2013/12/11

ウォールフラワー (2012)

The Perks of Being a Wallflower (2012) ★★★

久しぶりに青春時代のわくわくした感じを思い出させてくれた映画だった。

中学時代までのチャーリー(Logan Lerman)はさえない奴だった。勉強はできたものの友達はおらず、「壁の花」のような存在だった。しかしすんなりと高校デビューをやってのけ、パトリックとその妹のサムといった、楽しい仲間たちと過ごすようになる。

率直な感想としては、理想的過ぎる青春時代だと思った。チャーリーは成績もよく、好きな女の子もいて、友達の家でドラッグパーティーである。観ていて面白いのだが、共感できる部分はほとんどなかったように思う。チャーリーが女の子に、おすすめの曲を入れたカセットをプレゼントして喜んでもらっていたが、同じようにCDに曲を入れてプレゼントしたら逆効果だったことならある。

模試の結果一つで、すごく落ち込んだり、飛び跳ねて喜んでいたりしたが、自分も高校時代はあんな感じだった。ただ、大学を卒業しようとしている今になって考えてみると、高校の時の成績とか、もっというと、どこの大学に進学したとかいうことは、そんなに関係のないことだと素直に思える。

映画で観る外国の学生生活はほんとに楽しそうだ。誰かの家に大勢呼んで、音楽かけて、踊り明かすなんてことは、日本にはない習慣。外国ではドラッグは割と簡単に手に入るものなのか。すごく楽しそうにやっている。いけないことだけれど。

この映画に期待したことは、青春時代の楽しいことより、その時期特有の辛さとかの方だったのだが、はっきり言ってチャーリーが抱えているのはぜいたくな悩みばかり。この程度で苦しんでいるようでは、イケてる友達や可愛い彼女をつくるなんてことは初めからあきらめている人たちの立場がない。

2013/12/10

孤独な天使たち (2012)

Io e te (2012) ★★★★★

原題を直訳すると「あなたと私」。登場人物はロレンツォ(Jacopo Olmo Antinori)とオリビアの2人だけであとはほとんど出てこない。2人とも世間から疎外されているような少年少女。中学生のロレンツォはクラスのみんなとうまくやっていけていない。オリビアは、薬物依存症で苦しんでいる。そんな2人が地下室にこもり始めてから、出ていくまでを描いている。

何が起きるというわけではないが、観ているだけでじんわりする映画だった。若い人たちの方が共感できる内容だと思う。ロレンツォは、学校でもipodで音楽ばかり聞いているが、彼の気持ちがわかる気がする。周りから聞こえてくるおしゃべりとか、もろもろの雑音をシャットアウトしたい。聞いている曲も自分と好みが合っていた。ザ・キュアとか、一昔前のロック。今すごい勢いのあるバンド、ミューズの数ある曲の中でも、代表作からは少しずれた、”Sing for Absolution”を好むあたりとか。

ロレンツォは正直言って不細工。「孤独な天使たち」なんていう邦題がつけられているし、そのタイトル通り繊細な内容だし、美少年を起用すれば、「僕のエリ」みたいな、受けのいい作品になりそうだと思った。ただ、ロレンツォ役にあの俳優を選んだところに監督のセンスの良さを感じた。実際あんなふうに引きこもる少年に綺麗な顔をした子はいないだろう。ロレンツォは、ニキビだらけで、うっすらひげもはえていて、アリなんかを飼っている。イケメンなはずがない。ただそうは言っても、ロレンツォさえもう少し美少年だったら最高なのになと思いながら観ていた。

一緒に地下室で過ごす、オリビアという女の子。こちらは、ロレンツォと違って、はきはきしていて自己主張が激しいタイプ。薬に手を出してしまった不良少女。ロレンツォとオリビアは、一緒なクラスにいても交わることのないタイプ同士である。そんな全くタイプの違う少年少女が、しばらく一緒に過ごすというのだから、2人の間に恋愛感情的なものが芽生えていけば、ストーリーとしては面白くなりそうである。しかし、ロレンツォとオリビアは腹違いではあるが姉弟であるということでもって、安易にそんなことにはしない。あくまで現実的。こういったところもさすがだと思った。

ロレンツォがたまに地下を出て街に行かなければならない場面がある。その時に人目に付かないように、フードを深めにかぶってうつむき加減で歩いていくのだが、その様子からはものすごい孤独感が漂っていた。ただ良く考えると、この映画の中でロレンツォはスキー教室をさぼったことが親にばれないように終始コソコソしているだけのことである。どうしてあれほど追い込まれるのか。そんな感じをフィルムに収めているというのがすごいと思う。


2013/12/01

ニュー・シネマ・パラダイス (1988)

Nuovo Cinema Paradiso (1988) ★★★★

DVDでは観たことあったが、今回映画館で鑑賞。初見の時は期待して観たはいいものの、どこが良いのか正直わからなかった。尺も長い。ただ今回見直してみると、目頭が熱くなるほど良かった。

自分にとって苦手と言うか、よく分からないのがラブストーリー。この映画は大きく分けて、トトの少年時代(Antonella Attili)、青年期、大人になってから、と3つに分かれる。少年時代が終わるまではぐいぐい引き込まれるのだが、青年期になると、どこの誰だかわからないような女の人とのラブストーリーになってくるのでテンションが下がる。手でくるくるとフィルムを回して映画を上映しないといけないのに、そんなのほったらかしで2人はキスをしている。入場料を払って映画を見に来たどれだけの人に迷惑がかかったことか。

トトとその女の人は、離ればなれになって連絡が取れなくなるのだが、会いたいならちゃんと連絡先を交換しておけよと、まずは思った。ただそのあとに、昔は今みたいに連絡を取り合える時代ではなかったのかと思い直したら、なんだかこの映画の出来事すべてに感動してきた。後から気づいても取り戻せない過去!今ではしつこいぐらいに電話やメールやネットで繋がっているので、別の意味で人との繋がりが薄くなっているような気がする。

今回の劇場版は、以前DVDで観たものと比べて、所々カットされていたと思う。特にラストが思い切りカットされていたのだが、それが良かった。たしか完全版だと、一度は会えなくなったトトと女の人が、何十年後かに、車の中で会っているシーンがあった。それがあるのとないのとでは全然違う。会えないからこそ良い。トトが将来立派な仕事に就いて偉くなってしまうのも寂しさを誘い、少年だったころのトトが一生懸命集めていたフィルムの切れ端を、大人になってから1人だけで観ているラストは切なさが最高潮だった。「ここは俺の広場だ!」と言ってばかりいたあの人は、周りとは対照的にずっと変わらない。

2013/11/28

ピンチ・シッター (2011)

The Sitter (2011) ★★★

仕事もせずに、だらだら過ごしている男が、あるとき3人の子供のベビーシッターを任される。「かいじゅうたちのいるところ」のマックス・レコード君が出演している。なかなか面白かったが、日本語字幕では伝わってこない、言葉遣いの面白さが多いような感じだった。

スレイター(Max Records)は、精神不安定。薬を入れたウエストポーチをいつも腰に巻きつけている。綺麗な顔をしているとか、モデルのようだとか言われていて、二枚目みたいな役どころだったが、マックス君のイメージとは、何か違うなと思った。それでしばらく観ていたら、実は彼はゲイだというオチがあった。

スレイターと仲良くしていたある友達が、途端に違う子とつるみ始める。スレイターは異常にショックを受けるのだが、それは友情とは別の感情だった。精神がおかしいと思っていたのも、自分がゲイだということに気づいていないことが原因だった。

スレイターの妹のブライスは、すごくませていて、風俗嬢のような厚化粧をしている。「ホット」と言いたい年頃のようで?イカしたことがあると、「ホットなパーティね!」というような言い方をする。妙に面白かった。

そして最後に、養子として迎えられたロドリコ。英語の発音はめちゃくちゃで、スペイン語でひどいことを言う。爆弾が好きでいつも持ち歩いている。遊び半分でトイレの便器などを爆発させる。

そんな強烈な3人とベビーシッターを任された、デブでさえない男のドタバタコメディ。ゲイだというスレイターのエピソードをもう少し観たかった。


2013/11/27

マイキー (1992)

