2014/10/16

Obediencia perfecta (2014)

Obediencia perfecta (2014) ★★★★★

寄宿舎で修行を積むジュリアンと、エンジェル神父の不思議な関係を描いた作品。神学校は規律が厳しく、もちろん女の子はいないし、そこで生活する年頃の男の子たちにとっては、欲求不満でおかしくなりそうな環境だと思う。あと、生徒たちを導く神父たちにとっては、若くて可愛い少年たちと毎日一緒に過ごしていれば、そのうち変な感情が芽生えてしまうかもしれない。そういった寄宿舎での危険な雰囲気がテーマになっている映画でいうと「バッド・エデュケーション」「The Boys of St. Vincent」など見たことがあるが、それらでは、子供たちを虐待した神父が悪い、と分かりやすい構図だったが、この映画では、子供たち、神父たち、どちら側の立場からも描いていて、奥が深いと思った。神父たちが、ジュリアンのことを気に入るのは分かるが、ジュリアンも、自分に良くしてくれる神父たちに悪い気はしていないようだった。しかし中には見るからにゲイである神父もいたりして、体を触られるなど被害を受けた生徒が、泣きながら親に電話をするという場面もあった。夜中に神父が子供たちの寝ている部屋に入ってきて、ある男の子のところへ行き、そっと起して、別の部屋にその子を連れて行くという場面も何度かあった。


ジュリアンは、神学校に入ることを親と約束していた。親とは離れるが、神学校全体が一つの家族という感じだった。神父と少年たちはお互いのことを、Father, Sonと呼びあうのだった。

ジュリアンは、いつも使っている枕と、弟がくれたテディベアを抱いて神学校へ向かう。この時のジュリアンはまだ弱虫だった。テディベアのことで上級生たちに女々しいと馬鹿にされたり、授業中に優等生っぽく振る舞うと、あとでいじめられたりする。しかし、そこは神父たちの支えもあって、ジュリアンは立ち直り、悪友たちともつるむようになって、煙草を吸ってみたりエロ本をのぞいたりと、普通の少年のように神学校での生活を楽しんでいたようだった。

そしてあるとき、生徒一人ひとりが足を洗われる儀式(?)が行われる。真っ白の服を来た男の子たちが横一列に座って、一人ずつ、足に水をかけられて、そこにキスをしてもらうのだった(画像4)。学校で一番地位のある神父、エンジェルは、以前から気になっていたジュリアンの前に来ると、ほかの生徒にするよりも、緊張した様子で、ジュリアンの足を洗い、キスをするのだった。

エンジェル神父は、完全にジュリアンのことが気に入ってしまったようだった。少年たちがシャワーを浴びるているのを見回りするときでも、ジュリアンのところで足を止めて、眺めているし(画像5)、外でサッカーをしている子供たちの中でも特にジュリアンを目で追う。彼がシュートを決めた時に、エンジェル神父の心も射抜かれたようだった。

ついにジュリアンは、エンジェル神父から声がかかり、彼の住む屋敷に招待される。学校で寝泊まりするのではなくて、しばらくの間、広くて豪華な屋敷で生活できるのだった。これは慣習のようなもので、神父に選ばれた生徒は屋敷で寝泊まりし、彼の世話係をするのだった。エンジェル神父は、ジュリアンに「私はなぜ君を選んだのかわかるか。君の足を洗った時、神が…」と小難しいことを言っていたが、神父たちも大変で、個人的に気に入ったという理由で一緒に過ごす少年を決めてはいけなかった。あくまで宗教上の理由をこじつけて、選出しなければならないのだった。ただ、実際のそのときのエンジェル神父の気持ちは分からない。

生活を共にしていくうちに、二人の関係は変な感じになり始める。もちろん、神に服従している身の彼らの間に恋愛感情などあってはならない。エンジェルもジュリアンもそのことは分かっていた。ただ、エンジェル神父は他の生徒よりもジュリアンをひいきしてしまうし、友達と雑談し笑っている彼を、遠くの方からにんまりと眺めているのだ。

ジュリアンにとっても、選んでもらったことがうれしくて、エンジェル神父にとって自分が一番の存在ででありたかったようだった。しかしあるとき、エンジェル神父が女の人といちゃいちゃしている様子を目撃してしまう。その時こそは、神父の悪口を言うことは重い罪だと分かってはいても、エンジェル神父に口答えをしてしまうのだった。

エンジェル神父は、膀胱に痛みを感じる持病のようなものを持っていた。夜中に、エンジェル神父がその痛みで悶えていると、それを聞いたジュリアンは、ベッドから起き上がり、エンジェル神父の部屋に行く。「紅茶を持ってきましょうか。」とか、心配そうに言う。エンジェル神父は「これは神が私に与えた試練だ」とか、ジュリアンに話して聞かせる。そうしてるうちに、エンジェル神父は明かりを消して、こっちにきてくれと、ジュリアンをベッドの中に入れるのだった。そこから真っ暗で何も見えなかったが、出産するときのように苦しそうな一定のリズムで呻き声が聞こえてくる。ジュリアンがエンジェル神父の股間を癒してあげていたのだと思う。そこが一番親密な場面だった。

次第に、二人の関係も終わりに近づいてくる。ジュリアンは、エンジェル神父にもらった神の言葉が書かれたカードを、自分だけにくれたものだと思っていて、大切にしていたのだが、他の子ももらっていることに気づいてしまう。ついには、「僕とだけ一緒にいて」と言うが、エンジェル神父は「一人を特別扱いすることはできない」と言う。

そしてまた、例の足に水をかける儀式の時期になる。エンジェル神父はいつも通り、新しく入ってきた男の子たちの前に行き、次なる子を選ばなければならなかった。その儀式の際に、エンジェル神父が涙を流したところで映画が終わる。ジュリアンと離れるのがさびしかったのか。


神父たち。右から二番目は間違いなくゲイ。 
いじめられるジュリアン。 
神父からは可愛がられる。 
(画像4)足に水をかける儀式。 
(画像5)シャワー室まで見回りされる。
エンジェル神父邸に呼ばれるジュリアン。 
「私がなぜ君を選んだかわかるか。」 
おしゃれ。だけどさびしそう。 


笑った顔がかわいい。
ジュリアンの血液入りウイスキー。 
ほうれいせんがいい
「だれもいないじゃないか」
ついにはエンジェル神父の前で水着を脱ぐ。
次のシーン。神に背いたことからの涙なのか。それとも。




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