2013/10/27

木馬に乗った少年 (1949) <未>

The Rocking Horse Winner (1949) ★★★

49年制作のファンタジーホラー。イギリスの上流階級の家庭に生まれたポール(John Howard Davies)は、何の罪もない純粋無垢な存在なのだが、そんな彼が犠牲になることで、残された家族は悲惨な状況に。この映画のポールは、「処女の泉」で言うところの、殺された娘のような位置づけだった。

ポールの家庭は裕福であったが、ギャンブル好きの父親の失敗や、母親の無駄遣いが積み重なって、破産にまで追い込まれる。ポールは家族の置かれた状況をよく理解していなかったが、深刻そうな顔で話し込んでいる大人たちを見て、何とか自分も役に立てないかと悩みだす。

屋敷の使用人のバセットが、競馬でちょこちょこ稼いでいることを知ったポールは、馬のレースというものに興味を持つ。クリスマスには木馬をプレゼントしてもらった。またがって前後に揺らして遊ぶやつである。しかしそれは、呪いの木馬だった。

ポールには、木馬のささやき声のようなものが聞こえた。木馬にまたがると、何かに取りつかれて人格が変わったかのように、激しく揺らし始める。それで、次回の競馬のレースの結果がポールには分かるのだった。そんな不思議な現象を利用して、ポールと使用人のバセットは協力して、少しずつお金をためていく。

ポールの予想は怖いぐらいに的中するので、家族は以前の生活以上にぜいたくをし始める。母親は上品な着物を買いあさり、ファッション雑誌に載るようになる。ただ、ボールの様子は次第におかしくなっていく。木馬にまたがるたびに、魂を吸い取られているようだった。

家族が寝静まった深夜に、ポールは、心ここにあらず、というような様子で家の中を徘徊し始める。(暗い階段を上がっていくときの長回しが恐ろしかった。)例の木馬の置いてある部屋まで吸い寄せられていき、真っ暗な部屋で、狂ったようにバチバチと鞭をふるいながら、激しく漕ぎ始める。そして、馬の名前を叫ぶと、ばったり床に倒れこんでしまう。

つきっきりの看病もむなしく、ポールは息を引き取ってしまう。絶望しきった家族。使用人のバセットは、木馬を庭に持ち出して、オイルをかけて火をつける。そして、ポールのおかげで稼ぐことの出来た大金を、母親に渡そうとするが、「一緒に燃やして」と、かつてからぜいたく品に目のなかった彼女が言う。

普段は穏やかな少年が、木馬に乗った途端、別人みたいになるのが恐ろしかった。暗い階段を上がっていく場面では、カットを入れずにずっとポールの移動に合わせてカメラが動いていく。白黒映像な分、光と影がくっきり見られて美しかった。




綺麗な屋敷。 







2 件のコメント:

  1. この少年の、今ではあまり見られないような髪型と服装がとても好きです!
    別人のようになったところを是非観てみたい・・・!けどホラーは苦手(;_;)

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    1. 久しぶりー^-^
      こんなに上品な少年が物凄い顔して馬にまたがってたよw
      結局死んじゃうし;;

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