Mikey (1992) ★★★

「チャッキーより、ダミアンより恐い!史上最高の悪ガキ!その名はマイキー!!」とあるが、そのとおりである。子供にこの映画を見せたら悪い影響しか与えない。マイキー役を演じたブライアン・ボンソール君も大丈夫なのか。人形とか、悪魔の子ではない生身の子供が、大人を何人も殺していくところは、たしかに史上最高の悪ガキである。むしろ悪ガキで済ましている場合ではない。

開始10分もしないうちに、マイキーは、家族を皆殺しにする。まずはお母さん。入浴している湯船にコンセントにつないだドライヤーを落として、丸焦げである。次に、床にビー玉を転がしておいて、帰宅してきたお父さんの足を滑らせる。上手い具合にガラスに突っ込み血だらけに。とどめはバットで頭を一発。幼い妹は、プールに突き落とし溺れさせる。そして妹が苦しむ様子を見下げるマイキー。警察が来るが役立たず。

引っ越してもマイキーは殺しをやめない。近所の女の子(といっても年上のお姉さん)に恋をして、彼女を独り占めできないことに腹を立て、殺してしまう。気に入らないやつ=殺してしまえである。子役にこんなことをやらせて大丈夫なのかと、不安に思わざるを得なかった。マイキーを演じたブライアン・ボンソール君が悪い大人になっていたとしたら、この映画に出演したことが原因だと思う。(画像5のブライアン君が…)

マイキーは、特別な力があるわけでもない普通の男の子なのに、大人が数人でかかっていっても、ことごとく返り討ちに。(みんな殺される!そこまでしなくても!)最後までマイキーは生き残り、続編も作れますよと言わんばかりだったが、これきり。

2013/11/17

ラスキーズ (1987)

Russkies (1987) ★★★★

リヴァー・フェニックスの弟、リーフ・フェニックスと、これまた彼の妹の、サマー・フェニックスが共演している。

仲良し3人組の、ダニー(Leaf Phoenix)とアダム(Peter Billingsley)とジェイソン(Stefan DeSalle)は、いわゆる戦争オタク。「第三次世界大戦の勃発だ!」とか「核戦争が始まるぞ!」とか、過激なことを口にする。特にダニーが言い放った、「お前の親父は、良心的戦争拒否者か!」には笑った。「お前は親父譲りのリベラル派か!」。それで、何でも物事を決めるときには、民主主義にならって、多数決をとる。そんな彼らがあるとき、ロシア人の漂流者、ミーシャ出会う。

3人はミーシャを見つけて怖がる様子はなく、漫画で見た世界が現実に現れたという感じで、すごく楽しそうだった。ミーシャの持っていた銃を取り上げて、彼を縛って、アメリカ兵さながらに尋問をする。しかし、すぐにトランプで遊ぶほど仲良くなる。ちゃっかりとロシア語も教えてもらう。そして、彼をロシアに帰す作戦を考え始める。

最後の一番の盛り上がりの場面は、もはや荒唐無稽という感じだったが、それまでの少年3人とミーシャの交流は面白かった。お金をどこから取ってきたのかと思ったが、ミーシャのために服を一式買ってあげて、マクドナルドにも連れて行ってあげる。一緒にプリクラも撮る。ジェイソンは、ボートの操縦ができるので、ミーシャ出国作戦の際には、彼がボートを運転し、まずはキューバに向かうというものだった。行動力のある少年たちだった。「1時間後に、ここに集合な」と言うと、「ラジャー!」と言った感じで、3人一緒に腕時計のタイマーをピピピとセットする。

時代的に、アメリカとロシアの関係が悪い時期だったこともあるのか、少年たちの両親と、迎えに来たロシアの水兵たちが心を通わせて仲良くなるというハッピーエンドだった。

2013/11/14

スウェーディッシュ・ラブ・ストーリー (1970)

En kärlekshistoria (1970) ★★★

「ベニスに死す」のビョルン・アンドレセンが出演しているということで有名。ほんの一瞬、3分画面に映っていたかどうか、という程度だが、「ビョルン・アンドレセンがスクリーンデビューを飾っている」ということが必ず引き合いに出されている。

余興を楽しむ作品というか、どうでもいいようなことばかりが印象に残った。例えば、冒頭から、おじさんがカンフーの真似なのか、甲高い声を上げてうろちょろしている。それでしばらく見ていると、中指を鍵づめの形にして、くいっくいっと動かして、「女はこれで喜ぶんだ」と言う。あと、家の中に扉を取り付けようとしている日曜大工のシーンでは、ネジの向きが逆だ、とか、だらだらやっていて、完成してみると、左右が少しずれていたり…。ここらへんは、なかなか面白かった。

残念だったのは、主役のカップルの、男の子の方である。可愛げがないというか、不細工である(失礼)。相手の女の子がものすごい美少女なので、さらにつりあわない。不良少年で、バイクを乗り回し、若いのに町工場で働いていたりするのだが、「ターミネーター2」のエドワード・ファーロングや、「僕の小さな恋人たち」のマルタン・ロエブだったら良かったなと思った。


2013/11/10

セ・ラ・ヴィ (1990)

La Baule-les-Pins (1990) ★★★★

姉妹のフレデリック(Julie Bataille)とソフィー(Candice Lefranc)が夏休みに親戚のところへ遊びに行く。両親は離婚寸前。子供たちは海辺で楽しく過ごしているのだが、大人たちはいろいろと揉めている。「フランスの思い出」のような感じ。

映画の中の子供たちがとても楽しそうで、あのころのような楽しい時間は、これからの人生にはもうないのだろうなと思って、切なくなった。でもまた違う楽しいことがあるのだと思っておこう。一番年下のティティをからかって、石鹸を食べさせたり、金魚が泳いでいるところに座薬を入れて、そのせいで色が白くなった金魚を見て大笑いしたり、海岸で催された砂の芸術コンテストに出場したりと、とても楽しそうだった。

近くに海岸があって、好きな時に泳ぎに行ける。思いっきりはしゃぐ子供たちだが、現地の子たちが所属しているクラブが浜辺を陣取っている。勝手に遊具で遊んでいると、監視しているおじさんに笛を鳴らされて怒られる。軽い差別を受けていた。砂の芸術コンテストでは、レネは一等賞を取るのだが、クラブの会員ではなかったので無効となる。子供たちは腹いせに、クラブが所有する遊具に火をつけるのだった。

子供たちだけで、夜中に冒険も敢行する。グループのお兄ちゃん的存在のダニエルが、「拷問の館」を見つけたというのだ。子供たちは、「拷問の館」を一目見たくて、ぞろぞろと歩いていく。結局そんな館は見つからず、家に帰って大人たちに怒鳴られる。

長女のフレデリックが、まだ出会ったことのない誰かに向けて、日記につけていくというのが美しかった。結局、姉妹の両親は離婚することになって夏が終わる。


2013/11/08

僕のアントワーヌ叔父さん (1971)

Mon oncle Antoine (1971) ★★★★

不思議な映画だった。前半と後半で雰囲気ががらりと変わる。前半は、「トリュフォーの思春期」のように、街の人たちの楽しげな様子が見られる。しかし後半になると、主人公のブノワ(Jacques Gagnon)に試練的なものが課せられて、とんでもないラストを迎える。ユーモアにあふれているという点では「トリュフォーの思春期」と似ているが、この映画のそれはよりブラック。主役のブノワが美少女を押し倒しておっぱいを揉むシーンなどあり。ストーリー性を排したような作品なので、退屈になってもおかしくないが、雰囲気だけでも十分に楽しめた。田舎の風景や、レトロな色調、そして美男美女。

印象的だった後半の場面。
ブノワの家は葬儀屋をやっていて、人が亡くなると、その家まで遺体を引き取りに行く。時代設定が古いので、自動車ではなく、馬車で何時間もかけて往復する。あるとき、叔父さんのアントワーヌに連れられて、ブノワも一緒に遺体を取りに行くことになる。彼は好奇心にあふれていた。

