アテネからドイツへ、会ったことのない父親を探して旅をする幼い姉弟を描いたドラマ。1988年、第45回ヴェネツィア国際映画祭・銀獅子賞。1989年、第2回ヨーロッパ映画賞・作品賞を受賞。
どちらかというと少女映画だった。内容もそうだけど音楽や映像とか、とにかくすべてが暗かった。父親に会いに2人だけでドイツを目指すが、父親がいるのかどうかも不明。弟が父親の夢をよく見るということだけが頼り。2人の孤独をひしひしと感じた。どこへ行っても街は閑散としていて、この映画に出てくる人物で元気な人は1人もいなかった。劇団員の男だけが唯一2人の姉妹に優しく接してくれる。ただ彼も、劇を演じることのできる劇場が見つからず、もうすぐ徴兵ということで、哀愁漂っていた。「僕はかたつむりさ。行くあてもなく、這い回っているだけさ。」みたいなことをつぶやいていた。街に雪が降ってくると、人々は立ち止まって空を見上げる。誰しもが静止している情景の中を、2人の兄弟だけが、手をつないで駆けていく。そしてさびしすぎるBGM。そのシーンが一番印象的だった。最後の最後までとことん暗くて、姉はヒッチハイクで乗せてもらった運転手にやられて、それからは自分の体をお金にすることを学び、その最終手段を使って(実際には使わずに済んだ)ドイツ行きのキップ代を手に入れる。こそこそせずに列車に乗れたことに姉弟は顔を見合わせて笑顔を見せるが、パスポートは持っていなかった。列車を抜け出し、向こう岸のドイツを目指してボートを漕ぐ。しっかりと見せてはいなかったが、銃声が響いていたし、姉弟は意識の中だけでドイツに到着したのだと思う。ドイツというか、遠い国。
このシーンは感動。
ヒッチハイクしたり。
切ない。
2人が最後に見せる笑顔。
「いったいどこへ向かっているんだ。」
「遠くよ。」
旅路の果て。
この映画、渋谷で上映していたのに見にいけませんでした・・・。とても、暗い話ですね。でも面白そう
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