「エル・トポ」に出てきた裸ん坊の男の子ブロンティス・ホドロフスキー君主演。彼の子役時代を観るのはこれが2作目。大人になってから出演した「サンタ・サングレ」など、実の父親アレハンドロ・ホドロフスキー監督の作品に多く出演しているが、この「El muro del silencio」は別の監督。
ブロンティス・ホドロフスキー君は個人的に好きな子役。謎めいたところが良い。「エル・トポ」では、登場シーンは少なく、まともに声を聞くこともなかったが、この映画ではしっかり観られた。
ジャンルは、サイコスリラー。過保護な母親に育てられたダニエル(Brontis Jodorowsky)は学校にも通っておらず、いつも一人で遊んでいる。映画のタイトルをそのまま訳すと「沈黙の壁」。ダニエルは、近所にある壁の向こう側で、自分だけの世界を作り上げているようだった。薄暗い中を自分で作ったブランコに揺られている姿は不気味だった。
ダニエルの母親レジーナは、病気がちで突然発作に襲われる。彼女とダニエルが住んでいる屋敷は本来彼らのものではなく、レジーナは自分が死んでしまったあとに、ダニエルが居場所に困らないよう必死になっている。しかし大切に思うあまり、ダニエルを半ば拘束気味に。ダニエルは、母親に発作が現れて倒れると、急いで薬を取ってくる。2人の絆は深いように思われた。
ダニエルは、親戚の叔父さんジョージの所に一時的に住まわせてもらうことになる。そこの子供たちと過ごす日々は、今まで過保護に育てられたダニエルにとって初めての体験も多い。ダニエルは食事を手で食べる行儀の悪い子供たちに連れられて湖に行く。脱いだ服を丁寧に畳むダニエルを見て他の子供たちは笑う。おそるおそるゆっくりと水に入ろうとするダニエルを担いで、投げ入れる。夜中、真っ暗な部屋で寝るダニエルは、怖くなって、隣の子のベッドに入るが、蹴りだされる。
そんなことを経て、ダニエルは少し強くなる(Coming of Ageもの?)。家の中の置物のわざと落として壊し、自分がやったと白状する。ベルトで叩かれるが弱音を吐かない。金の時計を盗み、それをお手伝いさんのせいにもする。あるとき屋根に上っていたダニエルをレジーナは目撃する。危ないと、ダニエルを叱ってビンタする。ダニエルは涙を流す。
ラストシーンではレジーナを再び発作が襲う。カバンの中にある薬を持ってくるようダニエルに頼む。しかしダニエルは冷たい目でレジーナを見るばかりで動こうとしない。今まで大切に育ててきた息子に裏切られるレジーナだった。
母親のレジーナと息子のダニエル。
泳ぐ練習。叔父さんに抱きついてばかり。
0 件のコメント:
コメントを投稿