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2015/09/22

キングスマン (2014)

Kingsman: The Secret Service (2014) ★★★

ツイッターやレビューサイトで面白い!最高!などと盛り上がっていたので期待して鑑賞。確かに見終ってみると面白かったと思えるのだが、とくに終盤が面白いのであって、前半はなかなか退屈だった。

前半に関しては、登場人物たちがなにがしたいのかが不明だった。キングスマンという秘密組織の入団テストを受けるのだが、何がしたくて理不尽なテストを意気揚々とこなしているのか。キングスマンになりたいという動機などが描かれてるわけでもない。なぜいきなりあれほど強くなるのか。

ノイジーな音楽とともに敵をぶっ倒していくのにはものすごい爽快感があった。シューティングゲームのような目線からの映像がかっこいい。シリアスな場面でもコミカルな演出を欠かさず入れるところとか良いと思った。(キングスマンのあいつが黒人のあいつに撃たれる場面とか。)

ラストの場面の敵のアジトを攻撃しに行く場面。衛星を破壊するために気球に乗って大気圏を超えたところからミサイルを発射したり、スパイならではの様々な細工武器で大量にいる敵をなぎ倒していくのは見ていて高揚感がすごい。

ただ、人の首が音楽に合わせて吹っ飛んでいくあのシーン。あそこは悪ふざけが過ぎているなという感じで全然笑えなかった。というより、そんなことができるなら最初からすればよかったのに。。「キック・アス」の劣化版という感じの映画だった。



2015/01/13

ファニーとアレクサンデル (1982)

Fanny och Alexander (1982) ★★★

319分を二日に分けて鑑賞。登場人物の話がいちいち長くて、集中して観続けてみるのはなかなか辛い。一度観ただけでは見落としている箇所や理解しきれていないところも多くあると思うが、話をまとめるという意味でもとりあえず感想を書いておく。じっくり時間をかけて進行していく群像劇の中で、少しずつ存在感を増してくる恐怖のようなものが、観てる側をひきつけるような映画だった。「1.エクダール家のクリスマス」「2.亡霊」「3.崩壊」「4.夏の出来事」「5.悪魔たち」と5章立てになっている。見るからにホラーチックな章題ばかり。

プロローグ
冒頭すぐにアレクサンデル(Bertil Guve)が不思議な妄想癖を持っていることがわかる。(あるいは霊感的なもの?)人型の彫刻がゆっくりと動き出したり、長い釜をもった死神が現れたりする。彼の目の前に現れる超常現象的なものは、彼自身が不安に思っていることや恐れているものばかりである。

第一章 エクダール家のクリスマス
伝統のある劇場を構えるプルジョワ家、エクダール一族は、クリスマスイブに豪華な晩餐会を催していた。しかしその光景はほとんど楽しそうには見えない。みんな何かしらの愚痴を言っている。嫌な感じの人間関係だった。屋敷の若いメイドに手を出すおじさん、幾度となく嫁を怒鳴るおじさんなど。中でも変だったのがカールというおじさん。「今から花火を見せてやる」と子供たちを誘いだし、階段を駆け上がったり下りたりを繰り返して、ズボンを下ろしてろうそくの前でおならをする。子供たちはそれを見て笑う。エクダール家はこの先大丈夫なのかと思う幕開けだった。

第二章 亡霊
アレクサンデルの父親が突然倒れる。父親が息を引き取る瞬間まで、アレクサンデルは恐怖のためにろくに父親と向き会うことができない。部屋の隅っこで膝を抱えて泣いていた。彼に比べて妹のファニーは泣き出すことなくしっかりと父親の死と向き合っているようだった。この時のアレクサンデルはまだ情けない感じだった。座長だった彼を失ったエクダール家は完全に落ち目。父親の死後、アレクサンデルの前には、父親の亡霊が現れるようになる。

第三章 崩壊
アレクサンデルの母親は劇団をやめて、結婚を申し込まれた神父の男のところへ嫁ぐことにする。アレクサンデルとファニーも連れられていく。何もかも捨てて新しい屋敷にやってきた3人だったが、そこでの生活は彼らにとって息の詰まる牢獄生活のようなものだった。夫は独自のルールを強要し、子供たちに厳しく接する。その厳しさは愛情ゆえだというが、アレクサンデルには義理の父から愛を感じることはできなかった。鉄格子がはめられていて、窓を開けることもできない部屋で過ごすファニーとアレクサンデル。

第四章 夏の出来事
この章では、義理の父親の言いなりになっていたアレクサンデルが反抗し始める。その報酬として、厳しい罰を受けるのだった。彼はお尻を鞭で叩かれて暗い部屋に監禁される。かつてこの屋敷に住んでいた娘の亡霊が現われて、アレクサンデルを怖がらせる。母親は耐えられなくなり、夫に離婚を申し込むが受け入れてもらえない。夫のことを殺したいと恨み始めるのだった

第五章 悪魔たち
いよいよクライマックス。エクダール家のおじさんたちが協力してくれ、子供たちは無事に屋敷から救出される。どうしても離婚させてもらえないので、母親は飲み物に睡眠薬を仕込んで夫を殺そうとするのだが、偶然に偶然が重なって、殺人罪にはとらわれず、事故死ということで収まる。別のところで保護されていたアレクサンデルが不思議な術を使ってそうさせたような見せ方になっている。