しかし、亡くなったのは、ブノワと年齢のそんなに変わらない男の子だった。家に着くと母親は泣いている。そんな雰囲気の中、2人は用意されていたごちそうを味わう余裕はなく、アントワーヌは酒を飲まずにはいられない。ブノワもキョロキョロして落ち着かない様子。

男の子の遺体を入れた棺桶を馬車の荷台に乗せて、来た道を引き返す2人。アントワーヌは完全に酔っぱらって眠っている。ブノワは一人でぼうっと馬車に揺られていたが、アントワーヌの懐から酒瓶を取り出して、ぐいぐい飲み始める。そして、手綱を振り回して馬車のスピードを上げていく。

すると、男の子を入れた棺桶が、雪の積もった道に落っこちてしまう。すぐに馬車を止め、棺桶を積みなおそうとするが、上手くいかない(重たいし、片腕を骨折しているから)。アントワーヌは酔っぱらっていて役に立たない。どうすることもできないブノワは、棺桶を雪の積もる道にそのまま放置して、家へ引き返す。

家に着くや否や、ばったり横になって動かないブノワ。死体を放置してきたというのに、2人は本当に無責任。酔っぱらっていて夢見心地。

そのあとようやく、棺桶を探しに、来た道を戻るブノワたち。しかし見つからず、結局男の子の家にたどり着いてしまう。窓からこっそり中を覗くと、家の人たちは棺桶を囲んで、泣き崩れている。窓越しに、何とも言えない表情をしているブノワの顔がアップになって、ストップし、エンドロールが流れる。


2013/10/27

木馬に乗った少年 (1949) <未>

The Rocking Horse Winner (1949) ★★★

49年制作のファンタジーホラー。イギリスの上流階級の家庭に生まれたポール(John Howard Davies)は、何の罪もない純粋無垢な存在なのだが、そんな彼が犠牲になることで、残された家族は悲惨な状況に。この映画のポールは、「処女の泉」で言うところの、殺された娘のような位置づけだった。

ポールの家庭は裕福であったが、ギャンブル好きの父親の失敗や、母親の無駄遣いが積み重なって、破産にまで追い込まれる。ポールは家族の置かれた状況をよく理解していなかったが、深刻そうな顔で話し込んでいる大人たちを見て、何とか自分も役に立てないかと悩みだす。

屋敷の使用人のバセットが、競馬でちょこちょこ稼いでいることを知ったポールは、馬のレースというものに興味を持つ。クリスマスには木馬をプレゼントしてもらった。またがって前後に揺らして遊ぶやつである。しかしそれは、呪いの木馬だった。

ポールには、木馬のささやき声のようなものが聞こえた。木馬にまたがると、何かに取りつかれて人格が変わったかのように、激しく揺らし始める。それで、次回の競馬のレースの結果がポールには分かるのだった。そんな不思議な現象を利用して、ポールと使用人のバセットは協力して、少しずつお金をためていく。

ポールの予想は怖いぐらいに的中するので、家族は以前の生活以上にぜいたくをし始める。母親は上品な着物を買いあさり、ファッション雑誌に載るようになる。ただ、ボールの様子は次第におかしくなっていく。木馬にまたがるたびに、魂を吸い取られているようだった。

家族が寝静まった深夜に、ポールは、心ここにあらず、というような様子で家の中を徘徊し始める。(暗い階段を上がっていくときの長回しが恐ろしかった。)例の木馬の置いてある部屋まで吸い寄せられていき、真っ暗な部屋で、狂ったようにバチバチと鞭をふるいながら、激しく漕ぎ始める。そして、馬の名前を叫ぶと、ばったり床に倒れこんでしまう。

つきっきりの看病もむなしく、ポールは息を引き取ってしまう。絶望しきった家族。使用人のバセットは、木馬を庭に持ち出して、オイルをかけて火をつける。そして、ポールのおかげで稼ぐことの出来た大金を、母親に渡そうとするが、「一緒に燃やして」と、かつてからぜいたく品に目のなかった彼女が言う。

普段は穏やかな少年が、木馬に乗った途端、別人みたいになるのが恐ろしかった。暗い階段を上がっていく場面では、カットを入れずにずっとポールの移動に合わせてカメラが動いていく。白黒映像な分、光と影がくっきり見られて美しかった。

2013/10/19

BlinkyTM (2011)

BlinkyTM (2011)
13min - USA | Ireland

短編映画特集第三弾。「BlinkyTM (2011)」マックスレコード(Max Records)君主演。なかなか個性的な子役だと思われるが、「かいじゅうたちのいるところ」と、この短編ぐらいでしか観れていない。

2013/10/18

Supermään (2010)

Supermään (2010)
15min - Finland

短編特集第二弾。今の時期、東京国際映画祭が世間を賑わせているのを意識して、ここでは「イケメン、美少年ショートフィルムフェスティバル」です。

前回の「The Legacy」に続いて、今回もスーパーマンがテーマ。ただ、内容は全く対照的。スーパーマン一つにしても、単純だと言われるアメリカ映画と、北欧のものとのとらえ方の違いが表れている(?)

見どころは、疲れきったオスカー君の表情。説明的なセリフが全くないので、オスカー君が何を感じているのか、考えさせる内容となっている。

2013/10/17

The Legacy (2010)


The Legacy (2010)
12min - USA

短編映画は、なかなか観る機会がないかと思いますが、中には素晴らしい作品もたくさんあります。と言うことで、今まで見た中から、特にこれはと言うものをピックアップして、短編映画特集(aka「イケメン、美少年ショートフィルムフェスティバル」)を催したいと思います(笑)。簡単に紹介するだけですが。

記念すべき第一回作品は、

「The Legacy」

スーパーヒーローにあこがれている少年ビリーが、父のことを、スーパーマンだと思い込む話。それでは、「もっと読む」をクリックして、どうぞ↓

2013/10/08

命をつなぐバイオリン (2011)

Wunderkinder (2011) ★★★

ユダヤ人の迫害をテーマにした作品。弱冠15歳にして、天才的なバイオリニストであるアブラーシャ(Elin Kolev)。そしてピアニストのラリッサ。2人が奏でる美しいメロディに合わせて、映像も美しい。さらに哀愁漂っていて、何とも言えない見事な雰囲気。

「神童」と呼ばれるアブラーシャと、ラリッサだったが、ユダヤ人ということで、虐げられる。2人と友達になったこれまたバイオリン弾きのハンナ。ドイツ人とユダヤ人の隔てを超えて、音楽でつながった3人の少年少女の絆は強い。

ナチスによるユダヤ人の迫害という歴史的な事実を、残酷描写は出来るだけ控えて、その分映像や音楽に重きを置いて、抒情的に仕上げてある。悪く言えば、メッセージ性が後退しているとも感じなくはなかった。

アブラーシャを演じたエリンコレフ君自身が、バイオリンを弾いている。弦をさばく細かい指の動きは、見ていてハラハラした。演奏を終えた瞬間は、思わず拍手したくなった。


2013/10/06

ジグザグキッドの不思議な旅 (2012)

Nono, het Zigzag Kind (2012) ★★★★

ジグザグキッドことノノを演じたのは、トーマス・サイモン君(Thomas Simon)。昨日記事にした「Is Anybody There」で、今一番推したい子役はビル・ミルナー君だと書いたが、今日見たこの映画のトーマス君も、彼に並んでお気に入りになった。日本で劇場公開はされてないみたいだが、DVDが発売されている。レンタルもある。

トーマス・サイモン君ばかりを見ていたら、字幕を読み逃して、何度も巻き戻し(この言い方古い?)をするはめに。唇がセクシー。このときはまだあどけなくて可愛い感じだったが、すぐにかっこよくてセクシーで、イケメンな俳優になりそう。

ストーリーはというと、ほのぼのしていて、感動できて、ハッピーエンド。文句のつけどころのない楽しい映画。ノノは、凄腕の刑事である父親にあこがれている。母親については何も知らない。ノノが物心つくころには、すでにいなかった。父も、母のことについて何も言わない。父の秘書である、太ったおばさんのガビーが、ノノの母親代わり。ノノもガビーを慕っている。

