2013/05/14

はかない風のように (1985)

Drzanje za vazduh (1985) ★★★★

中古のビデオ屋でたまたま見つけて、可愛いパッケージと値段の安さに惹かれて購入したこの映画だったが、当たりだった。DVD化も望めず、話題にも上がらないような作品は、自分だけのお気に入りという感じがして嬉しい。少し寂しくて、健気な子供を描いた内容(「メリー・ゴーランド」「クリスマス・ツリー」のような)は、個人的に好きなので、おすすめの作品があるよという方は、ぜひコメント欄にでも。

孤児院で生活しているミラン(Marko Vojinovic)は、周りの子供たちよりも年下で、小さい男の子だった。彼の身元に関する情報は全くなかったが、自分にはお兄ちゃんがいて、いつか必ず迎えに来てくれると信じている。決してめげずに大人の管理人に悪態をつくほど元気がいい。

街でパン屋を営む夫婦がミランを引き取ってくれるという良い話があったが、兄を待ち続けているミランは夫婦に引き取られることを拒み、対面の時にわざと悪い子を演じる。「僕は盗みも働くし、手榴弾だって爆発させるんだ」と言い、夫婦を驚かせていた。

孤児院の子供たちの間では、手榴弾のピンを抜いて、どれだけ手に持っていられるかという度胸試しが流行っていた。手榴弾なんてどこから手に入れてくるのだろうと思ったが、部屋の壁の裏には、何個も隠されていた。

孤児院の創設者であり、年はもう80歳を過ぎているというおじいちゃんが、行先が決まって巣立っていく子供たちにピカピカの金貨を持たせるのが、ほのぼのした。こんなところに居たくないと言って無理矢理出ていく子供にも、決まって金貨を持たせるのだった。

ミランが話す兄の話は空想だとみんなに思われていたが、あるとき弟を探しているというグレゴリーが孤児院にやってくる。兄弟だと証明するものは何もなかったが、ミランはグレゴリーに抱き着いて、グレゴリーもミランは自分の弟だと認める。

孤児院を出てからのミランは、盲目の祖父に会ったり、愛のキューピットをつとめたりと、可愛さを振りまいていた。最後には、ミランはグレゴリーに墓の前に連れられて「本当の弟はもう死んだんだと」と聞かされるが、そのことを認めたくないミランは「思い出した まだ弟がいたんだ 赤ん坊のね」と言っていたのが切なかった。



おもちのように洗われていた。


孤児院を巣立つときにもらえる金貨。



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