ラッキ(Anders Borchgrevink)という少年が苦しんでいる姿を延々見せられたような映画だった。両親ともに問題を抱えていて、自分の部屋で悶々とし、学校に行っても嫌いな教師に目をつけられ、街に出ても変なおじさんに連れてかれるしで、八方塞がりのラッキだった。彼にとっての唯一の救いが、自分の背中に羽が生えてくるんじゃないかと、妄想することだけだった。羽が生えたり消えたりする夢を繰り返し見て、ベッドの上でのたうちまわっていた。途中から、浮浪者のような男にドラッグを盛られ、現実と幻覚が入り乱れた映像がしばらく続く。カオスだった。
つらい現実を忘れるための、ストレス発散方法を見つけておくといいと思う。映画を見たり運動をしたり、何でもいいと思うが、ラッキの場合は妄想することだった。幸せだった幼少期の思い出に浸ったり、羽の生えた自分の姿を想像して何とか凌いでいた。彼の部屋にはチェスボードが置いてあって、母親が触ろうとすると怒る。一人で駒を動かしている様子から、荒ぶれた中にも繊細さのある少年であることがわかる。
辛い少年時代を送った子は、将来的にその経験が何かしらの形で役に立つことがあると思う。それに打ち勝てば、たくましい人間になれるかもしれない。ただそれに打ち勝てず自殺してしまうこともある。まあ頑張るしかない。
ラッキが裸でもがいている姿など、よく作れたなって思った。「トムとローラ」「Barnens ö」のような感じ。もろには映っていないが、露出が激しく、ラッキという美しい少年の、ダークな面ばかり取りだてたイメージビデオのような映画だった。1時間40分見るには長く感じた。
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