2013/09/22

パール・ハーバー (2001)

Pearl Harbor (2001) ★

基本的にこのブログには少年が出てくる映画しか載せないことにしていますが、これにはものすごく腹が立ったので、やり場のない怒りをぶつけます。

真珠湾攻撃についての映画。ぐだぐだと3時間もある。アメリカのことばかりで、日本からの視点では全く描かれない。日本軍は、単に、アメリカに忍び寄る得体のしれない敵国みたいな位置づけ。

確かに、日本人として、観ていて不愉快になるところはあったが、腹が立った原因はそこではない。実際にあった出来事について自分の国をひいきにしていても、映画として完成されていればそれで良いと思う。事実を捻じ曲げるのは許せないが。

腹が立ったのは、政治的なところではなくて、この映画に出てくるアホな女たち対してである。まさか、戦争もののはずなのに、真珠湾攻撃に入るまでの1時間半を、退屈なラブロマンスに費やすとは思わなかった。短い映画なら、すでに1本観終わって、何かメッセージを残している。この1時間半の男女関係を見ていても、得られるものは1つもない。登場人物の心理描写が薄い、というか表面的になぞらえてそれっぽくしているだけで、見ていて思うことは、「どうしてそうなった?」「早くしろよ!」ということばかり。

男も男で、女に振り回され過ぎ。戦争下で、危機に面しているはずの軍人がである。この映画の核は、一言でいえば、レイフ、ダニー、それからイブリンの三角関係。イブリンという女は軍の看護婦の一人。主役でもある軍人のレイフとダニーを手玉に取るとんでもないビッチ。検査の時、男たちのケツを見て喜んでいる。注射の打ち方が看護婦とは思えない。勢いづけて片手でお尻にぶっ刺す。あんなのは即刻クビにするべき。女たちの風貌からしておかしくて、軍隊に所属する5人程度の看護婦は、娼婦みたいなのばかり。「4000人の男たちに対して、私たち女は5人。楽園だわ♥」とか言っていた。

一番腹が立ったのは、ダニーたちが、射撃の訓練をしている最中のことである。派手なドレスを着たイブリンが、何の遠慮もなしに堂々と基地内を歩いてくる。男たちもアホで、「いい女だぜぇ」というノリで訓練を中断し、ダニーとイブリンを2人だけにしようと、本当にいらない気遣いをする。それで、イブリンは何の用事で来たのかと思って観ていたら、特に何もないのだ!それで、そのあと2人は許可もないのに戦闘機に乗りだして、夕焼けの空でロマンチックにデートである。戻ってくると、「教官に怒られる~」とか言って、「早く隠れろ~」と、中学生並みである。このくだりを、面白おかしい感じにしているのではなく、大真面目に感動的に演出しているので、もうだめ。

不愉快になる要素は挙げだすときりがないぐらいだが、もう一つレイフとダニーによるイブリンの取り合いについて。冒頭で、イブリンとレイフは会って間もなく結ばれる。ただレイフは戦場へ行くことになりそこで戦死する。イブリンはその時はさすがに悲しむ。(2人が恋に落ちるまでの過程が薄すぎて、そんなに愛していたのかと突っ込みたくはなるが。ケツにふざけ半分で注射針まで突き刺されている。)ただそのすぐ後で、死人のことはあっさり忘れたのか、今度はイブリンとダニーがくっつく。(ほんとにどうでもいい。早く戦争に行ってくれと思った。)と思いきや、死んだはずのレイフがまさかの帰還。イブリンとダニーがくっついているのを見て、レイフは恋人を奪われたという嫉妬心から、ダニーに殴り掛かる。ここでおかしいのは、レイフとダニーは、幼少期の時から、一緒に飛行機に乗るなどして兄弟同然のように育った仲である。そんな二人が、いったんは死んだと思われたのに、奇跡的に再会したのである。そんな奇跡が、会って短期間しか一緒にいなかったイブリンへの想いに、はるかに及ばないのである。恋愛事情はとりあえず置いといて、まずは挨拶ぐらいすればいいのに、レイフはダニーに会うや否や、睨み付け、罵声を浴びせるのだった。

