飛行機の機内で鑑賞。有名なシェフだったカールが、自分の料理を評論家にめちゃくちゃにけなされたことをきっかけに、トラック屋台でサンドイッチを売る商売を始める。彼にとっては屈辱的な成り下がりだったが、息子のパーシー(Emjay Anthony)と協力して屋台をまわしていくうちに、これまでほったらかしだった彼との絆が深まったり、妻や友達のありがたみを実感して生き方を改めるのだった。
初めこそ嫌な仕事だと感じても、やっているうちにやりがいを見出せるという内容に勇気をもらえた。辛い状況になっても、その分家族一丸となって乗り越えていけるし、前向きに一生懸命やっていればきっと良いことがあると思えた。
包丁で野菜を切ったり、パンをあげたり、見ていて気持ち良いぐらいの手際のよさ。これほど料理がおいしそうに見える映画は他には知らない。彼らが作る料理がジャンクフードという馴染み深い食べ物だったのでそう思えたのかもしれない。チーズのとろーり加減など最高だった。
ツイッターがキーアイテムとなって話が進んでいく。息子のパーシーは、ネットに疎い父親の変わりに、SNSを使いこなしてトラック屋台の宣伝を担当するのだった。市場で材料を仕入れて回っている最中に、さりげなくツイッターでつぶやいて、戻ってくる頃にはトラック屋台の周りに人が列を作って今か今かと開店を待ちわびているのだった。短い動画をアップできるコンテンツ、「vine」なども登場してきて、そういえばこのアプリ知ってる、こんなのも映画に出てくるようになったのか、と思った。10歳の息子が器用にスマホを使いこなしている様子を見てカールは驚いていたが、自分も彼と同じように驚いたので、そろそろ時代の変化に疎くなっているのかもしれない。
ちょうど、ひと夏の体験を描いた話だったので、旅行帰りの自分の境遇と重なって感情移入できた。パーシーは夏休みを利用して、普段は厨房にも入れさせてくれなかった父親と、屋台の厨房でせっせと肉を焼きながら各地を回った。終盤になると、そんな夏休みの日々を一日一秒撮りためてあったvineの動画をつなぎ合わせて、父親にメールで送るのだった。(画像10) 「ニューシネマパラダイス」のキスシーンのつなぎ合わせを観たときのような感動があった。息子が作ったその動画を見ながらカールは目に涙をためていたが、真っ暗な機内で自分も目をうるうるさせてしまった。やっぱり夏休みは一年で一番楽しい期間。来年からは仕事なのでそんな夏休みはなし。
個人的に、父親と息子の関係を描いた作品にぐっと来るものがある。この映画もそのひとつ。コメディタッチなので、テーマやメッセージなど、押し付けがましくもない。「スコットと朝食を」のように、ハートフルな映画だった。機内の小さい画面で観たとはいえ、本当にいい映画だったと思う。
カール。息子のことなどほったらかしで、料理を作ることにしか興味がない。
息子を遊びに連れ出すのもうっとうしそう。
スケジュールを終えるとすぐにパーシーを残して、カールは厨房へ。
みんな大好き(なんでしょどうせ)スカヨハ。
父親と約束していた遊びもだめになったと告げられるパーシー。
父が仕事に向かうのをさびしそうに眺めるパーシー。
父がレストランを辞めてきて、2人で再出発。
お酒も飲んでみたり。
手を火傷しても、任された担当をがんばるパーシー。
パーシーのツイートによって、店は大繁盛。
夏休みの終わり。各地を屋台で回った1日1秒動画のつなぎ合わせシーン。
このカールの表情で泣いた。夏の体験を通じてカールとパーシーの間に生まれる絆。
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