脚本があの「Du er ikke alene」の監督、ラッセ・ニールセンと言うことで鑑賞。ただ今回は脚本のみで監督ではないからか、ホモ描写はなし。少年少女の現実逃避的なラブストーリーである。ちなみにラッセ・ニールセンはインタビューで、「好きなComing of age film(思春期映画)は?」と聞かれたときに、トリュフォーの「野性の少年」「大人は判ってくれない」や、「顔のない天使」「Streetwise」「春のめざめ」「I am Gabriel」、また日本映画の「誰も知らない」などを挙げている。
「Du er ikke alene」の主役の少年はキムと言ったが、今回の主役の少年もキムである。他のキャストの中にもなじみのある顔がいくつかあった。長髪で女の子みたいな顔をした男子が多い。そんな中でヒロインのマリアンは、女の子ではあるがきりっとした顔つきをしているので、性別がごちゃごちゃになっている感がある(?)
遊びたいのに、宿題があったり親がうるさかったりして、とにかく自由になりたい!という感じの思春期ものである。キム(Karl Wagner)と友達のオウルはつるんで街で騒ぎ、人に迷惑をかけている。映画館でブルース・リーのポスターを見れば、キャーキャー言いながらクンフーごっこである。パーティーに参加すれば、お酒を飲んで酔っ払い女の子に体を触られたりキスされたり。翌日に学校の更衣室で「昨日は指でやったぜ」とか男同士でニヤニヤ話している。
後半からの展開が面白くて、まさに自分にとっての理想的な生活だった。現実ではありえないかもしれないが、夢見心地でふわふわして観られる。キムがたまたま銀行に訪れたときに、銀行強盗が入ってきて、キムとそこにいた女の子のマリアンが車に乗せられて誘拐されるのである。そして山奥に連れて行かれるのだが、たどり着いた場所が、銀行強盗してきた後に向かうところとは考えられない、夏休みに過ごしに行く別荘のようなところなのだ。キムとマリアンは捕まってはいるのだが、犯人たちは好意的で、ろうそくが立てられている良い感じのテーブルで一緒にディナーである。そのあとはお酒を飲みながら、盗んできた本物の紙幣を使ってボードゲームをし、さらにキムとマリアンは、同じ部屋で寝ているので、お互いくっついていくというパターンである。
それでも2人は犯人たちの隙をついて逃げ出してくる。どこに向かっているのかも分からないでとにかく走っていると、これまたおしゃれな別荘を見つけるのだった。そこにはシャワーもついていて、食べ物もワインも置いてあり、2人でしばらくそこで過ごすことにする。2人だけの空間、裸になってロマンチックにいちゃいちゃし始める。別の日になると、別荘の持ち主の息子とその友達たちが現れ、5人の少年少女は学校にも行かず、森でキノコを採ったり、ギターを弾いたり、クンフーごっこをしたりして自由気ままな生活を送る。街に買い出しに行く時も、誘拐された子供だということがばれて、連れ戻されないように、フードを深くかぶっている。雑貨屋で誘拐された自分たちが一面に載っている新聞を見つけて喜んでいる。
パトカーがキムたちの過ごしている山まで捜索に来たときには、ようやく助けられるというのに、彼らにとっては逆に拘束されに行くようなものだった。街に戻ってきて母親がうれしそうにキムに抱きつくが、彼は無表情のまま。ラストでは、マリアンと引き裂かれ、「大人は判ってくれない」的な、やるせない顔が映ったところでカメラが止まり、アップになっていくという終わり方だった。
キム(Karl Wagner)
モロあり。
別荘でカンフーごっこ。
もう一人のイケメン。
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