ノノはいつも青いポロシャツを着ているのだが、ボタンをはめていなかったので、胸元が開いててとてもセクシー。ネックレスをしているのがまた良い。寝るときは、ズボンとシャツを脱いで、赤パンツに水色タンクトップという姿になるのだが、ズボンを脱ぐときに、どこか恥ずかしそうだった。脱いだらすぐに、隠れるようにベッドの中にもぐっていた。(画像10, 11 気のせいかもしれないです)

それから、劇中で特に意味もなく、女装をする。かつらをかぶって、スカートをはくのだが、ここでも恥ずかしかったのか、スカートの下にズボンをはいていた。そのことがこの映画で一番残念だった。サイモン君は、ちょうど思春期で恥ずかしいさかりなのかもしれない。タンクトップも脱いでほしかったけど。
Thomas Simon Gallery

2013/10/05

イズ・エニバディ・ゼア? (2008) <未>

Is Anybody There? (2008) ★★★★

今回は、自分の中で今一番推したい子役の主演作品。「リトル・ランボーズ」でおなじみのビル・ミルナー君。「リトル・ランボーズ」の時は、まだ幼くて、そこまで気にならなかったが、この映画の頃には、とても繊細そうな美少年へと成長していた。どこか弱々しくて優しい感じが、役柄にピッタリだった。

エドワード(Bill Milner)の家では、老人ホームを営んでいて、彼は小さいころからお年寄りに囲まれて生活していた。なので、人が死ぬということは、彼の周りではよくあることだった。そんな環境にいるエドワードは、とんでもない遊びをしている。寝たきりで、今にも息絶えそうな老人のベッドの下に、テープレコーダーを忍ばせて、「うぅ…うぅ…」と苦しそうな寝息を録音しているのだった。横になっている老人を眺めながら「うぅ・・・うぅ・・・」と真似までしていた。

なぜそんなものを録音しているのかというと、彼は幽霊の存在を記録したいのだった。老人が亡くなって、その部屋が空くと、ベッドの下からテープレコーダーを取り出して、ヘッドホンで老人の息絶えそうな寝息を夜な夜な聞いているのである。怪奇現象的なものは何も記録されておらず、そのかわりに、父親がホームに勤めている女の子を口説いているのが記録されていたりする。

テーマは、ホームに入居している頑固なじいさんクラレンスと、エドワードの交流である。クラレンスは、奥さんに先立たれ、生きる希望をなくしている。エドワードは、学校でもいじめられ、老人ばかりに囲まれているのが嫌で自暴自棄になっている。そんな2人の交流をほのぼのと描き、人生や死についても考えさせる内容である。

クラレンスがどんどん呆けていくのが悲しい。ようやく2人が仲良くなっても、クラレンスの記憶は遠のいていく。エドワードの名前さえ出てこなくなるのだ。息絶えそうな呼吸ばかりを録音していたテープレコーダーだったが、2人で楽しそうに話している場面が録音されていて、以前の、うぅ・・・うぅ・・・を退屈そうに聞いていたエドワードとは打って変わって、それを涙を流しながら聞いている。


ナイトチャイルド (1990)

Child in the Night (1990) ★★

イライジャ・ウッド主演。ポスターなどで大きく載せられている割には出番はそれほど多くない。90年の作品であるが、ポケベルが出てきた。ピピピとなって、それを合図に電話をつなぐのだった。

目の前で父親を殺害されたルーク(Elijah Wood)は、唯一の目撃者として、警察から証言を求められるが、ショックのあまり、何も覚えていない。精神科医のホリスは、もともと児童専門だったが、ある事件がトラウマとなって、第一線から退いていた。しかし、ルークから慕われてしまい、彼の記憶を呼び起こそうと奮闘することになる。

一体犯人は誰なのかと、サスペンス的ではあるが、メインとなるのは、犯人を追う刑事と、ホリスのラブロマンス。ホリスの心の傷は、刑事とキスしたりすることで(キスしてたっけな)癒えていく。テレビドラマ的展開。可愛い子役と、ラブロマンスと、サスペンスのハラハラ感をそれなりに入れておけば数字とれるだろ、といった感じに。実際にテレビ映画。

ネタバレになるが、犯人は、ピーターパンに出てくるフック船長みたいな鍵づめで、邪魔者を次々と殺害していく。よろよろと歩いている割には、窓ガラスを突き破ってきたり(画像9)まるでゾンビのようだった。


2013/09/22

パール・ハーバー (2001)

Pearl Harbor (2001) ★

基本的にこのブログには少年が出てくる映画しか載せないことにしていますが、これにはものすごく腹が立ったので、やり場のない怒りをぶつけます。

真珠湾攻撃についての映画。ぐだぐだと3時間もある。アメリカのことばかりで、日本からの視点では全く描かれない。日本軍は、単に、アメリカに忍び寄る得体のしれない敵国みたいな位置づけ。

確かに、日本人として、観ていて不愉快になるところはあったが、腹が立った原因はそこではない。実際にあった出来事について自分の国をひいきにしていても、映画として完成されていればそれで良いと思う。事実を捻じ曲げるのは許せないが。

腹が立ったのは、政治的なところではなくて、この映画に出てくるアホな女たち対してである。まさか、戦争もののはずなのに、真珠湾攻撃に入るまでの1時間半を、退屈なラブロマンスに費やすとは思わなかった。短い映画なら、すでに1本観終わって、何かメッセージを残している。この1時間半の男女関係を見ていても、得られるものは1つもない。登場人物の心理描写が薄い、というか表面的になぞらえてそれっぽくしているだけで、見ていて思うことは、「どうしてそうなった?」「早くしろよ!」ということばかり。

男も男で、女に振り回され過ぎ。戦争下で、危機に面しているはずの軍人がである。この映画の核は、一言でいえば、レイフ、ダニー、それからイブリンの三角関係。イブリンという女は軍の看護婦の一人。主役でもある軍人のレイフとダニーを手玉に取るとんでもないビッチ。検査の時、男たちのケツを見て喜んでいる。注射の打ち方が看護婦とは思えない。勢いづけて片手でお尻にぶっ刺す。あんなのは即刻クビにするべき。女たちの風貌からしておかしくて、軍隊に所属する5人程度の看護婦は、娼婦みたいなのばかり。「4000人の男たちに対して、私たち女は5人。楽園だわ♥」とか言っていた。

一番腹が立ったのは、ダニーたちが、射撃の訓練をしている最中のことである。派手なドレスを着たイブリンが、何の遠慮もなしに堂々と基地内を歩いてくる。男たちもアホで、「いい女だぜぇ」というノリで訓練を中断し、ダニーとイブリンを2人だけにしようと、本当にいらない気遣いをする。それで、イブリンは何の用事で来たのかと思って観ていたら、特に何もないのだ!それで、そのあと2人は許可もないのに戦闘機に乗りだして、夕焼けの空でロマンチックにデートである。戻ってくると、「教官に怒られる~」とか言って、「早く隠れろ~」と、中学生並みである。このくだりを、面白おかしい感じにしているのではなく、大真面目に感動的に演出しているので、もうだめ。

不愉快になる要素は挙げだすときりがないぐらいだが、もう一つレイフとダニーによるイブリンの取り合いについて。冒頭で、イブリンとレイフは会って間もなく結ばれる。ただレイフは戦場へ行くことになりそこで戦死する。イブリンはその時はさすがに悲しむ。(2人が恋に落ちるまでの過程が薄すぎて、そんなに愛していたのかと突っ込みたくはなるが。ケツにふざけ半分で注射針まで突き刺されている。)ただそのすぐ後で、死人のことはあっさり忘れたのか、今度はイブリンとダニーがくっつく。(ほんとにどうでもいい。早く戦争に行ってくれと思った。)と思いきや、死んだはずのレイフがまさかの帰還。イブリンとダニーがくっついているのを見て、レイフは恋人を奪われたという嫉妬心から、ダニーに殴り掛かる。ここでおかしいのは、レイフとダニーは、幼少期の時から、一緒に飛行機に乗るなどして兄弟同然のように育った仲である。そんな二人が、いったんは死んだと思われたのに、奇跡的に再会したのである。そんな奇跡が、会って短期間しか一緒にいなかったイブリンへの想いに、はるかに及ばないのである。恋愛事情はとりあえず置いといて、まずは挨拶ぐらいすればいいのに、レイフはダニーに会うや否や、睨み付け、罵声を浴びせるのだった。

