憎いほど映像が美しかった。夏休み、山の中の別荘にやってきた父母息子の三人。緑生い茂る大自然の中、太陽の光をたっぷり浴びて、優雅にランチ。テーブルの上には赤ワインなんかおいてあって、フランス語で流暢におしゃべり。うらやましすぎる夏休み。しかし、浮かれすぎていたせいか、近所の住民との関係が色恋沙汰に発展し、家族はバラバラになり始める。。
13歳のアントワーヌ(Loïc Esteves)は、隣に住んでいる女の子に一目ぼれをする。タイトルを日本語に訳すと「初恋」。彼の甘酸っぱくて切ない初恋物語である。初めて女の子を好きになるのだが、その子にはすでにボーイフレンドがいた。目の前でいちゃいちゃする二人を、さびしそうに眺めることしかできないアントワーヌ。
アントワーヌが恋に落ちる女の子、アンナは、精神的に不安定だった。両親がいない間に、部屋に男友達、アントワーヌを呼び込んで、クラブミュージックもガンガンかけて、煙草を吸ったりドラッグをやったりしている。ちょっとだけやってみないかと、ジュースの中に混ぜ、アントワーヌにも飲ませるのだった。そこからのアントワーヌが、ぼんやりと虚ろな目をして、フラフラで、なんとも言えない色気を漂わせていた。彼の魅力たっぷりに作られたような映画。
オナニーする場面があった。好きな女の子にドラッグを盛られて、ふわふわしながら家に戻ってきて、窓から月明かりの空をぼんやり見つめる。ベッドに横になって、あの子のことを考えながら、しこしこし始めると、「こんな時間までどこに行ってたの!?」と、いきなり母親が入ってくる。ぎりぎりばれずに済んだ。
実らぬ初恋によって落ち込んでいるアントワーヌが、大自然の中を、クラシック音楽に合わせて歩き回る。そういう美しい場面が多い。誰にも悩みを相談できずに、自分の中にため込んでいくアントワーヌ。しかも、そんな風に歩き回っているうちに、次から次へとショッキングなことばかり目撃してしまう。特に、父親とアンナが、木陰でキスや、それ以上のことまでやっているところに遭遇したとき、アントワーヌは思わず涙を流す。
それにしても、アントワーヌの父親もどうかと思う。ずいぶん年の離れた女の子と、しかも野外でいやらしいことをし始めるのだ。息子のアントワーヌに見られてしまい、父親の威厳が完全になくなる。ただアントワーヌも、このことを誰かに言ってしまえば、家庭が崩壊してしまうかもしれず、誰にも言えない。まさか好きな女の子が、自分の父親と…
そしてそのあとの食事のシーン。アントワーヌは、テーブルに置いてある料理には目もくれず、父親をずっと睨みつけている。父親もその鋭い視線を痛いぐらい感じているのだが、恐る恐るちらっとアントワーヌを見るだけで、すぐに目をそらす。そんな二人の異常さを母親も察する。昼間の太陽に照らされ美しい緑の中、その場だけが異様な冷たさ。
最終的に、父親と女の子とのことは、みんなに知れ渡ってしまう。母親は泣いて、女の子は、海の方へ駆けていき、飛び込む。そしてアントワーヌは、女の子を追いかけて、おぼれているその子を救い上げるのだった。
アントワーヌ(Loïc Esteves)。
この色気…
ドラッグでぼんやり。
朝起きてからのジュースぐい飲み。
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