エピローグ
赤ちゃんも生まれて、エクダール家の復活を祝うパーティ。ただアレクサンデルのところには、焼死した義理の父親の亡霊が現れ、これからも悩まされるであろう終わり方だった。


2014/11/30

6才のボクが、大人になるまで。 (2014)

Boyhood (2014) ★★★

当時6歳だったメイソン(Ellar Coltrane)を12年間かけて撮影している。姉のサマンサも一緒に年を重ねていく。一つ思ったのが、メイソンもサマンサも、始めはすごく可愛いが、13、4歳ぐらいの思春期になると、もっさりした長い髪、ニキビなども出てきて、不細工になる。もう少し成長すると、イケメン、美人になっていく。大人になるためにはいったん醜くならないとだめなのか。

正直期待していたほどの内容ではなかった。12年間かけたといっても、数年おきにそれぞれの役者が一緒に撮影に参加して、って感じで断片的。どこの家庭にもありそうなホームビデオを古い年順に観た感じ。実際に撮影は、学校に通わなければならないメイソンのこともあって、各年の夏休み期間だけに限定されていたらしい。確かに役者の顔の変化は明らかだが、長い撮影期間が話題になっている割には、思ってたよりすごくないとがっかりする感じ。同じように1人の少年の人生を描いた「ニュー・シネマ・パラダイス」では、過去と現在がつながっていく的な、ずっと変わらず一貫したものがあった気がする。

ただ、それと比較するのも変な話で、この映画の場合は撮影を始めた段階で、シナリオはしっかり立っておらず、撮影しながらストーリーを構築していったらしい。より自然な形でメイソンの成長を追おうというコンセプト。それが行き当たりばったりに思えてしまったのだった。

12年間かけただけあって、その当時話題になった出来事、アイテムがこれ見よがしに画面に映される。メイソンが子供のころには任天堂のゲームボーイ、思春期ごろにはiPod。さらに政治の分野では、ブッシュ批判からの、オバマ推しなど。そしてハリポタ、レディガガブーム。子供のころのメイソンがドラゴンボールのアニメ見ていたのがうれしかった。部屋に張ってあるポスターやベッドの布団カバーもドラゴンボール。

観終わった時にはなんとも言えないむなしさが残った。メイソンが成長し、大学に行くために家を出ていく。そのときの母親の言葉が切なかった。「結婚して離婚して、あなたを育てて、今あなたは家を出ていく。このあと私に残っているのは葬式だけ」と、いきなり泣き出して言うのだった。思い返してみれば、家族にとっては辛い時間の方が多かった。生きていく意味を考えさせられる。

デリカシーのない父親が年頃の娘に向かってコンドームの話をするくだりが面白かった。サマンサもメイソンも照れと呆れの混じった顔をしていた。


2014/10/17

Osada havranu (1978)

Osada havranu (1978) ★★★

大昔、石器時代の話。一時間ぐらいで見やすかった。敵対する部族との争いや、仲間の裏切り、少年の成長と、わかりやすい物語。紀元前の話だからといって、猿みたいな人間が出てくるわけではなくて、登場人物はみんな白人。毛むくじゃらで汚れていてということもなく、美男美女もいる。

小さい布で隠しているだけなので、露出度が高かった。「蠅の王」「青い珊瑚礁」みたいだった。ただ、「蠅の王」でいうところの残酷な人間関係や、「青い珊瑚礁」の男女二人だけのアダムとイブ的な恋愛物語など、ハラハラドキドキの展開にはならず、普通の社会にも通じる一般的な話だった。男は狩りへ、女は家事。多く獲物が取れた時には、隣の集落に差し入れをして、よい関係を保つ。子供たちは、先輩たちの姿を見て、勉強したり、狩りの練習をしたりして、立派な大人になるための準備をする。

石器時代の映画を見たのは初めてだった。SF映画などで、猿だけの惑星とか、大昔が舞台になっていることがあるが、あくまでフィクション。それらに比べると、一応は当時の生活に近づけているのかもしれない。女の人でもわき毛がぼうぼうだった。その割りに髪の毛や肌はきれい。話とは別のところに注目してしまう映画だった。


2014/10/10

悪童日記 (2013)

A nagy füzet (2013) ★★★

昔読んだことのある小説が映画化した。普段あまり本を読まないので、映画化されると聞いた時から楽しみだった。「悪童日記」が好きになった理由としては、まるで作者に感情が籠っていないような、あっさりしている文章が、自分にとってはとても読みやすかったというのもあるし、簡単な文章の中に現れる、双子(ぼくら)や戦争の狂気みたいなものが、物語の世界観にぐいぐい引きこんでいってくれたからだった。文章の書き方について、ある人が、「少年の体のような文章」(無駄がないという意味?)と表現していたが、本当に少年の書いた日記を読んでいるようである。これは作者が母国語ではない言葉で綴った文章であるためだと言われている。普通の小説とは一味も二味も違っているところが気に入っていた。

それで、実写化された「悪童日記」のを観た感想としては、カルト映画と言っていいんじゃないのか、万人受けはしないだろうなって感じ。どろどろした家畜の餌とか糞だらけの、汚いおばあちゃんの家にやってきたのは、真っ白い小奇麗なシャツを着た少年二人。顔も服も綺麗な二人がまきを割り始める違和感。「メス犬の子供」と呼ばれ、二人とも同じ顔でおばあちゃんを睨みつけ、「死んでしまえ!」と言い捨てる。音楽も不思議だった。太鼓の音が聞こえてきた。一番期待したラストシーンは、期待以上の素晴らしさでみせてくれた。柵の上に座って、改めて覚悟を決めているような双子のうちの一人。地面から見上げるようなショットで、青空と一緒に映し出す。双子たちの手段を択ばない策略の後の、なんとも言えないすがすがしさ。

