2013/06/25

バダック 砂漠の少年 (1992)

Baduk (1992) ★★★

父親を事故で失い、バダック(運び屋)として、売り飛ばされる少年ジャファル(Mehrolah Mazarzehi)。唯一の肉親である妹とも引き離されてしまい、妹との再会を望み各地を行き来する。

「オリバー・ツイスト」のような話で、孤児オリバーの場合は街をうろうろしているところを捕らえられたが、この映画のジャファルと妹は、砂漠をさまよっているところを、金目当ての大人に捕まって、売り飛ばされてしまう。ジャファルは運び屋に、妹は、娼館のようなところに。

ジャファルを運び屋として買い取った集団の中には、「オリバー・ツイスト」で言うところのジャックのような、ずっとその道を生き抜いているユセフという名の少年がいて、彼からいろんな情報を聞き出す。ユセフは親切だったが、雇い主の大人2人に殺されてしまう。裸足の足を踏みつけられ、ロープで首を絞められる場面は衝撃的だった。

ジャファルは、妹に会いたい一心で、運び屋の組織を命がけで抜けてくる。しかし、行く先々で大人たちに騙されてばかり。今回も罠なんじゃないかと、観ていてひやひやさせられた。例えば、鉄線を掻い潜って国境を超えるのだが、先に超えてしまった者は、残された者のことなどどうでもよく、振り返りもしないで走り去ってしまう。

この映画みたいに、実際に子供たちが売買されるようなことが、今のイランの子供たちにも起きているなら大変なことだ。印象的だったのは、トラックの荷台に載せられた数十人の子供たちが、荷台から飛び降りる場面。みんな道路に体を打ち付けていた。とても危険な撮影だったのだろうと思う。そのあと、重い荷物を背負った子供たちは、全速力で荒野を駆け抜けていく。中には倒れてしまう子もいるような場面を、スローモーションで淡々と映し出すあのシーンはじんと来た。




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