この映画の良いところを挙げると、真珠湾攻撃のシーンは迫力があって良かった。それまでのアメリカがどうしようもなかったので、日本軍の攻撃によって目を覚ましたと思う。とても悲惨に描かれていて、日本もひどいことをしていたのだと思わせられた。ただ、残酷な描写の割には、この攻撃の被害者は3000人とあって、正直、「それだけ?」と思ってしまった。というのも、そのあと日本は原爆を落とされて、何十万という犠牲があったはずである。それを考えると、被害者面しすぎだと思った。

3時間費やして見ても、何の教訓にもならないし、特に日本人が観てもどうしようもない映画だと思う。「トラ・トラ・トラ!」の方をおすすめ。


2013/09/08

センチメンタル・アドベンチャー (1982)

Honkytonk Man (1982) ★★★★

街の酒場などで歌って回っている歌手のレッドは、オーディションを受けるために、ナッシュビルという町に向かう。甥のホイット(Kyle Eastwood)は田舎の農場で綿を摘んでばかりいる毎日に退屈していた。レッドは、彼も一緒に連れて行き、旅の途中にいろんなものを見せたり、体験させてあげたりする。ホイットを演じたカイル・イーストウッドは監督クリント・イーストウッドの実の息子らしい。

レッドとホイット(通称ホス)、それからおじいちゃんの3人が、ギターを弾きながらオープンカーを走らせていく。ああいう旅をしてみたい。そのときはホイットみたいなハンチング帽子もかぶりたい。どうしようもないのに、夢を追いかける人々。ホイットは、逮捕されたレッドを開放したり、金の取り立てを目撃したり、娼館で女の人に良いことしてもらったり、いろんなことを通して成長していく。レッドは運転がへたくそなので、ずっとホイットが運転手。

イーストウッド作品は人を簡単に死なせ過ぎだと思う。ついでに言えば、自分をかっこよくしすぎだとも感じる。この映画も途中まではハートフルでほのぼのとしていて良かったが、終盤に差し掛かると、「センチメンタル・アドベンチャー」というだけあって、そんな雰囲気になってくる。それまでもレッドは咳き込んではいたが、オーディション会場に着くや否や急に症状が悪くなるので、なにそれーという気持ちになった。少年との交流という点では「グラン・トリノ」に似ている。イーストウッドのハッピーエンドな作品が観てみたい。


アメリカン・ハート (1992)

American Heart (1992) ★★★★

刑務所から出所してきたばかりの粗暴な父親のジャック。どうしようもない父親だったが息子のニック(Edward Furlong)はついていく。息子の存在を面倒くさいものと考えているような父親だったので、ニックは突き離されっぱなしだったが、少しずつ2人の間には親子の絆が生まれてくる。

2人が一緒に生活しているのを見ていると、親子のはずなのに、どこかホモ臭が漂っている気がした。こう感じるのは自分だけではないと思う。ニックを演じたエドワード・ファーロングがセクシーすぎるし、父親のジャックも筋肉もりもり。製作者側が意図したに違いない。

サービス旺盛なことに、ニックは胸元がざっくり開いたTシャツを着ている。父親にパンチを教えてもらっているときに、右肩がずり落ちていたのがエロかった(画像6)。また、寝るときは二人とも裸。ニックは色白でセクシーだし、ジャックはムキムキマッチョなので、…。ところが、ジャックは新しい恋人を見つけると、ニックを外に追い出して、その女を部屋に連れ込むのだった。ジャックは彼女といちゃいちゃするのでニックといちゃいちゃはしません。

直接的な描写はないが、ドキッとするシーンはところどころにあった。ニックが夜の街を一人でふらふらしていると、知らないおじさんが車でニックに近づいてくる。そして、ニックを助手席に乗せて、下心ありげに「きれいな顔をしているね」と言い、ニックの首に手を回すのだった。

ずっとエドワード・ファーロングばかり気になっていたので、話の内容は二の次だったが、「俺も、若いときは、逃げてばかりいた」というジャックの言葉はちょっと響いた。それから、「小さなケツだ。ムショには入らないほうがいい」とニックに忠告するのも意味深だった。

スペースインベーダー (1986)

Invaders from Mars (1986) ★★★

主役の少年を演じたのはハンター・カーソン君(Hunter Carson)。「パリ、テキサス」に続いて2度目の映画出演。まず衝撃的なのは、彼の成長ぶり。と言っても、下あごや頬、お腹まわりの成長。明らかにおでぶちゃんになっている。まあそれはそれで可愛いが、美少年のイメージからは遠のいた。ぶすっとしていてガキ大将的な風貌に。眉毛が薄い感じが中坊ヤンキー顔。(画像1)

面白いのは、走り方。バンザイしながらというか、手をバタバタさせながら走る(画像5)。追いかけられていて捕まったらまずいのに、そんな走り方なので、笑ってしまう。それから、ぼーっとした表情(画像6)。ん、どうしたの?と引っかかるような。

映画の原題の意味は「火星からの侵略者」。火星からUFOが飛んでくるという設定。デビット少年(Hunter Carson)の両親は火星人に取りつかれてしまい、様子がおかしくなる。朝食に出されるのは、山のように盛られた真っ黒焦げのベーコン。父親も母親もカリカリとスナック菓子のようにそれを食べる。

CGを使わずに、古典的な方法でクリーチャーを動かしたり、大きなカエルを口に入れたりする気味の悪さ、漂うB級感は、「チャイルド・プレイ」と似通っていると思った。せっかく怪物(宇宙人)を出すなら、チャッキーとまではいかなくても、クリエイティブなキャラクターをもっと登場させてほしかった。出てくるのは、丸くてのそのそと歩く生き物。マシンガンで撃たれると、上下に揺れて、弾丸を食らっていることを体で表現する。着ぐるみだろう。ぐちょぐちょした体の割に、USBの差し込み口のようなものがあったりして電子的でもある。お約束のあほな研究者も出てくる。身の危険よりも目の前に現れた未知の生物の方に興味をもっていかれて、近づいていく。結果、焼かれて炭にされていた。

ありがちなストーリー展開、演出ではあったが、この映画のラストについては、いまだに他では見たことのない異例が起こっている。ラストの短時間のうちにどんでん返し的なものが連続して2度も待ち構えているのだ。1つ目は「映画でそれありなの!?」と驚かされて、直後の2つ目はあまりの急展開にあっけにとられる。エンドロール中に席を立てなくなる。


2013/09/07

ゾンビーノ (2006)

Fido (2006) ★★★

一度観た映画を繰り返して観る方ではないが、この映画はたまに観たくなる時があって、今回三度目の鑑賞(二年に一回ぐらいのぺース)。謎の放射能が地表に蔓延し、死体がゾンビとなって甦る。ゾムコンという会社が開発した首輪を装着することによって、ゾンビはペットのように従順になる。ブラック・コメディ映画。

全く知られていないし内容的に何があるってわけでもないが、独特な可愛い雰囲気が漂っているのでそこが魅力。主役のティミー(Kesun Loder)も可愛いし、ゾンビも可愛い。カラフルでポップな住宅街。そんな中で行われる人殺し。死んでもすぐにゾンビとなって生き返るので、首輪をつければ一緒に生活できる。

ティミーの家では一匹もゾンビを飼っていなかった。母親は近所の目ばかりを気にしていて、ティミーが悪がきにいじめられて、服を汚して帰ってきても、「こんなに服を汚して、近所の人たちに見られなかった?」と、ティミーのことよりそっちを気にする。

父親は息子のことにあまり関心がなくて、キャッチボールをする約束をほったらかして、ゴルフをしに行く。車に乗り込むときに、ゴルフバックがティミーの頭にゴンと当たる(画像4)。ティミーは仕方なくファイド(飼っているゾンビ)とキャッチボールを始めるが、ファイドにボールを当てているだけ。

