昔読んだことのある小説が映画化した。普段あまり本を読まないので、映画化されると聞いた時から楽しみだった。「悪童日記」が好きになった理由としては、まるで作者に感情が籠っていないような、あっさりしている文章が、自分にとってはとても読みやすかったというのもあるし、簡単な文章の中に現れる、双子(ぼくら)や戦争の狂気みたいなものが、物語の世界観にぐいぐい引きこんでいってくれたからだった。文章の書き方について、ある人が、「少年の体のような文章」(無駄がないという意味?)と表現していたが、本当に少年の書いた日記を読んでいるようである。これは作者が母国語ではない言葉で綴った文章であるためだと言われている。普通の小説とは一味も二味も違っているところが気に入っていた。
それで、実写化された「悪童日記」のを観た感想としては、カルト映画と言っていいんじゃないのか、万人受けはしないだろうなって感じ。どろどろした家畜の餌とか糞だらけの、汚いおばあちゃんの家にやってきたのは、真っ白い小奇麗なシャツを着た少年二人。顔も服も綺麗な二人がまきを割り始める違和感。「メス犬の子供」と呼ばれ、二人とも同じ顔でおばあちゃんを睨みつけ、「死んでしまえ!」と言い捨てる。音楽も不思議だった。太鼓の音が聞こえてきた。一番期待したラストシーンは、期待以上の素晴らしさでみせてくれた。柵の上に座って、改めて覚悟を決めているような双子のうちの一人。地面から見上げるようなショットで、青空と一緒に映し出す。双子たちの手段を択ばない策略の後の、なんとも言えないすがすがしさ。
一応原作があって物語が存在するので、それには忠実になって映像化している印象だったが、何か微妙なバランスで話が展開していって、そこがまた原作の文章の狂気な感じとマッチしていると思った。傑作だったと思う。ただ、映像化不可能と言われたように、見て感想を表現することも不可能。とにかく見てもらって双子の魅力や戦争のえぐさが伝わればいいと思う。
鳥肌立つ。
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