この映画の良いところを挙げると、真珠湾攻撃のシーンは迫力があって良かった。それまでのアメリカがどうしようもなかったので、日本軍の攻撃によって目を覚ましたと思う。とても悲惨に描かれていて、日本もひどいことをしていたのだと思わせられた。ただ、残酷な描写の割には、この攻撃の被害者は3000人とあって、正直、「それだけ?」と思ってしまった。というのも、そのあと日本は原爆を落とされて、何十万という犠牲があったはずである。それを考えると、被害者面しすぎだと思った。

3時間費やして見ても、何の教訓にもならないし、特に日本人が観てもどうしようもない映画だと思う。「トラ・トラ・トラ!」の方をおすすめ。


2013/09/08

センチメンタル・アドベンチャー (1982)

Honkytonk Man (1982) ★★★★

街の酒場などで歌って回っている歌手のレッドは、オーディションを受けるために、ナッシュビルという町に向かう。甥のホイット(Kyle Eastwood)は田舎の農場で綿を摘んでばかりいる毎日に退屈していた。レッドは、彼も一緒に連れて行き、旅の途中にいろんなものを見せたり、体験させてあげたりする。ホイットを演じたカイル・イーストウッドは監督クリント・イーストウッドの実の息子らしい。

レッドとホイット(通称ホス)、それからおじいちゃんの3人が、ギターを弾きながらオープンカーを走らせていく。ああいう旅をしてみたい。そのときはホイットみたいなハンチング帽子もかぶりたい。どうしようもないのに、夢を追いかける人々。ホイットは、逮捕されたレッドを開放したり、金の取り立てを目撃したり、娼館で女の人に良いことしてもらったり、いろんなことを通して成長していく。レッドは運転がへたくそなので、ずっとホイットが運転手。

イーストウッド作品は人を簡単に死なせ過ぎだと思う。ついでに言えば、自分をかっこよくしすぎだとも感じる。この映画も途中まではハートフルでほのぼのとしていて良かったが、終盤に差し掛かると、「センチメンタル・アドベンチャー」というだけあって、そんな雰囲気になってくる。それまでもレッドは咳き込んではいたが、オーディション会場に着くや否や急に症状が悪くなるので、なにそれーという気持ちになった。少年との交流という点では「グラン・トリノ」に似ている。イーストウッドのハッピーエンドな作品が観てみたい。


アメリカン・ハート (1992)

American Heart (1992) ★★★★

刑務所から出所してきたばかりの粗暴な父親のジャック。どうしようもない父親だったが息子のニック(Edward Furlong)はついていく。息子の存在を面倒くさいものと考えているような父親だったので、ニックは突き離されっぱなしだったが、少しずつ2人の間には親子の絆が生まれてくる。

2人が一緒に生活しているのを見ていると、親子のはずなのに、どこかホモ臭が漂っている気がした。こう感じるのは自分だけではないと思う。ニックを演じたエドワード・ファーロングがセクシーすぎるし、父親のジャックも筋肉もりもり。製作者側が意図したに違いない。

サービス旺盛なことに、ニックは胸元がざっくり開いたTシャツを着ている。父親にパンチを教えてもらっているときに、右肩がずり落ちていたのがエロかった(画像6)。また、寝るときは二人とも裸。ニックは色白でセクシーだし、ジャックはムキムキマッチョなので、…。ところが、ジャックは新しい恋人を見つけると、ニックを外に追い出して、その女を部屋に連れ込むのだった。ジャックは彼女といちゃいちゃするのでニックといちゃいちゃはしません。

直接的な描写はないが、ドキッとするシーンはところどころにあった。ニックが夜の街を一人でふらふらしていると、知らないおじさんが車でニックに近づいてくる。そして、ニックを助手席に乗せて、下心ありげに「きれいな顔をしているね」と言い、ニックの首に手を回すのだった。