一応原作があって物語が存在するので、それには忠実になって映像化している印象だったが、何か微妙なバランスで話が展開していって、そこがまた原作の文章の狂気な感じとマッチしていると思った。傑作だったと思う。ただ、映像化不可能と言われたように、見て感想を表現することも不可能。とにかく見てもらって双子の魅力や戦争のえぐさが伝わればいいと思う。


2014/09/14

ラッキ (1992)

Lakki (1992) ★★★

ラッキ(Anders Borchgrevink)という少年が苦しんでいる姿を延々見せられたような映画だった。両親ともに問題を抱えていて、自分の部屋で悶々とし、学校に行っても嫌いな教師に目をつけられ、街に出ても変なおじさんに連れてかれるしで、八方塞がりのラッキだった。彼にとっての唯一の救いが、自分の背中に羽が生えてくるんじゃないかと、妄想することだけだった。羽が生えたり消えたりする夢を繰り返し見て、ベッドの上でのたうちまわっていた。途中から、浮浪者のような男にドラッグを盛られ、現実と幻覚が入り乱れた映像がしばらく続く。カオスだった。

つらい現実を忘れるための、ストレス発散方法を見つけておくといいと思う。映画を見たり運動をしたり、何でもいいと思うが、ラッキの場合は妄想することだった。幸せだった幼少期の思い出に浸ったり、羽の生えた自分の姿を想像して何とか凌いでいた。彼の部屋にはチェスボードが置いてあって、母親が触ろうとすると怒る。一人で駒を動かしている様子から、荒ぶれた中にも繊細さのある少年であることがわかる。

辛い少年時代を送った子は、将来的にその経験が何かしらの形で役に立つことがあると思う。それに打ち勝てば、たくましい人間になれるかもしれない。ただそれに打ち勝てず自殺してしまうこともある。まあ頑張るしかない。

ラッキが裸でもがいている姿など、よく作れたなって思った。「トムとローラ」「Barnens ö」のような感じ。もろには映っていないが、露出が激しく、ラッキという美しい少年の、ダークな面ばかり取りだてたイメージビデオのような映画だった。1時間40分見るには長く感じた。


2014/07/21

僕はもうすぐ十一歳になる。 (2014)

僕はもうすぐ十一歳になる。 (2014) ★★★

新宿のK's cinemaで一週間しか上映されないらしいので、観たい方は早めに。

十歳の男の子、翔吾(濱田響己)は昆虫が大好き。学校の友達と遊ぶよりも、一人で昆虫を追いかけているほうが楽しい。海外出張の多いお父さんになかなか会えないからといって、ひねくれている様子もない。話し方とか、表情とか、とてもクールな男の子だった。上映後の舞台挨拶で、翔吾を演じた濱田響己君を目の前で見たが、映画と同じように、クールな振る舞いで、目がきりっとしていた。

自分は子供の時、昆虫採集にはまったことはないのだが、何かを収集するということで、共通する思い出は多い。例えば、カードゲームなど、どのモンスターの攻撃力がどれだけ高くて、このカードにはこういった効果があるなど、すべて覚えていた。何千枚もあるカードの中から、母親に一枚選んでもらって、それについて説明してみせると、すごい記憶力だと驚いていた。興味のある事なら覚えられるのだった。これが英単語とかだったら、成績も良かったのに。翔吾も、助手である女の子が捕まえた昆虫の名を言い当て、昆虫博士っぷりを披露する。

この映画のテーマは死生観。昆虫を捕まえては殺し、標本にしていく翔吾が、父親の考え方や祖母の死に触れていくことで、命というものを意識し始める。最終的に、羽が破れて見た目の悪い蛾をごみ箱に捨てていた彼が、綺麗なテントウムシを捕まえても、空に逃がしてやるぐらいには、生物の命について考え始めたのだった。

全く予備知識がなかったので映画のテーマが最後まで分からず、どうなるのだろうと期待して観ることが出来た。全編を通して、何か怖いなと思ったのは自分だけではないはず。それらの原因は、翔吾の心が読めない淡々とした受け答え、お父さんの、ブータンで学んできたという生まれ変わりの意味深な言葉、ときどき見せる原因不明の寂しそうな表情、薄暗い照明の当たり方など、だろうか。特に怖さが最高潮だったのは、翔吾がおばあちゃんの遺骨を盗んできたとき。何をするつもりなのか予測できず、翔吾のクールさがさらに不気味さを煽った。家に帰って一人で部屋に籠り、こっそり盗んできたおばあちゃんの遺骨を顕微鏡でのぞく。そしてぼそっと「おばあちゃん…」とつぶやく。これだけ見ると、「この少年、何かがおかしい」と言ったフレーズのつけられていそうな、ホラー映画ぽく見えなくもない。標本にされている昆虫の隣に、おばあちゃんの遺骨も一緒に並べて、コレクションの一つにしてしまうのかと思った。そんなサイコな少年が出てくるホラー映画も少なくはない。そう展開しても面白かったかも(?)