ファイドが近所のおばさんを食べてしまったり、連れていかれたり、ティミーがファイドを取り戻すために施設に潜り込んだりする映画。改めて観てみると思ってたよりくだらなかった。でもやっぱり面白かった。


2013/09/04

死よ、万歳 (1971)

Viva la muerte (1971)  ★★★

パッケージの生首は、ファンド少年の父親。共産主義者だった彼は、妻に密告され、家族の目の前で連行されていったのである。「エル・トポ」のホドロフスキーと親交の深かったフェルナンド・アラバール監督による作品。自身の自伝的小説「虐殺の讃歌」を自らの手で映画化。

何を書けばいいかわからない映画だが、1時間半集中して観ていた。こういうアート的な映像は合わない場合は退屈極まりないが、怖いもの見たさからかそうはならなかった。

ストーリーとは直接関係のないショッキングな映像が大部分を占める。グロテスクで残酷な夢。ファンド少年の目には世界はあのように映っていたのかもしれない。

観ているだけでも痛いような映像の数々だった。その土地の文化や習慣なのだろうか、頭皮を剃刀で削って血を吸いだす儀式(?)や、針で作った輪をファンド少年の太ももに血がにじむほど食い込ませたり、母親に股間を思いっきり握られたり(そのときのファンド少年の悲鳴!)。豚の喉を切ると、血がどばどばと流れ出てくる。相当熱があるようで一面に湯気が立っていた。あんなのは初めて見たが、いつも豚肉を食べているということは、誰かがあのように豚を解体しているのだろう。そう思うとすごい。

今まで観た映画の中で一番ぐらいにグロテスクだったので苦手な方は見ないほうが良いと思う(これホント)。ホラー映画などのわざとらしいグロさとは違って生々しい。


2013/09/01

思春の森 (1977)

Maladolescenza (1977) ★★★

いろいろと問題になった作品で、日本でもDVDが販売されたあとに、すぐに回収処分になった。ちなみに原題のMaladolescenzaは、Malad(病んだ)と Adolescenza(思春期)の合成語とのこと。

ひどい映画だった。少女の露出もそうだが、それよりいじめの描写の方がひどい。真似すると悪いから子供には絶対見せちゃだめ。少年ファブリツィオ(Martin Loeb)は、少女ラウラを無理やり木に縛り付け、体に蛇をまとわりつかせるのである。泣き叫ぶラウラを、面白がって見ている。パンツも丸見え。中盤からは、少女シルヴィアも加わって、2人してラウラをいじめるのだった。シルヴィアは、完全にロリ顔(人形のような。画像3)で、好きな人は好きなのかもしれない。VHSを視聴したが、陰部にはもちろんモザイクがかかっていた。ファブリツィオとシルヴィアが全裸になって絡む場面では、画面いっぱいにモザイクがかけられていて、映画を見ているんだよね?とふと思った。

ファブリツィオを演じたマルタン・ロエブの出演作に、「ぼくの小さな恋人たち」がある。この作品は気に入っていて、マルタン・ロエブも美少年だったが、この「思春の森」では、性格も憎たらしいし、見た目も野暮ったかった。ただ、細い上半身についた筋肉は良かった。

「罪深き天使たち」や「子供たちの城」、「蠅の王」のように、子供の残酷な一面を上手く表現している数少ない作品だとは思うが、観ていて楽しくはない。もう一つ、映画の内容とは全く関係ないが、例のツ*ヤではこの作品をなぜか発掘良品扱いにしていて、通常の旧作の4倍の料金を取られた。(一週間100円→380円)これが「100人の映画通が選んだ本当に面白い映画」だとは思えないが。

2013/08/31

11人のカウボーイ (1972)

The Cowboys (1972) ★★★★

西部劇に登場してくる男たちはたくましい。映画の中のヒーローは、実際問題あり得ないスーパーマンとかではなく、西部の男たちなのである。彼らは必死に生きている。自分たちで土地を切り開いて、家族を守るために一日一日を全力で過ごしている。昨日観た「シェーン」に続いて、良い映画を立て続けに二本観たという感じ。

牛を売りに行くために、ウィルのもとに集まった11人の少年たち。数千頭の牛を率いていく道中を見ていて、中高生の時に経験した部活動を思い出した。まさに集団行動(好きではなかった。今でもあんまり)。自分に与えられた仕事をこなすだけではなく、自ら進んで動かなければならない。何かしでかすと、強面で口うるさい顧問、この映画の場合ウィル、から怒鳴られる。

不満や文句も出てくる少年たちだったが、どこかでウィルのことを尊敬できたからこそ、途中で逃げ出さず、ついて行けたのだと思う。上に立つ人間は、ウィルのように強くて、なにより人並み以上に努力をしなければならないのだと思う。

この映画の好きなシーンは、夜中に子供たちだけで集まって、こっそり取ってきた酒を回しながら、ウィルやナイトリンガーの悪口を言ってふざけている場面。そんな子供たちの様子を、ウィルとナイトリンガーは、なんだか微笑ましそうに見ているというのがにくい。

映画的に一つだけ不満を言うならば、どうして少年を一人死なせてしまったのかというところ。そのあとのウィルの死だけでも十分だったように思う。


2013/08/29

シェーン (1953)

Shane (1953) ★★★★

西部劇はざっくりと、悪い奴の話なのか、良い奴の話なのか、で分けられるように思う。例えば、最近観た「夕陽のガンマン」は、人を撃ちまくって賞金を得る男たちの話。法なんてあってないような世界。「明日に向かって撃て」「ワイルド・バンチ」なども結局は悪者。確かにかっこよくて、痺れるのだが。

逆に、この映画や、「西部の男」「大いなる西部」の主人公は、基本的に銃を扱いたくない。派手な場面は少ないが、こっちタイプの方が見終わったあとに心に響いてくるものがある。

この映画のシェーンは、弱いものの味方だし、銃の腕も立つし、非の打ち所がない完璧なヒーロー。ただ、あまりに完璧すぎても、興ざめしてしまうことがあるのだが、(クリントイーストウッドの「ペイル・ライダー」「許されざる者」など)この映画の場合そうはならず、「何とかしてくれ、シェーン!」と素直に応援できた。特に、酒場での殴りあいの場面なんかは、手に汗握った。おそらくジョー少年も、同じような気持ちで喧嘩を見ていたのだろう。ジョー少年が、シェーンに慕う様子には、ものすごく共感できた。

映画を見終わってから、ネットで調べてみると、シェーンは死んでいたのかそうでないのか、と議論があるようだった。自分の場合は、馬の上で静かに死んだのだと思い込んでいたので、生きている余地があるということを知り、少し嬉しくなった。

「俺はこの家を捨てたくない。未来を勝ち取るんだ」なんて台詞があったが、この言葉は忘れないでおきたい。今の時代に必要とされている情熱である。(少なくとも自分にとって)


2013/08/28

サンペリの母心 (1969) <未>

Cuore di mamma (1969) ★★★

サルヴァトーレ・サンペリ監督作品。前回の「Nenè 」に続いて、この監督の作品を観るのは2本目。日本でもDVDになるとかしてもらって、日本語字幕付きを観てみたい。このぼんやりとした雰囲気はどう伝わってくるのだろう。

69年制作という割には、いろんな面で前衛的だと思った。例えば、出演者の着ている服や、部屋のインテリアなど、鮮やかな原色でコーディネートされていて、「時計じかけのオレンジ」を思い出した。

何より、オープニングのインパクトがすごい。マッシモ少年(Mauro Gravina)が、拘束された大人の女性の上に乗っかり、熱した鉄の針で、お尻に絵を描いていくのである。これは一度見たら忘れられない。

特筆しておきたいことはマッシモ少年についてである。彼のことはどう言えばいいのか、表現するとしたら、「やばい奴」とか「サイコ野郎」である。政治のことから科学技術のことまで、年齢の割に知り過ぎている。何かに陶酔しているようで、ずっとヘルメットを被っている。

