2015/09/22

キングスマン (2014)

Kingsman: The Secret Service (2014) ★★★

ツイッターやレビューサイトで面白い!最高!などと盛り上がっていたので期待して鑑賞。確かに見終ってみると面白かったと思えるのだが、とくに終盤が面白いのであって、前半はなかなか退屈だった。

前半に関しては、登場人物たちがなにがしたいのかが不明だった。キングスマンという秘密組織の入団テストを受けるのだが、何がしたくて理不尽なテストを意気揚々とこなしているのか。キングスマンになりたいという動機などが描かれてるわけでもない。なぜいきなりあれほど強くなるのか。

ノイジーな音楽とともに敵をぶっ倒していくのにはものすごい爽快感があった。シューティングゲームのような目線からの映像がかっこいい。シリアスな場面でもコミカルな演出を欠かさず入れるところとか良いと思った。(キングスマンのあいつが黒人のあいつに撃たれる場面とか。)

ラストの場面の敵のアジトを攻撃しに行く場面。衛星を破壊するために気球に乗って大気圏を超えたところからミサイルを発射したり、スパイならではの様々な細工武器で大量にいる敵をなぎ倒していくのは見ていて高揚感がすごい。

ただ、人の首が音楽に合わせて吹っ飛んでいくあのシーン。あそこは悪ふざけが過ぎているなという感じで全然笑えなかった。というより、そんなことができるなら最初からすればよかったのに。。「キック・アス」の劣化版という感じの映画だった。



2015/09/19

ナイトクローラー (2014)

Nightcrawler (2014) ★★★★

こういうやつこそ世の中にいてもおかしくない本物の悪魔!
1人の男がパパラッチとして成功していくストーリー。ルイスは異常なまでの執念で、手段を選ばず、悲惨な現場をカメラで撮影しまわっている。何が彼をあそこまでさせているのか、第三者が見ても理解できないだろうし、感情移入はできないと思う。

おそらく彼は、何かに集中し始めると、それを成し遂げたくて周りが見えなくなってしまうタイプなんだと思う。特に、血なまぐさいグロテスクなものが好きでああいった悲惨な現場を撮影して回っているのではなくて、対象さえ別のものであれば、世間でいうところの天才実業家とかになれたんだと思う。

人間的にどうなの?って、この映画を見た人なら思うだろうし、最低な奴だという印象が強いのかもしれないが、自分の場合、ルイスのやっていることはちゃん計算されていて合理的だと思う部分もあった。

警察よりも早く事件現場に駆け付けて、直後の映像を撮影すれば、それは高値でテレビ局に売ることができる。交通事故のインパクトを増すためには、血まみれの死体を引きずってでも、車の横に配置することで、1つのフレーム内に車と死体を収める。とっておきの大スクープは、すぐには公開せず、さらに価値の増す場面まで隠し持っておく。

ルイスは、感情的なものが欠如し、かつ頭は良いということで、誰しも持っているずるがしこさ(?)を躊躇なく最大限に実行できるんだと思う。

個人的には、ルイスが悪いのではなくて、彼の撮影したような映像を興味本位でみる視聴者が一番悪いんだと思う。視聴率が上がるなら、テレビ局はその映像を得るためにお金を多く払うし、お金を多くもらえるなら、パパラッチはもっと過激な映像を求めて突っ走る。

ちなみに最近日本でもあった2人の中学生殺害事件。毎日のように、必要以上にニュースでやっていた。これは視聴者が騒ぐから悪いのだと思った。

特に経験やノウハウもなく、簡単に有名人になれてしまう、今どきのYouTuberというやつが、この映画のルイスになりえてしまう一番近い存在だと思った。見る側が正しいジャッジをしないといけない。彼らの動画のほとんどが面白くないということに気づかないといけない(?)


2015/09/13

バレエボーイズ (2014)

Ballettguttene (2014) ★★★

ルーカスが超絶イケメン。ノルウェイでバレエをやってる3人の成長物語。プロになってバレエだけで生活できるのはほんの一握り。そんなバレエの世界に挑戦するか、普通に勉強して普通の仕事につくか、中学から高校に上がる時期に、3人に選択が迫られる。

就職活動を思い出した。彼らとは大違いだった。就活の場合は、努力とか成績とか、そういうのはほとんど関係なかったと感じている。面接をこなしていけば、どこかからは内定がもらえる。特に入りたいという会社もなかった。

彼らはバレエがやりたいからバレエのオーディションを受けていた。自分の就職活動みたいに、とりあえずやらなきゃ卒業後は収入がなくて、食べていけないからやるって感じではなかった。

