「狼たちの午後」の少年版。ただ、主役のスティービー(Cameron Van Hoy)はガールフレンドもいるし、ゲイではない。
首を吊ろうとしている自分をビデオで撮影し、「マジでやるぞ?止めたい奴はいるか?」と、誰に訴えるわけでもなく、ただ怒りをぶつけるスティービー。
「この街は俺を殺そうとしている」「まともに息もできない」と言っているような13歳の少年に銃を持たせてしまえば、学校の通り道にある銀行にふらっと立ち寄って、銃をぶっ放し、占拠してしまいかねない。スティービーが突然起こした行動に、一緒についてきたガールフレンドのロッキーは、始めこそはうろたえるが、占拠している間はずっと楽しそうな表情を浮かべている。13歳ぐらいの子なら実際そんなものなのかもしれない。
警官から要望はなんだと聞かれたときに、「まずはちゃんと呼吸をさせろ」と、訳の分からない要求を突き付けるが、毎日の生活に不満ばかりを感じているスティービーの心境を理解できた。喘息を患っていたことなんかは二の次だと思う。
実際にあり得てもおかしくない話だと思う。大人になるのが嫌で、「俺たちに明日はない」のような退廃的なものにあこがれを持つ若者は多いはず。ラリー・クラークの「Bully」のような若さゆえの狂気(?)をこの映画でも感じた。劇中で「ベテランのギャングに何が一番怖いか尋ねると、悪にあこがれる13歳に満たない少年だと」という言葉があった。
「狼たちの午後」でもそうだったが、あれだけFBIに囲まれて、うまくいくはずはないと分かっていても、十分に引き付けられる映画だった。たてこもっている犯人と人質、外の警官の心理的な描写が面白い。
小指で。
過去。
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