2014/05/13

ジョー (2013) <未>

Joe (2013) ★★★★

MUD -マッド-」に出演したTye Sheridan君の次の映画出演作。ニコラス・ケイジ扮するジョーと、少年ギャリー(Tye Sheridan)の友情もの。めちゃくちゃな家庭で苦しんでいる少年の姿や、粗暴な男と少年の絆、あるところで毒蛇が現れたりするところなど、前作の「MUD -マッド-」と似ている部分が多い。また、「グラン・トリノ」を参考にしているのか、咳き込んでいて末期を予感させる一人の男が、少年のために自らを犠牲にし、その後少年がその男の車と連れていた犬を引き継ぐあたりなどは同じ。

辛い環境でもひたむきに頑張っている少年を演じさせるならTye Sheridan君、というように彼はキャラクターを確立させたように思う。そんなに顔が綺麗なタイプではないが、まだまだ若いながらいろんな苦楽を経験してきたような表情、笑顔は魅力的だと思う。劇中でギャリーは女の落とし方なるものをジョーに教えられるが、その内容はというと、さわやかな笑顔を振りまけ、とかなんかではなく、辛そうに、でも頑張って笑うような表情を作れ、というものである。「この笑顔で多くの女と寝てきた」と誇らしげであったが、これはニコラス・ケイジのあの独特なスマイルを皮肉ったギャグだったら面白い。

舞台となっているのは、人間関係がドロドロしていて、嫌な雰囲気で満ちている田舎町である。いま思いつく限りでは、今公開されているヒュー・ジャックマンの「プリズナーズ」、これから日本でも公開されるかもしれないシルベスタ・スタローン脚本の「Homefront」のあの感じ。ギャリーの父親は、禿げあがっていて白髪の長髪。浮浪者のような見てくれで、父親と言うよりはじいさん。どうしようもない奴で、息子が働いてもらってきた金を殴って奪い取るような父親である。そんな状況でも、家族は一番大切にしなければならないものだと教えられてきて、自分でもそう信じているギャリーは、ジョーのところで仕事を見つけ、「親父も一緒に働けるかい」と頼み、飲んだくれの父親をどうにか更生させようと健気である。ジョーはそんなギャリー様子を見て、これでは駄目だと彼のことを気にかけるようになる。ギャリーにとって頼りになる存在はジョーだけだったが、彼は前科を持っていて警察に盾突き、他人とけんかになるとぶちのめし、その報復で左肩をライフルで撃ち抜かれたり、生傷の絶えない男であった。

ジョーたちのやっている仕事が不思議なものだった。森の中で、謎の液体を放出する斧のようなものを振りおろし、樹をぐちゃぐちゃやっているのである。まるで樹の傷ついた部分から血でも噴き出しているかのようなグロテスクな描写だった。実はその液体は何かしらの毒で、それを浸透させることで必要のない樹を枯らしているのだった。




親父に殴られる。




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