もちろんそんな展開にはならず、おばあちゃんの遺骨は彼なりに供養して、川に流すのである。翔吾は命の尊さを意識しながら、これからも大好きな昆虫採集は続けていくべきだと思う。


2014/05/24

恋のレディ&レディ? (1992)

Ladybugs (1992) ★★★

最弱女子サッカーチームを優勝させるために、男の子のマシュー(Jonathan Brandis)が女装をして試合に紛れ込むという話。劇場公開時のタイトルは「恋のレディ&レディ?」で、ソフト化されたときに「恋のキック・オフ/警告(イエローカード)!女装プレイヤーは出場停止!」と変わっている。

万年ヒラ社員のチェスターは、社長の娘が所属している女子サッカーチーム「レディバグ」の監督を任される。今シーズン、優勝まで導くことが出来たら出世させてもらえるという条件付きだった。サッカーのことなど全く知らなかったチェスターはどうすればいいか分からず、付き合っている彼女の息子であるマシューをチームに入れてしまおうと考えた。女子のチームでプレーするなんて絶対嫌だというマシューだったが、メンバーの女の子に一目ぼれしてしまい、参加することを決める。運動神経抜群のマシューが入ったことで、チームは見事に勝ち進んでいく。

面白かったのは、チェスターとマシューが女物の洋服屋さんに出かけていく場面。男の子に女の子の服を買おうとしている様子を店員さんは変な目でみる。そして2人して試着室に入り、何やらごそごそしている。「そっとやって!痛いよ!」と言うマシュー、「今はキツいがじきにゆるくなってくるから我慢しろ」とチェスター。カーテンの向こうでおじさんが少年に女装させていやらしいことをしているように見せる思わせぶりなシーンだった。

あと、結局マシューが男の子だったということがばれて、落ち込んだチェスターがバーで飲み明かすというシーン。悩みがあったら打ち明けた方が楽になるぞと、バーテンダーが言う。それを受けてチェスターは正直に、「彼女の息子に女装させてプレーしたんだ」と言いうと、そっちの意味に取られてしまい、店から締め出されるのだった。

話しの設定では女装しているのはマシューだけだが、試合の様子を撮影するときには、結構男の子が女装してプレーしていたのではないかと思う。太った女の子がドリブルをするのだが、足元のアップになった時だけ、すらっとした足になって見事なボールさばき。また女の子の全身のショットになると、今みたいな細かなステップは踏めないだろというような太い脚に戻っている。オーバーヘッドキックでシュートを決める場面も、あんなこと女の子が出来るだろうか。実はみんなカツラをかぶった男の子だったのかもしれない。


2014/05/19

嵐の前 (2000)

Före stormen (2000) ★★★

主役のレオ少年(Emil Odepark)が、裸で女子更衣室に閉じ込められるというシーンは、以前にどこかのサイトか、YouTubeなどで観たことがあった。ようやく本編も鑑賞。日常のちょっとした学校生活が題材なのかと思っていたら、どんどん規模がワールドワイドになってきて驚く。身近な殺人事件から、中東の戦争問題まで。

学校で、ダンという悪がきに苛められているレオは、警官である母親の拳銃を盗んできて、あるときダンを撃ってしまう。ここからは、ガス・ヴァン・サント監督の「パラノイドパーク」的なドキドキ感。誰にも見られてない…もしかしたら上手く逃げられるかも…街の至る所では警官が見張っている。その日以降、レオの日常は恐怖でしかなくなる。

確かに、レオはダンからひどいいじめを受けていた。ダンの自転車を毎日磨いてピカピカにしておかなければならないし、学校ですれ違うたびに小馬鹿にされるし、あるときは、裸にさせられて女子更衣室に閉じ込められる。ただ、拳銃みたいな危ないものが身近で手に入ってしまったことがいけなかった。森の中で、レオがダンに銃を突きつけたときには、一気に立場が逆転。何でもしますから助けてくださいと、レオに懇願するダン。ただレオも、自分が拳銃を構えていることにびびってしまっていて、いつ引き金を引いてもおかしくない状況だった。案の定、ダンがちょっと迫ってきたら、銃声がとどろいて、ダンは倒れこむ。

ここからのレオの、人を撃ってしまった直後のどうしたら良いか分からない感じが良かった。一度は逃げ出そうとするのだが、やっぱり立ち止まって、倒れているダンのそばに戻ってきて、とりあえず、カツアゲされたお金を取り返すのだった。

詳しい内容についてはお世話になっているサイトの「ノースエンド先生の映画講座」に載っているのでそちらを参考にしてもらいたい。http://northcinema.web.fc2.com/northend/northend-f00-1.html
例の女子更衣室の場面で、レオのあれが一瞬映るが、ちょうどもじゃもじゃしかけている時期なので恥ずかしかったと思う…。

2014/05/18

ブレイブクエスト/勇者の剣 (1989)

Sigurd Drakedreper (1989) ★★★

部屋にある未見のVHSの中からピックアップして鑑賞。邦題は「ブレイブクエスト 勇者の剣」となっていて、allcinemaで調べてみると、「BRAVEQUEST」が原題のようにあったが、実は原題は「Sigurd Drakedreper」で、英題は「The Littlest Viking」である。完全に埋もれてしまっている作品だからか不確かな情報しか載っていない。邦題も内容無視で都合よくつけたようなものである。

