2016/01/31

フォックスキャッチャー (2014)

Foxcatcher (2014) ★★★★

事実に基づいた話だということしか知らずに観た。最初から最後まで2時間以上継続する緊張感!直接言葉で語られることが一切なく、登場人物の境遇であったりその時の表情で何が起こっているのかを考えながら見ていないと、意味が全く分からず終わってしまう。

ジョン(大財閥の御曹司)はレスリングが大好きだった。しかし彼の母親はレスリングなんて下品だといって一切認めなかった。ジョンはずっと否定され続けているという意識を持ちながら育った。大金持ちで世間とは一線を引いた生活を送り、友達も1人もいなかった。自分にはない強さを求め、レスリングの金メダリストを屋敷に招き、自分はコーチとして君臨することで、自分自身が強くなったという錯覚に浸るのだった。

マークはレスリングの金メダリストではあったが、彼の功績は兄のデイブのおかげだと世間からは思われ、自分でもそう感じていた。ある日2人のところにジョンからおいしい話が転がり込む。不満に満ちた今の生活を変えるチャンスだと、意気揚々とジョンについていくマーク。これ以上のお金や名誉よりも、自分には今の生活の方が大事だと言って話には乗らないデイブ。

その後、屋敷での生活に慣れてきたころ、マークはコカインを常用するようになっていた。試合日が近づいているのにもかからわらず、トレーニングをやらずに仲間とテレビを見ながらビールを飲んでいた。やはり兄のデイブがいなければだめだということで、ジョンはデイブを屋敷に招く。

お金だけは持っているが、母親に怯え自分では何もできないジョン。何をしても兄貴には劣り、陰に隠れてしまうマーク。2人は似た者同士だった。ジョンは、そんなマークには勝者になってほしいと感じていた。しかし結局兄のデイブが活躍し、マークはレスリングを辞める。さらに、大きな権威であった母親は自分を認めてくれないまま他界してしまう。やけになったジョンはデイブを射殺する。

映画の最後にレスリングをやめたマークが別の形で活躍している場面がある。逮捕されて獄中で死亡したジョンと、レスリングではない異種格闘技の舞台で頑張るマーク。似たような2人でも人生の歩み方は大きく違った。


2016/01/25

フレンチアルプスで起きたこと (2014)

Turist (2014) ★★★★

夫、嫁、子供(姉弟)の4人が休暇中にアルプス山脈にスキーをしに来る。1日目の朝、ゲレンデのレストランで食事をしていると、突然爆発音が響き、遠くの山肌で雪崩が起きる。「大丈夫。プロの仕事だ」と夫は言い、家族を安心させる。ところが、徐々に雪崩が4人のいるレストランに近づいてきて、バルコニーで食事をしていた客たちが騒ぎ出す。その場は一瞬のうちにパニック状態になる。危機を感じた夫は、慌てて自分の手袋と携帯を持って、その場から逃げ出す。嫁と2人の子供をほったらかしにして。。。

結局雪崩はレストランに直撃することはなく、けが人は出ず収まった。しかし、その一瞬のうちに取った夫の「一人で逃げ出す」という行動を見てしまった嫁は、夫に対する不信感、被害妄想を抱くようになる。「この人は、いざという時に私たち家族を見捨て、自分だけ助かろうとする人なんだわ。。。!」

初日のその出来事により、楽しいはずの家族旅行は修羅場と化す。

人間の心理を描いた怖い映画のようでもあるが、シュールなコメディ映画としてみれば、笑える部分も多い。「この人は、私を見捨てたのよ!」と言って周る嫁に対し、「捉え方の違いだ!逃げ出したわけじゃない!」と必死で反論していたかと思えば、いきなり子供のように大声で泣き出したりする夫。クラブミュージックがガンガン響く中で、裸の男たちにもみくちゃにされる夫。(意味不明でw)

関係ないが、映画を見ている最中、ダウンタウンのコント「古賀」を思い出した。男仲間4人でスカイダイビングをするも、地上に着陸後、古賀という男1人だけ見当たらないのだった。3人は、最悪のことも考えて必死になって彼を探すが見つからない。警察沙汰にする前に、まずは古賀の家族に事情を説明しようと、古賀宅に訪問するのだが、玄関を開けたのは、古賀本人だった。スカイダイビングを終えたので、ただ帰宅した、それだけのことだった。

悪気は全くなく取った行動でも、捉え方によっては大きく人を傷つけることになる。

バスで山を下る最後の場面はほんとにひやひやした。「しっかり運転しろよ!」と本気でへっぽこ運転手に対して思った。あのラストシーンに込められた意味は。。。?




2016/01/02

ストレイト・アウタ・コンプトン (2015)

Straight Outta Compton (2015) ★★★★

2016年初映画!

街のチンピラが一気に有名になり、お金の問題等が絡んで結局落ち目になるという、ロックスターなどによくあるパターン。普段ラップやヒップホップを聞くわけではないので、N.W.A.というグループは知らなかったが、音楽がとてもかっこいいしちゃんとドラマもある良い映画だった。リズムに乗って頭動かしてる客もいた。

イージー・E!アイス・キューブ!ドクター・ドレー!など、メンバーの愛称が可愛い。でも歌っている曲は、ファックザポリス!とか、過激すぎてアメリカではラジオでも流せない内容のものばかり。

ファックザポリスのライブシーンはめちゃくちゃ上がった!社会現象になるぐらい有名になった彼らは、FBIから目をつけられるようになり、ライブ前に「ファックザポリスを歌ったら生きて帰れると思うなよ!」と警告を受けていたが、もちろんそんな脅迫には屈することなくファックザポリスを歌い始める。観客のテンションも最高潮に!その次の瞬間、警官が銃を乱射、会場は大混乱に。FBIも群衆に交じって、まじめな顔してN.W.A.のライブに参戦し、ファックザポリスが始まるのを今か今かと別の意味で待ちわびている様子は個人的に笑えた。

映画を見る限り、N.W.A.のメンバーはただ悪ぶって過激な曲を作っているわけではなく、正当な主張があって音楽を作っていたということが分かる。彼らの生まれ育ったコンプトンという町では、黒人が数人でかたまってランチしているだけで、警官が駆けつけてきて、「お前ら、何してんだ!どうせ悪だくみしてるんだろ!」と、言いがかりをつけられ地面にうつ伏せにされられるようなひどい街だった。ファックザポリスやその他の曲も、ありのままの彼らの日常を歌っていただけなのだが、反社会的思想を助長するということで、ねじ伏せられたのだ。「N.W.A.とは何の略だ?No Whites Allowed(白人お断り)か!?」「いや、Niggaz Wit Attitudes(主張するニガー)だ!」

日本でもおなじみの、赤色で「b」とか書かれたヘッドフォン、あれを開発したのはまぎれもないN.W.A.のメンバー、ドクタードレ!だということを知った。数年前、ヒップホップを聞くわけでもないのにデザインがかっこいいというだけの理由でモンスタービーツのイヤホンを使っていた時期があったが、この映画を見たら、ヒップホップとか聞かないのにあんなイヤホン使ってて、ダサかったなと思った。



輸入盤CDとかを買うとジャケットについてくるこのマークは、教育に悪いですよ!というマーク。N.W.A.が有名になったころから、過激なものにはつけなければならないという法律が作られた。国家をも動かしたギャングスタの創始者!N.W.A.!