ずっとエドワード・ファーロングばかり気になっていたので、話の内容は二の次だったが、「俺も、若いときは、逃げてばかりいた」というジャックの言葉はちょっと響いた。それから、「小さなケツだ。ムショには入らないほうがいい」とニックに忠告するのも意味深だった。

スペースインベーダー (1986)

Invaders from Mars (1986) ★★★

主役の少年を演じたのはハンター・カーソン君(Hunter Carson)。「パリ、テキサス」に続いて2度目の映画出演。まず衝撃的なのは、彼の成長ぶり。と言っても、下あごや頬、お腹まわりの成長。明らかにおでぶちゃんになっている。まあそれはそれで可愛いが、美少年のイメージからは遠のいた。ぶすっとしていてガキ大将的な風貌に。眉毛が薄い感じが中坊ヤンキー顔。(画像1)

面白いのは、走り方。バンザイしながらというか、手をバタバタさせながら走る(画像5)。追いかけられていて捕まったらまずいのに、そんな走り方なので、笑ってしまう。それから、ぼーっとした表情(画像6)。ん、どうしたの?と引っかかるような。

映画の原題の意味は「火星からの侵略者」。火星からUFOが飛んでくるという設定。デビット少年(Hunter Carson)の両親は火星人に取りつかれてしまい、様子がおかしくなる。朝食に出されるのは、山のように盛られた真っ黒焦げのベーコン。父親も母親もカリカリとスナック菓子のようにそれを食べる。

CGを使わずに、古典的な方法でクリーチャーを動かしたり、大きなカエルを口に入れたりする気味の悪さ、漂うB級感は、「チャイルド・プレイ」と似通っていると思った。せっかく怪物(宇宙人)を出すなら、チャッキーとまではいかなくても、クリエイティブなキャラクターをもっと登場させてほしかった。出てくるのは、丸くてのそのそと歩く生き物。マシンガンで撃たれると、上下に揺れて、弾丸を食らっていることを体で表現する。着ぐるみだろう。ぐちょぐちょした体の割に、USBの差し込み口のようなものがあったりして電子的でもある。お約束のあほな研究者も出てくる。身の危険よりも目の前に現れた未知の生物の方に興味をもっていかれて、近づいていく。結果、焼かれて炭にされていた。

ありがちなストーリー展開、演出ではあったが、この映画のラストについては、いまだに他では見たことのない異例が起こっている。ラストの短時間のうちにどんでん返し的なものが連続して2度も待ち構えているのだ。1つ目は「映画でそれありなの!?」と驚かされて、直後の2つ目はあまりの急展開にあっけにとられる。エンドロール中に席を立てなくなる。


2013/09/07

ゾンビーノ (2006)

Fido (2006) ★★★

一度観た映画を繰り返して観る方ではないが、この映画はたまに観たくなる時があって、今回三度目の鑑賞(二年に一回ぐらいのぺース)。謎の放射能が地表に蔓延し、死体がゾンビとなって甦る。ゾムコンという会社が開発した首輪を装着することによって、ゾンビはペットのように従順になる。ブラック・コメディ映画。

全く知られていないし内容的に何があるってわけでもないが、独特な可愛い雰囲気が漂っているのでそこが魅力。主役のティミー(Kesun Loder)も可愛いし、ゾンビも可愛い。カラフルでポップな住宅街。そんな中で行われる人殺し。死んでもすぐにゾンビとなって生き返るので、首輪をつければ一緒に生活できる。

ティミーの家では一匹もゾンビを飼っていなかった。母親は近所の目ばかりを気にしていて、ティミーが悪がきにいじめられて、服を汚して帰ってきても、「こんなに服を汚して、近所の人たちに見られなかった?」と、ティミーのことよりそっちを気にする。