原題からも分かる通りバイキングの話である。バイキングとは、“8世紀から11世紀にかけて、スカンジナビア半島やデンマークを根拠地として、海上からヨーロッパ各地を侵攻した北方ゲルマン族の通称。”とのことなので、この映画は一応歴史ものに分類されるはずなのだが、ビデオのパッケージに書かれている説明を見てみると笑ってしまう。「剣と魔法のファンタジー」とか書かれているが魔法なんて誰も使っていないし、伝説のドラゴンを倒せ!というのもなんとなく芯をとらえていない感じである。

そんなことはどうでもいいとして、映画自体は楽しめた。シガード(Kristian Tonby)の父は族長であり、兄たちも含めて立派な戦士であったが、あるとき敵対する部族が攻めてきて、殺されてしまう。まだ子供であるシガードが一族を受け継ぐことになり、周りからは復讐を期待されるが、心優しいシガードは人を殺すことなんて出来なかった。

シガードは着ているものは立派なのだが、当の本人はとても情けない少年だった。剣の訓練の時も、へっぴり腰の構えで、ちょっと剣を振り上げられると腰を抜かしてしまう。魚を取ろうとしても、川に落っこちて流されてしまったりする。そんなピンチの時にいつも彼を助けてくれるのは、捕虜や奴隷といった虐げられている人々だった。そんなこともあって、シガードは復讐をするのではなく、みんなで仲良くやっていこうということで、父から受け継いだ伝説の剣を谷底に投げ捨てる。敵の部族も含めて、次の世代を担う子供たちの方が平和的で話が分かるのだった。久しぶりの正統派王子様映画だった。


2014/05/17

向かい風 (2011)

Des vents contraires (2011) ★★★

クレマンを演じたHugo Fernandes君がイケメンだったので鑑賞。クレマンもかっこいいし、父親のポールも凄くダンディ。役者陣から街の景色、部屋の中の家具家電といった一つ一つのアイテムがすべてスタイリィッシュ。洗練されていることが伝わってくる画づくり。

ポールとサラは夫婦。あるとき2人は喧嘩をし、その後突然サラは失踪してしまう。残された夫のポール、息子と娘のクレマン、マノンの3人は、都会を離れてポールの地元に引っ越しすることになる。鳴かず飛ばずの作家であるポールは、そこで自動車教習所の教官をやりながら、新しい土地や学校になじめないでいる子供たちの面倒を見る。

次から次へと悪いことが起こる。うじうじした人たちばかりで暗かったが、そんな中で子供たちとサッカーや壁のペンキ塗りをする場面では、楽しそうでほっこりする。刷毛を使ってお互いをペンキで汚すだけではおさまらず、ポールはバケツからペンキをがっぽりそのまま手で取って、クレマンの髪の毛にべったりの塗りつける。そこまでしなくても。(画像10)

劇中で「ブラックホールのそのあとは、すべてがクリアになる」という哲学的な言葉が出てくるが、話の内容もそれに沿っていて、最後には家族は何とか立ち直ったようだった。ちなみに、イケメンのクレマン君の次回作、「ママはレスリング・クイーン」が2014年7月19日に日本で公開されるとのこと。(ヒューマントラストシネマ有楽町 ほか)


2014/04/16

バスタード (2011) <未>

Bastard (2011) ★★★

ギャラリーにも載せているマルクス・クロイヤー君の出演映画。「Wer früher stirbt, ist länger tot」の頃からは成長して声変わりもしている。顔はまだ幼くてきれいだが、脱いだ時の体を見ると、少しおっさん体型なような気もする(画像2)。役柄上、非常に怖くて性格がねじ曲がっている少年を演じているのが少し残念。クールなスケーター少年だった。

監禁されている男の子をめぐるサスペンス。「ぼくは怖くない」では大人たちに閉じ込められている男の子をミケーレ少年が救い出すという話だったが、逆にこの映画の場合は、14歳の男の子(Markus Krojer)が、同じサッカークラブに所属している友達を監禁してしまう。どうしてそんなことになっているのかは最後までわからず、ある女の子と一緒になって、ニコラスの足を鎖でつないで、スマホで動画をとったりして単純にいじめているように見える。その動画が学校中に出回り、犯人は誰だということで警察が動き出す。

レオンとマイナートはどうしてあんなに鬼畜な少年少女になってしまったのか。結局のところは彼らか育った境遇が原因で、愛情に飢えていたからだった。レオンは私生児で、養子にとられたのだった。夕食時でも全く話をせず、母親が気を使って話しかけてきたときには、フォークを投げつける。警察に事情聴取されているときも、適当なことばかり口にして、早く帰らせろだの言う。女の子の方のマイナートも、母親は水商売をしていて、酔っぱらって床に倒れこんでいたり、男と一緒にベッドをきしきしと鳴らしたりしている。マイナートがずっとイヤホンで音楽を聴いているのもその音を聞きたくないからだった。

レオンがニコラスを監禁した目的は、ニコラスの家庭に溶け込みたいがためだった。「ニコラスの居場所を教えてあげるから」という口実で、悪魔でも見るような表情をしているニコラスの両親と、女の警察官一人、それからマイナート、あと家の外では見張りが巡回している中でも、「パパ、ママ」と呼び、普通の家族の一員であるかのように振る舞う。最後に明らかになるが、実はニコラスの母親こそ、本当のレオンの母親だったのだ。事情があって、レオンは捨てられたのだった。普通の家庭で過ごしたいという実は純粋な思いが、犯罪に発展してしまったのである。「Chizkeik」のアリョーシャ少年のパターンである。