ただ、3人のうちのシーベルトは、バレエをやめようかと本気で悩んでいた。練習にすら来なくなった時期もあった。彼が悩んでいたのは、バレエをやっていてほんとにいいのか、将来大丈夫なのかという問題であり、単にめんどくさくなったとか、つらいとかいう甘えではなかった。

バレエスクールのオーディションを受ける3人。合格発表の瞬間は、見ていてほんとにどきどきした。

バレエは、スポーツというよりかは、エンターテイメントの一種だと思う。野球やサッカーのように、はっきり成績が出るわけではないし、必ずしも日々の努力が実るというわけではない。先の見えない世界だと思った。

ただ、ルーカスの場合は、3人の中でも、明らかに一番かっこいいし美しい。このルーカスがプロになれないなら、他に誰がプロになれるんだと思うぐらいの魅力があった。他2人の行く学校からはもちろん合格をもらい、さらにそこよりもレベルも高い一流のバレエ団体から、彼だけにオーディションのオファーが来る。そして、2000人の中の30人(←あいまい)に選ばれる。

ほんとに好きで、努力を惜しまず取り組んでいけるものがあるということは、大事だと思った。ルーカスが着ていたレザージャケットがかっこよかった。ダンディなひげを生やした、父親もかっこよかった。


2015/08/30

Ted 2 (2015)

Ted 2 (2015) ★★★

8月28日の金曜ロードショーで放送されていた「テッド」が面白かったので、2のほうも観に行きたいと思い劇場へ。日本人には理解できないようなアメリカのサブカルネタが満載で、自分もほとんど理解できるネタはなかったが、単純にテッドがかわいいなと思いながら見ていたのと、いつまでたっても子供なジョンが面白いなと思ったのと。1でお気に入りのシーンは「くまもんのほうが好きだ!」が口火となって始まるテッドとジョンの喧嘩のシーン。テッドはラジオについてるアンテナを手に取り、ジョンのお尻を赤くなるまでバシバシ叩く。

テッド2はどうだったかというと、まあ、面白かったかなという感じ。全体的にうまくまとまりすぎていた感じがした。テッドが所有物としてのただのテディベアじゃないと主張する裁判がメインになったりと、まじめな部分?もある内容だった。裁判でのテッドが証言する場面になって、「ようやく俺の番だ!チンカスども!」と言って証言台に走っていくテッドがかわいかった。

もっとバカなことをしてほしかった。(十分バカだったけど。)テッドとジョンの悪質なだけで、笑えない悪ふざけが何度か挿入されるのだが、もっと入れても良かったと思う。

テッドとジョンの、特に意味もない、悪質な悪ふざけ。

夜中にランニングしている人に向かって、リンゴを投げつけるシーン。テッドとジョンの彼女も一緒になって、4人して、ランニングしている人にリンゴを投げつけるだけのシーン。「運動なんかしてるから罰が当たるんだ!」と言ってげらげら笑う4人。

今回のテッドは吹き替えで観た。有吉さんがやっているテッドの声が聴きたかったから。おまけでテッドのシールがもらえて嬉しかった。


2015/02/25

トラッシュ!-この街が輝く日まで- (2014)

Trash (2014) ★★★★

ゴミ山で暮らす3人の少年たちが政治的に隠ぺいしなければならない情報の入った財布を拾ってしまったことで、警察から命を狙われることになる。ブラジルの警察は、まずいことになればゴミ山の貧乏人なんて始末してしまえばいいと考えている。

「僕たちが何をした」とラファエル、ガルド、ラットの3人の少年たちは訴えかけている。何をしたわけでもないのに虐げられてゴミ山で大変な生活を送っている。抵抗すると痛い目を見る、おとなしくしている方が利口だ、と考える大人もいるが、3人の少年たちは「正しいことをする」という単純明快な理由で、おじけづくことなく国家権力に抵抗するのだった。

実際にスラムで育った少年をキャスティングしたとのことで、素人の子供を主役にこれほど予算のかかってそうな大作映画をよく撮れるなと思った。(今の日本映画だと無理?)内容も素晴らしく、「リトルダンサー」などを楽しめた方は十分見る価値があると思う。若干映画的なご都合主義、ストーリー的にみたらうまくいきすぎだろと思える場面もあるが、それらがマイナスになっているわけではなく、映画の完成度を高めて見やすくもなっていると思う。あまりに現実的になりすぎず、ブラジルの黒い部分は多少グロテスクな表現を使ってでもしっかりと伝え、少年たちの正直な行動を観ることによって希望を与えてもらえる映画だと思う。