マッシモ少年のやばい行動。
オープニングのお尻に絵。
女の人を狭いところに閉じ込めて、「裸になれ」と命令し、隙間からガスを注入する。
まだろくに言葉も話さない弟のことをなんだと思っていたのか。ロケットに乗せて、宇宙に飛ばそうとする。さらに、コミュニスト!と罵倒し、自分が裁判長を務める裁判にもかける。ついにはバスタブで溺れさせる。
部屋にガスを充満させる。妹はそれによって死亡。自分はガスマスクを装着。
最後には、ロケットの爆発に巻き込まれる。マッシモ少年の象徴であった、ヘルメットが虚しく飛んでくる。

母親が劇中1度も口を利かないというのも不気味だった。暴走していく自分の子供たちのことをどう思っているのか不明。一緒にお風呂に入ったときは、子供たちを微笑ましく見ていたが。


2013/08/25

ネネ (1977) <未>

Nenè (1977) ★★★★

サルヴァトーレ・サンペリ監督作品。どのくらい知られている監督なのかは見当つかないが、代表作の「青い体験」など、エロチックなものばかり撮っているイメージがある。今作でも、かなりの美少女ネネが、パンツを見せたり、おっぱいを出したり、…。ただ、彼女よりも、観るべきはヨウ少年(Sven Valsecchi)である。

ヨウは、無意識的にというか、女性に対する何かを先天的に持っているというか、とにかく危険なほどに早熟な男の子だった。男っ気の全くない家庭教師のおばさんに対しても、うっとりさせてしてしまう言葉ばかりを投げかける。まずはおばさんの男への愚痴を聞いてあげて「僕が大きくなったら、メイク・ラブを教えてあげるよ」とまで言う。スタイルの崩れた体であっても、純粋そうな綺麗な目で、おばさんの着替えをじーっと眺めるのだった。

あるとき、ヨウの家に、従妹のネネがやってくる。ヨウは、ネネのことが気になるようで、やっぱり着替えているところをじーっと眺める。「あなた、男の目で私を見てるわ」「僕が君のフィアンセだったら、裸を見せてくれる?」「だめよ。まだ子供じゃない。みだらな子ね!」ここから2人の関係(?)は始まる。

ヨウの想いをよそに、ネネは近所の別の男のことが気になって、その男のことばかりをヨウに話して聞かせる。ネネはヨウのことをまだ子供だと思って、軽く見ていたようだった。2人は何度か同じベッドで寝るのだが、ネネはなんと、その近所の男のことを考えながら、ヨウの手をとって自分の胸に押し当てたり、パンツの中に入れたりする。さらには、ヨウの真横で、一人で楽しみ始めた。

ヨウとネネの関係は、少しずつエスカレートしていく。ヨウはたまたま、両親がベッドでいちゃついているのを目撃し、いけないことを学ぶ。ネネにそのことを報告して「僕もやりたい。」と言い出す。驚いたネネだったが、なぜか「わかったわよ」と軽く承諾してしまい、布団にもぐってヨウのを舐め始める。「くすぐったいよ」「まだ小さいわね」「たくさん食べて大きくなるよ」

ラストでは、ネネは好きになった近所の男と、ついに野外でメイク・ラブを始める。ヨウはそれを見て涙を流す。そこに父親がやってきて激怒し、ベルトを抜いて、ネネと男をばしばし叩く。

2013/08/24

傷つけられた翼 (1977) <未>

Podranki (1977) ★★★★

この映画には、美少年が多く登場してきたと思う。見た目が日本の学生服に似た軍服(というのかな?)を着ていて、可愛さを際立たせていた。内容は暗めだが、ロシア(当時のソビエト)から見た戦争下の悲惨な状況が学べる映画でもある。以下に長々とあらすじを。

あらすじ
著名な作家であるアリョーシャ(Aleksei Cherstvov)が、戦争下での辛い少年時代を回想していく形で話が進んでいく。彼の両親、そして兄弟は、死亡、または行方不明で、姉のナターシャだけが、唯一彼のそばにいる肉親だった。当時の子供たちは常にお腹を空かしていて、飢えをしのぐために盗みを働くほかなかった。

アリョーシャの母親代わりだった姉のナターシャも、病気のために、わずか14歳にして亡くなってしまう。孤独になったアリョーシャは、かつて父親の同僚であったという男のところに引き取られるが、家族との関係がうまくいかず、1人で抜け出してくる。名前だけを頼りに、まだ見たことのない兄弟を探し始める。しかし、兄弟に会うことができたのは、数十年後、アリョーシャが作家として成功してからだった。

アリョーシャは少年時代の大半を、戦争孤児を受け入れていた軍隊で過ごすことになる。そこで、勉強や、銃の扱い方を学ぶ。アリョーシャは特に詩を書くことに興味を持ち、ノートに書きためていく。また、担任の女教師のことが気になり始め、彼女が裸で日光浴をしているところをこっそり覗いたりする。しかし、恋人といるところを目撃してしまい、窓際に体操すわりをして涙を流すといったことも。

学校の近くには、ドイツ軍が駐屯していた。アリョーシャの友達であるバーリャは、強制収容所にいた経験があり、そこで両親を失っていた。彼は常にドイツ軍の様子をうかがい、いつか大量の爆弾を投げ込んでやる気でいた。

ある日の授業で、「父親は戦争のために何をしたか」という作文の課題が出された。父親は生きていると信じている子もいれば、辛いことを思い出す子もいた。バーリャは、目に涙をためながら、一番に作文を書き上げて教室を出ていった。そして、ドイツ軍のところへ向かった。大量の手りゅう弾をロープでひとくくりにして、導火線に火をつけるが、持ち上げた途端ばらばらになってしまった。必死に火を消そうとするが間に合わず、その場で爆発してしまう。その後、クラスの子供たちが集められ、バーリャが書いた作文が先生によって読み上げられる。

その事件以降、一切の武器を持つことが禁じられた。ただアリョーシャは、枕の中に短剣を隠していた。その短剣は見つかり、取り上げられそうになるが、アリョーシャは必死でしがみついた。それは父親の意思を受け継ぐように渡された大事な贈り物だった。教官に向かって「ファシスト!」と罵倒したことが問題になり、アリョーシャの処分についての会議が開かれたが、そこで、つらい目にあってきた子供たちのことが見直される。少し救われるラストだった。


2013/08/22

村 (1982) <未>

Konopielka (1982) ★★★★

ポーランドの変な映画。IMDbによると、ドイツ語タイトルで Das Dorf = 村。電気も機械もない、文明からかけ離れたある村で起こった不思議な話。予算的にはそんなにかけていないと思われる映像。しかも白黒。話のメインはKaziukというおじさんだが、その息子役として少年が登場する。

かなりの頑固おやじKaziukとその息子Ziutek(Tomasz Jarosinski)は馬車に乗って、森へ木を伐りに行く。その途中で、2人は、謎の浮浪者と出会う。どこから来たのかを訪ねても、"I’m from the World."と答えるだけ。それ以降、村では異常な出来事が起こり始める。

あるときKaziuk一家の馬が子牛を産む。この異変を聞きつけた近所の人たちが集まってきて、ある男がわけのわからないことを言い始める。「悪魔がこの村を通り過ぎた。世界が変わり始める。牛が馬を産み、羊が豚を産み、男は男と寝て、女は女と寝る。太陽は西からのぼり、東に沈む・・・」というようなことを。

そのすぐあとに、村を文明化しようと、都会から男と女がやってくる。その女は教師で、しかも美人だったので、Kaziukは、ことあるごとにエロい夢や妄想に駆り立てられる。なんだかよくわからないが、最終的にその女教師の色気が原因で、村が壊滅したのだと思う。

女教師が村を出て行ってしまうと、Kaziukは、心にぽっかり穴が開いたのか、農業で使うのはタブーとされている(?)死神が持っているような長い鎌の刃を研ぎ始める。その様子を見た村人たち、さらには、映画の冒頭で出会った謎の浮浪者もどこからか現れて、Kaziukに忠告をするのだが、こっちの方が効率が良いといって、Kaziukはその長くて大きな鎌を使ってどんどんライ麦を刈っていく。止めに入った男と争いになって、ついには切りつけてしまう。