結果的にあんまり好きになれない作品だった。脚本にも粗さが目立つ。いくら心に傷を負った子供たちとはいっても、警察も含めてまわりの大人たちは、2人の言うことを簡単に聞き入れすぎである。挙句の果てに警察はあっさりと、たかが14歳の女の子に拳銃を盗られて、閉じ込められているニコラスは、銃口を向けられて、殺すと脅され、マイナートに至っては、最期まで誰からも愛されていなかったことに気付き、自殺してしまうという後味の悪いものである。


2014/04/12

ア・リトル・クローサー (2011) <未>

A Little Closer (2011) ★★★

70分程度のコンパクトな作品。BGMが挿入されておらず、人物同士の会話の声は聞こえているが、画面に映っている人物の口は動いていない、というような場面が何度かあったりして、詩的な感じに仕上げているのだと思う。2人の兄弟、マーク(Parker Lutz)とスティーブン(Eric Baskerville)とその母親。3人とも愛情に飢えている感じで、さびしそうだった。

母親は何気なく、町内会の集まりのような質素なパーティーに出向き、一人でドリンクを飲みながら、すました様子でいる。まったく何も起こらない日があったり、興味のないじいさんに声をかけられる日もある。ある男と紙コップに注がれたビールで乾杯をした日には、その男を自宅に招いてセックスをする。

思春期の子供たちもそれぞれで忙しい。兄のマークは学校には通っていない。自動車のディーラーのようなところで働きつつ、ある女の子とセックスをするために、母親の化粧台からとってきた指輪をプレゼントしたり、まずはフェラチオをしてもらったり、お互いにぎこちなく親密な関係になろうとしている。弟のスティーブンは、担任の先生のことが気になって、授業中にぼんやりと先生のおっぱいやお尻を眺めている。友達がエロ本を持ってきていたりして、家に帰って洗面台の前でオナニーに挑戦している。

映画の冒頭では、マークが木材にドリルで穴をあけたりして、家具を組み立てていると、弟のスティーブンが、かまってほしい様子で、しつこく兄に近づいてくる。ドリルが木材を貫通すると、その先にはスティーブンの顔面があり、ドリルが彼の目をかすめる。悲鳴が上がり、母親が駆けつけてきて、急いで病院に向かう。失明は免れたものの、それのせいでスティーブンは右目にずっと眼帯をつけている。学校では馬鹿にされたり、海賊みたいでかっこいいと言われたりする。

思春期の男の子は、時にはひどいやり方で先生たちを困らせる。この映画を観ていて、そういえば自分は先生に腹を立てたことはほとんどなかったなと思い出した。たとえ怒られても、不良っぽくなっている自分、ということでちょっとうれしかったぐらいだった。この映画でも、スティーブンの周りは、担任のことが気に入らず、あるとき、担任の女の先生の車にスプレーで卑猥な言葉などを落書きしていた。誘いを断れず、一緒に実行してしまっていたスティーブンだったが、担任の先生のことは、おっぱいやお尻を眺めているぐらい好きだったので、悪ガキたちが走り去っていった後、自分のシャツを脱いで、車の落書きを一生懸命拭っていた。


2013/12/11

ウォールフラワー (2012)

The Perks of Being a Wallflower (2012) ★★★

久しぶりに青春時代のわくわくした感じを思い出させてくれた映画だった。

中学時代までのチャーリー(Logan Lerman)はさえない奴だった。勉強はできたものの友達はおらず、「壁の花」のような存在だった。しかしすんなりと高校デビューをやってのけ、パトリックとその妹のサムといった、楽しい仲間たちと過ごすようになる。

率直な感想としては、理想的過ぎる青春時代だと思った。チャーリーは成績もよく、好きな女の子もいて、友達の家でドラッグパーティーである。観ていて面白いのだが、共感できる部分はほとんどなかったように思う。チャーリーが女の子に、おすすめの曲を入れたカセットをプレゼントして喜んでもらっていたが、同じようにCDに曲を入れてプレゼントしたら逆効果だったことならある。

模試の結果一つで、すごく落ち込んだり、飛び跳ねて喜んでいたりしたが、自分も高校時代はあんな感じだった。ただ、大学を卒業しようとしている今になって考えてみると、高校の時の成績とか、もっというと、どこの大学に進学したとかいうことは、そんなに関係のないことだと素直に思える。

映画で観る外国の学生生活はほんとに楽しそうだ。誰かの家に大勢呼んで、音楽かけて、踊り明かすなんてことは、日本にはない習慣。外国ではドラッグは割と簡単に手に入るものなのか。すごく楽しそうにやっている。いけないことだけれど。

この映画に期待したことは、青春時代の楽しいことより、その時期特有の辛さとかの方だったのだが、はっきり言ってチャーリーが抱えているのはぜいたくな悩みばかり。この程度で苦しんでいるようでは、イケてる友達や可愛い彼女をつくるなんてことは初めからあきらめている人たちの立場がない。

2013/11/28

ピンチ・シッター (2011)

