較するのも変な話で、この映画の場合は撮影を始めた段階で、シナリオはしっかり立っておらず、撮影しながらストーリーを構築していったらしい。より自然な形でメイソンの成長を追おうというコンセプト。それが行き当たりばったりに思えてしまったのだった。

12年間かけただけあって、その当時話題になった出来事、アイテムがこれ見よがしに画面に映される。メイソンが子供のころには任天堂のゲームボーイ、思春期ごろにはiPod。さらに政治の分野では、ブッシュ批判からの、オバマ推しなど。そしてハリポタ、レディガガブーム。子供のころのメイソンがドラゴンボールのアニメ見ていたのがうれしかった。部屋に張ってあるポスターやベッドの布団カバーもドラゴンボール。

観終わった時にはなんとも言えないむなしさが残った。メイソンが成長し、大学に行くために家を出ていく。そのときの母親の言葉が切なかった。「結婚して離婚して、あなたを育てて、今あなたは家を出ていく。このあと私に残っているのは葬式だけ」と、いきなり泣き出して言うのだった。思い返してみれば、家族にとっては辛い時間の方が多かった。生きていく意味を考えさせられる。

デリカシーのない父親が年頃の娘に向かってコンドームの話をするくだりが面白かった。サマンサもメイソンも照れと呆れの混じった顔をしていた。