決して豊かではない社会の中でもそれらと上手く付き合って乗り越えていく少年たちに逞しさを感じた。ゴミ山で過ごす人たち、少年たちがいつか住みたいと思っている綺麗なビーチ、お手伝いさんを雇って立派な家に住んでいる政治家、ワイロを渡さないと通してくれない男、警察に追われている3人を助けてくれる親切なお姉さん。いろんな良いもの悪いものが混在した社会だった。

クライマックスに墓地で現れる女の子は幽霊なのかと思って観ていたが実存する女の子だった。


2015/01/13

ファニーとアレクサンデル (1982)

Fanny och Alexander (1982) ★★★

319分を二日に分けて鑑賞。登場人物の話がいちいち長くて、集中して観続けてみるのはなかなか辛い。一度観ただけでは見落としている箇所や理解しきれていないところも多くあると思うが、話をまとめるという意味でもとりあえず感想を書いておく。じっくり時間をかけて進行していく群像劇の中で、少しずつ存在感を増してくる恐怖のようなものが、観てる側をひきつけるような映画だった。「1.エクダール家のクリスマス」「2.亡霊」「3.崩壊」「4.夏の出来事」「5.悪魔たち」と5章立てになっている。見るからにホラーチックな章題ばかり。

プロローグ
冒頭すぐにアレクサンデル(Bertil Guve)が不思議な妄想癖を持っていることがわかる。(あるいは霊感的なもの?)人型の彫刻がゆっくりと動き出したり、長い釜をもった死神が現れたりする。彼の目の前に現れる超常現象的なものは、彼自身が不安に思っていることや恐れているものばかりである。

第一章 エクダール家のクリスマス
伝統のある劇場を構えるプルジョワ家、エクダール一族は、クリスマスイブに豪華な晩餐会を催していた。しかしその光景はほとんど楽しそうには見えない。みんな何かしらの愚痴を言っている。嫌な感じの人間関係だった。屋敷の若いメイドに手を出すおじさん、幾度となく嫁を怒鳴るおじさんなど。中でも変だったのがカールというおじさん。「今から花火を見せてやる」と子供たちを誘いだし、階段を駆け上がったり下りたりを繰り返して、ズボンを下ろしてろうそくの前でおならをする。子供たちはそれを見て笑う。エクダール家はこの先大丈夫なのかと思う幕開けだった。

第二章 亡霊
アレクサンデルの父親が突然倒れる。父親が息を引き取る瞬間まで、アレクサンデルは恐怖のためにろくに父親と向き会うことができない。部屋の隅っこで膝を抱えて泣いていた。彼に比べて妹のファニーは泣き出すことなくしっかりと父親の死と向き合っているようだった。この時のアレクサンデルはまだ情けない感じだった。座長だった彼を失ったエクダール家は完全に落ち目。父親の死後、アレクサンデルの前には、父親の亡霊が現れるようになる。

第三章 崩壊
アレクサンデルの母親は劇団をやめて、結婚を申し込まれた神父の男のところへ嫁ぐことにする。アレクサンデルとファニーも連れられていく。何もかも捨てて新しい屋敷にやってきた3人だったが、そこでの生活は彼らにとって息の詰まる牢獄生活のようなものだった。夫は独自のルールを強要し、子供たちに厳しく接する。その厳しさは愛情ゆえだというが、アレクサンデルには義理の父から愛を感じることはできなかった。鉄格子がはめられていて、窓を開けることもできない部屋で過ごすファニーとアレクサンデル。

第四章 夏の出来事
この章では、義理の父親の言いなりになっていたアレクサンデルが反抗し始める。その報酬として、厳しい罰を受けるのだった。彼はお尻を鞭で叩かれて暗い部屋に監禁される。かつてこの屋敷に住んでいた娘の亡霊が現われて、アレクサンデルを怖がらせる。母親は耐えられなくなり、夫に離婚を申し込むが受け入れてもらえない。夫のことを殺したいと恨み始めるのだった

第五章 悪魔たち
いよいよクライマックス。エクダール家のおじさんたちが協力してくれ、子供たちは無事に屋敷から救出される。どうしても離婚させてもらえないので、母親は飲み物に睡眠薬を仕込んで夫を殺そうとするのだが、偶然に偶然が重なって、殺人罪にはとらわれず、事故死ということで収まる。別のところで保護されていたアレクサンデルが不思議な術を使ってそうさせたような見せ方になっている。

エピローグ
赤ちゃんも生まれて、エクダール家の復活を祝うパーティ。ただアレクサンデルのところには、焼死した義理の父親の亡霊が現れ、これからも悩まされるであろう終わり方だった。