The Sitter (2011) ★★★

仕事もせずに、だらだら過ごしている男が、あるとき3人の子供のベビーシッターを任される。「かいじゅうたちのいるところ」のマックス・レコード君が出演している。なかなか面白かったが、日本語字幕では伝わってこない、言葉遣いの面白さが多いような感じだった。

スレイター(Max Records)は、精神不安定。薬を入れたウエストポーチをいつも腰に巻きつけている。綺麗な顔をしているとか、モデルのようだとか言われていて、二枚目みたいな役どころだったが、マックス君のイメージとは、何か違うなと思った。それでしばらく観ていたら、実は彼はゲイだというオチがあった。

スレイターと仲良くしていたある友達が、途端に違う子とつるみ始める。スレイターは異常にショックを受けるのだが、それは友情とは別の感情だった。精神がおかしいと思っていたのも、自分がゲイだということに気づいていないことが原因だった。

スレイターの妹のブライスは、すごくませていて、風俗嬢のような厚化粧をしている。「ホット」と言いたい年頃のようで?イカしたことがあると、「ホットなパーティね!」というような言い方をする。妙に面白かった。

そして最後に、養子として迎えられたロドリコ。英語の発音はめちゃくちゃで、スペイン語でひどいことを言う。爆弾が好きでいつも持ち歩いている。遊び半分でトイレの便器などを爆発させる。

そんな強烈な3人とベビーシッターを任された、デブでさえない男のドタバタコメディ。ゲイだというスレイターのエピソードをもう少し観たかった。


2013/11/27

マイキー (1992)

Mikey (1992) ★★★

「チャッキーより、ダミアンより恐い!史上最高の悪ガキ!その名はマイキー!!」とあるが、そのとおりである。子供にこの映画を見せたら悪い影響しか与えない。マイキー役を演じたブライアン・ボンソール君も大丈夫なのか。人形とか、悪魔の子ではない生身の子供が、大人を何人も殺していくところは、たしかに史上最高の悪ガキである。むしろ悪ガキで済ましている場合ではない。

開始10分もしないうちに、マイキーは、家族を皆殺しにする。まずはお母さん。入浴している湯船にコンセントにつないだドライヤーを落として、丸焦げである。次に、床にビー玉を転がしておいて、帰宅してきたお父さんの足を滑らせる。上手い具合にガラスに突っ込み血だらけに。とどめはバットで頭を一発。幼い妹は、プールに突き落とし溺れさせる。そして妹が苦しむ様子を見下げるマイキー。警察が来るが役立たず。

引っ越してもマイキーは殺しをやめない。近所の女の子(といっても年上のお姉さん)に恋をして、彼女を独り占めできないことに腹を立て、殺してしまう。気に入らないやつ=殺してしまえである。子役にこんなことをやらせて大丈夫なのかと、不安に思わざるを得なかった。マイキーを演じたブライアン・ボンソール君が悪い大人になっていたとしたら、この映画に出演したことが原因だと思う。(画像5のブライアン君が…)

マイキーは、特別な力があるわけでもない普通の男の子なのに、大人が数人でかかっていっても、ことごとく返り討ちに。(みんな殺される!そこまでしなくても!)最後までマイキーは生き残り、続編も作れますよと言わんばかりだったが、これきり。

2013/11/14

スウェーディッシュ・ラブ・ストーリー (1970)

En kärlekshistoria (1970) ★★★

「ベニスに死す」のビョルン・アンドレセンが出演しているということで有名。ほんの一瞬、3分画面に映っていたかどうか、という程度だが、「ビョルン・アンドレセンがスクリーンデビューを飾っている」ということが必ず引き合いに出されている。

余興を楽しむ作品というか、どうでもいいようなことばかりが印象に残った。例えば、冒頭から、おじさんがカンフーの真似なのか、甲高い声を上げてうろちょろしている。それでしばらく見ていると、中指を鍵づめの形にして、くいっくいっと動かして、「女はこれで喜ぶんだ」と言う。あと、家の中に扉を取り付けようとしている日曜大工のシーンでは、ネジの向きが逆だ、とか、だらだらやっていて、完成してみると、左右が少しずれていたり…。ここらへんは、なかなか面白かった。

残念だったのは、主役のカップルの、男の子の方である。可愛げがないというか、不細工である(失礼)。相手の女の子がものすごい美少女なので、さらにつりあわない。不良少年で、バイクを乗り回し、若いのに町工場で働いていたりするのだが、「ターミネーター2」のエドワード・ファーロングや、「僕の小さな恋人たち」のマルタン・ロエブだったら良かったなと思った。


2013/10/27

木馬に乗った少年 (1949) <未>

The Rocking Horse Winner (1949) ★★★

49年制作のファンタジーホラー。イギリスの上流階級の家庭に生まれたポール(John Howard Davies)は、何の罪もない純粋無垢な存在なのだが、そんな彼が犠牲になることで、残された家族は悲惨な状況に。この映画のポールは、「処女の泉」で言うところの、殺された娘のような位置づけだった。

ポールの家庭は裕福であったが、ギャンブル好きの父親の失敗や、母親の無駄遣いが積み重なって、破産にまで追い込まれる。ポールは家族の置かれた状況をよく理解していなかったが、深刻そうな顔で話し込んでいる大人たちを見て、何とか自分も役に立てないかと悩みだす。