父親は息子のことにあまり関心がなくて、キャッチボールをする約束をほったらかして、ゴルフをしに行く。車に乗り込むときに、ゴルフバックがティミーの頭にゴンと当たる(画像4)。ティミーは仕方なくファイド(飼っているゾンビ)とキャッチボールを始めるが、ファイドにボールを当てているだけ。

ファイドが近所のおばさんを食べてしまったり、連れていかれたり、ティミーがファイドを取り戻すために施設に潜り込んだりする映画。改めて観てみると思ってたよりくだらなかった。でもやっぱり面白かった。


2013/09/04

死よ、万歳 (1971)

Viva la muerte (1971)  ★★★

パッケージの生首は、ファンド少年の父親。共産主義者だった彼は、妻に密告され、家族の目の前で連行されていったのである。「エル・トポ」のホドロフスキーと親交の深かったフェルナンド・アラバール監督による作品。自身の自伝的小説「虐殺の讃歌」を自らの手で映画化。

何を書けばいいかわからない映画だが、1時間半集中して観ていた。こういうアート的な映像は合わない場合は退屈極まりないが、怖いもの見たさからかそうはならなかった。

ストーリーとは直接関係のないショッキングな映像が大部分を占める。グロテスクで残酷な夢。ファンド少年の目には世界はあのように映っていたのかもしれない。

観ているだけでも痛いような映像の数々だった。その土地の文化や習慣なのだろうか、頭皮を剃刀で削って血を吸いだす儀式(?)や、針で作った輪をファンド少年の太ももに血がにじむほど食い込ませたり、母親に股間を思いっきり握られたり(そのときのファンド少年の悲鳴!)。豚の喉を切ると、血がどばどばと流れ出てくる。相当熱があるようで一面に湯気が立っていた。あんなのは初めて見たが、いつも豚肉を食べているということは、誰かがあのように豚を解体しているのだろう。そう思うとすごい。

今まで観た映画の中で一番ぐらいにグロテスクだったので苦手な方は見ないほうが良いと思う(これホント)。ホラー映画などのわざとらしいグロさとは違って生々しい。


2013/09/01

思春の森 (1977)

Maladolescenza (1977) ★★★

いろいろと問題になった作品で、日本でもDVDが販売されたあとに、すぐに回収処分になった。ちなみに原題のMaladolescenzaは、Malad(病んだ)と Adolescenza(思春期)の合成語とのこと。

ひどい映画だった。少女の露出もそうだが、それよりいじめの描写の方がひどい。真似すると悪いから子供には絶対見せちゃだめ。少年ファブリツィオ(Martin Loeb)は、少女ラウラを無理やり木に縛り付け、体に蛇をまとわりつかせるのである。泣き叫ぶラウラを、面白がって見ている。パンツも丸見え。中盤からは、少女シルヴィアも加わって、2人してラウラをいじめるのだった。シルヴィアは、完全にロリ顔(人形のような。画像3)で、好きな人は好きなのかもしれない。VHSを視聴したが、陰部にはもちろんモザイクがかかっていた。ファブリツィオとシルヴィアが全裸になって絡む場面では、画面いっぱいにモザイクがかけられていて、映画を見ているんだよね?とふと思った。

ファブリツィオを演じたマルタン・ロエブの出演作に、「ぼくの小さな恋人たち」がある。この作品は気に入っていて、マルタン・ロエブも美少年だったが、この「思春の森」では、性格も憎たらしいし、見た目も野暮ったかった。ただ、細い上半身についた筋肉は良かった。

「罪深き天使たち」や「子供たちの城」、「蠅の王」のように、子供の残酷な一面を上手く表現している数少ない作品だとは思うが、観ていて楽しくはない。もう一つ、映画の内容とは全く関係ないが、例のツ*ヤではこの作品をなぜか発掘良品扱いにしていて、通常の旧作の4倍の料金を取られた。(一週間100円→380円)これが「100人の映画通が選んだ本当に面白い映画」だとは思えないが。