Après la guerre (1989) ★★★★★
「フランスの思い出」に続いてジャン・ルー・ユベーヌ監督と彼の息子アントワーヌ(Antoine Hubert)によるほのぼの戦争ムービー。その2人に加えて今度はアントワーヌの実の弟ジュリアンも出演している。監督は血のつながった息子を、むしろそうだからなのか、思い切って女装させている。映画のポスターやビデオのパッケージにもアントワーヌの女装姿はばっちり映っているのでそのインパクトは強く、「フランスの友だち」というタイトルより先に「女装した少年が大きなライフルを抱えている映画」のイメージが来る。(うまくいえないけど)
さすがは血のつながった兄弟。映画の中でも2人のやり取りがナイス。兄が女装することが弟ジュリアンにとっては面白くて仕方がないようだった。町の人たちがアントワーヌのことを「お嬢ちゃん」と呼ぶたびに、ジュリアンは隣で笑いこける。アントワーヌは兄貴風を吹かして、弟に退屈な見張り役ばかりをやらせるのだが、戻ってきてジュリアンが見当たらないと「ジュリアーン!ジュリアーン!」と、べそをかく。自然と犬も後をついてきて、それに加えてパチンコで仕留めたニワトリをぶら下げ2人は目的地に向かう。アントワーヌはパチンコの名手で、女の人の頭に当てて気絶させてしまうほどだった。前作の「フランスの思い出」にも出ていた俳優演じるドイツ兵と道中出会い、3人が仲よく楽しそうに歩いていく光景がこの映画の最大の見どころだと思う。
しかし、そんなほのぼのしていてクスっとさせられてしまうような物語でも、終盤にはやはりフランス映画特有の陰気な暗さを帯びたものになる。ラストシーンでアントワーヌとジュリアンは抱き合いお互いに兄弟愛を確認しあうのだが、思えば彼らは本当の兄弟でしかもそれを撮っているのは彼らの父親だということを改めて思うと、なんて素敵な映画なんだと実感する。
あと、ニワトリの首を握りくちばしを卵にコンコンと当てて割る場面がなぜか脳裏に焼き付いている。それからアントワーヌが茂みで立ち小便をしているのを目撃した老人が「女の子が立ち小便をするご時世か」とつぶやくシーンも面白かった。