屋敷の使用人のバセットが、競馬でちょこちょこ稼いでいることを知ったポールは、馬のレースというものに興味を持つ。クリスマスには木馬をプレゼントしてもらった。またがって前後に揺らして遊ぶやつである。しかしそれは、呪いの木馬だった。

ポールには、木馬のささやき声のようなものが聞こえた。木馬にまたがると、何かに取りつかれて人格が変わったかのように、激しく揺らし始める。それで、次回の競馬のレースの結果がポールには分かるのだった。そんな不思議な現象を利用して、ポールと使用人のバセットは協力して、少しずつお金をためていく。

ポールの予想は怖いぐらいに的中するので、家族は以前の生活以上にぜいたくをし始める。母親は上品な着物を買いあさり、ファッション雑誌に載るようになる。ただ、ボールの様子は次第におかしくなっていく。木馬にまたがるたびに、魂を吸い取られているようだった。

家族が寝静まった深夜に、ポールは、心ここにあらず、というような様子で家の中を徘徊し始める。(暗い階段を上がっていくときの長回しが恐ろしかった。)例の木馬の置いてある部屋まで吸い寄せられていき、真っ暗な部屋で、狂ったようにバチバチと鞭をふるいながら、激しく漕ぎ始める。そして、馬の名前を叫ぶと、ばったり床に倒れこんでしまう。

つきっきりの看病もむなしく、ポールは息を引き取ってしまう。絶望しきった家族。使用人のバセットは、木馬を庭に持ち出して、オイルをかけて火をつける。そして、ポールのおかげで稼ぐことの出来た大金を、母親に渡そうとするが、「一緒に燃やして」と、かつてからぜいたく品に目のなかった彼女が言う。

普段は穏やかな少年が、木馬に乗った途端、別人みたいになるのが恐ろしかった。暗い階段を上がっていく場面では、カットを入れずにずっとポールの移動に合わせてカメラが動いていく。白黒映像な分、光と影がくっきり見られて美しかった。

2013/10/08

命をつなぐバイオリン (2011)

Wunderkinder (2011) ★★★

ユダヤ人の迫害をテーマにした作品。弱冠15歳にして、天才的なバイオリニストであるアブラーシャ(Elin Kolev)。そしてピアニストのラリッサ。2人が奏でる美しいメロディに合わせて、映像も美しい。さらに哀愁漂っていて、何とも言えない見事な雰囲気。

「神童」と呼ばれるアブラーシャと、ラリッサだったが、ユダヤ人ということで、虐げられる。2人と友達になったこれまたバイオリン弾きのハンナ。ドイツ人とユダヤ人の隔てを超えて、音楽でつながった3人の少年少女の絆は強い。

ナチスによるユダヤ人の迫害という歴史的な事実を、残酷描写は出来るだけ控えて、その分映像や音楽に重きを置いて、抒情的に仕上げてある。悪く言えば、メッセージ性が後退しているとも感じなくはなかった。

アブラーシャを演じたエリンコレフ君自身が、バイオリンを弾いている。弦をさばく細かい指の動きは、見ていてハラハラした。演奏を終えた瞬間は、思わず拍手したくなった。


2013/09/08

スペースインベーダー (1986)

Invaders from Mars (1986) ★★★

主役の少年を演じたのはハンター・カーソン君(Hunter Carson)。「パリ、テキサス」に続いて2度目の映画出演。まず衝撃的なのは、彼の成長ぶり。と言っても、下あごや頬、お腹まわりの成長。明らかにおでぶちゃんになっている。まあそれはそれで可愛いが、美少年のイメージからは遠のいた。ぶすっとしていてガキ大将的な風貌に。眉毛が薄い感じが中坊ヤンキー顔。(画像1)

面白いのは、走り方。バンザイしながらというか、手をバタバタさせながら走る(画像5)。追いかけられていて捕まったらまずいのに、そんな走り方なので、笑ってしまう。それから、ぼーっとした表情(画像6)。ん、どうしたの?と引っかかるような。

映画の原題の意味は「火星からの侵略者」。火星からUFOが飛んでくるという設定。デビット少年(Hunter Carson)の両親は火星人に取りつかれてしまい、様子がおかしくなる。朝食に出されるのは、山のように盛られた真っ黒焦げのベーコン。父親も母親もカリカリとスナック菓子のようにそれを食べる。

CGを使わずに、古典的な方法でクリーチャーを動かしたり、大きなカエルを口に入れたりする気味の悪さ、漂うB級感は、「チャイルド・プレイ」と似通っていると思った。せっかく怪物(宇宙人)を出すなら、チャッキーとまではいかなくても、クリエイティブなキャラクターをもっと登場させてほしかった。出てくるのは、丸くてのそのそと歩く生き物。マシンガンで撃たれると、上下に揺れて、弾丸を食らっていることを体で表現する。着ぐるみだろう。ぐちょぐちょした体の割に、USBの差し込み口のようなものがあったりして電子的でもある。お約束のあほな研究者も出てくる。身の危険よりも目の前に現れた未知の生物の方に興味をもっていかれて、近づいていく。結果、焼かれて炭にされていた。

ありがちなストーリー展開、演出ではあったが、この映画のラストについては、いまだに他では見たことのない異例が起こっている。ラストの短時間のうちにどんでん返し的なものが連続して2度も待ち構えているのだ。1つ目は「映画でそれありなの!?」と驚かされて、直後の2つ目はあまりの急展開にあっけにとられる。エンドロール中に席を立てなくなる。