変な内容の割には、ラストの大きな木が燃えるシーン、そしてKaziukがただ一人呆然と突っ立っている光景には、妙にじんときた。今ここに書いた以上にいろんなことが起こっていて、書きたいことがまだあるが、上手くまとめられないし、長くなるので、割愛。


2013/08/20

ムーンライズ・キングダム (2012)

Moonrise Kingdom (2012) ★★

カラフルでホップな映像の割には、サム(Jared Gilman
)には両親がいなかったりして、さびしい話だと思った。正直言って全然面白くなかった。サムとスージーが浜辺でディープキスするシーンはなかなかすごいと思った。おっぱいも触っていた。映像がとても綺麗で、特にオープニングなんかは見入った。半ズボン姿のサムの足もきれいだった。(画像1)

とにかくツッコミがまったくない。ボケっぱなし。笑ってしまうぐらい面白いわけでもない。唯一、テントに泊まっていたサムとスージーが大人たちに見つかったときに、おじさんがダッシュで向かってくる場面はツボにはまった。(画像2)

見どころは、ボーイスカウトの制服姿の子供たち。時代設定が古いので、短い半ズボンをはいている。(画像3)これだけの映像美で観られる足。(脚フェチの人向け)それから、スージーの弟3人も可愛かった。(画像4)


2013/08/04

バード★シット (1970)

Brewster McCloud (1970) ★★★

「ハロルドとモード 少年は虹を渡る」のバッド・コート(Bud Cort)主演。ものすごいインパクトだった。登場シーンからとんでもなく不気味な目つき(画像1)。帽子を深めにかぶって、どこかあきらめたような雰囲気で、車を運転するさま(画像2)。そんな彼には空を飛ぶという絶対的な目標があった。その夢を邪魔するものは、次々と死んでいく。ブラックジョークが満載だった。

なかなか説明しづらい物語。盗んだ高級カメラで、動物園の鳥たちを撮影。鳥たちの骨格を研究し、金具で翼を組み立てる。懸垂を数百回こなし、筋肉も鍛える。邪魔をする者の顔の上には、ぼったりと鳥の糞が落ちてくる。次のシーンには、その人は死体になっているのだった。

お気に入りの場面は、夢が叶って、ついに空を飛ぶことの出来たシーン、ではなくて、次第に限界が見えてきて、ものすごく辛そうな悲鳴を上げながらも、必死で翼をはためかせるブルースターの姿。グラウンドに墜落した時の、人工翼の金具が地面にたたきつけられる、カシャーンと虚しい音。そんなラストのせいで、それまでにちりばめられていた笑い以上に、悲しい話になってしまった。

なんとなく、ブルースターを見ていると前向きになった。こういう駄目なやつもいるんだ、というような気持ち。


2013/07/27

甘い泥 (2006)

Adama Meshuga'at (2006) ★★★

イスラエルの「キブツ」という文化について学べる映画だった。冒頭で、キブツについての説明が入る。「キブツは身分の平等に基づく社会主義の共同体だ。大人は共同体によりよく貢献するため親の義務から解放された。1980年代後半まで子供は『子供の家』で育てられ、そこで生活も勉強もした。」とあったが、いまいちピンとこない。

要するに、個人より全体が優先されるのだった。200から300人程度で1つの運命共同体を形成する。みんなで仲良くやっていければいいのだが、はみ出た者には厳しい。

この映画を見る限り、キブツはまるで、抜け出したくても抜け出せない、言ってしまえば得体のしれないコミュニティだった。確かに話だけ聞くと魅力的ではあるが、そう上手くはいかないのだった。ドビル(Tomer Steinhof)の父親は自殺していて、母親は精神的におかしくなっていく。土砂降りの場面が多くて、母親は部屋の中でしんみりとしたクラシックのレコード流している。ドビルに精神安定剤をもらってくるように言う。暗いシーンが続く。

ネットでキブツのことについて調べてみると、一時的にキブツでの生活を体験することができるようだった。観光業が盛んでいろんな国から人がやってくるらしい。この映画でも英語やフランス語など、様々な言葉を話す人たちがいた。


2013/07/21

ザ・チャイルド (2012)

Come Out and Play (2012) ★★

「ザ・チャイルド」 ¿Quién puede matar a un niño? (1976)のリメイクバージョン。映画館で公開されて、そのあとすぐにレンタルショップに並んでいた。76年版を忠実にリメイクしている。一番印象に残っている、男の子が銃殺されるシーンもあった。男の子たちが女の人の死体の服を脱がせているシーンは変わっていた。

やはり、新しさが目立ってしまって、オリジナルの不気味さがなくなっていた。ロケ地は同じなのだろうか。とても美しい島。あんな子供たちさえいなければ行ってみたい。

気味の悪い子供たちと言えば、「最後通告」という映画も思い出す。あの映画では、逆に子供たちが突然いなくなってしまう。うろ覚えだが、たしか子供たちだけの間で変な宗教?みたいなのが流行って・・・だったような。ダークなファンタジーであった。


2013/07/20

キッド・カンパニー (1984)

Kidco (1984) ★★★

農場に住む兄妹4人が会社を立ち上げ、大成功するという話。実話に基づいているとのこと。農場で飼っている馬の糞を利用し、肥料を作ってそれを売るという商売だった。月6000ドルの収益になることも。初めこそ子供の会社なんて気にもしなかった大人たちだったが、多くの収益をあげていると聞きつけると、税金を払っていないなど、いちゃもんをつけ始めるのだった。裁判沙汰にまで発展し、KIDCOをつぶしにかかる。

主役のディッキー(Scott Schwartz)の行動力がすごかった。実際の社会でもディッキーのように活発で口のまわる人が成功していくのだろうなと思った。兄妹はディッキー以外みんな女の子だったが、大変な労働作業にでも引っ張っていく。自分で勝手に契約内容をノートにまとめ、取引先に売り込みに行く。テレビ番組「驚異的な子供」に出演したときには、その達者な口を生かして多くのKIDCO信者を生み出す。後半は会社の存続をかけた裁判が中心。独立意識の高いところがアメリカらしかった。

初めこそ、ぼんやりした雰囲気とテンポに戸惑い、はずれだったかなと思ったが(1円+送料という投げ売り状態だった)、結果的に楽しめた。観ていてにやりとしてしまうような映画だった。この映画が作られた時代、80~90年代のアメリカの少し古臭いファッションだったりインテリアは個人的に好き。


リトル・チュン (2000)

Xilu xiang (2000) ★★★★

香港が舞台の男の子と女の子のラブストーリー。DVDのメニュー画面には「小さな恋のものがたり」と小さくサブタイトルのようなものがつけられていた。イギリスの「小さな恋のメロディ」、アメリカの「小さな恋のものがたり」、そして香港の「リトル・チュン」である。どれも可愛い映画だが「リトル・チュン」では現実の厳しさも突きつけている。

チュン(Yuet-Ming Yiu)は家族が営んでいる食堂の手伝いをしなければならない。お客さんにレモネードを届けるよう言われる。チュンは、分け前を少しやるからということで、気になっていた女の子のファンに手伝いを頼む。2人でいろんなところに配達に行くのは楽しそうだった。

面白かったのが、リトル・チュンの特性カクテル。街を牛耳っている嫌われ者のところには、それを届けるのだった。チュンのおしっこ入りである。それを届けると、吐き出すどころか「一段とうまくなったなあ」と、飲むのである。その男は、つば入りのレモネード、ひどいものでは、使用済みの生理用品入りレモネードなど、ごくごくと飲む。

香港の通りにはごみ袋が積まれてあったり、衛生面の良くないところもあった。不法入国者たちは、狭いあばら家に、家族4,5人で生活していた。子供を学校に行かせる余裕はなく、毎日家事を手伝わしている。


2013/07/17

ティモシーの小さな奇跡 (2012)

The Odd Life of Timothy Green (2012) ★★★

心温まるディズニー映画だった。子供に恵まれない夫婦のところに、小さい男の子ティモシー(CJ Adams)がやってくる。土の中からやってきたその子の足には葉っぱが生えていて、切ろうとしても切れない。逆にハサミが駄目になる。いろんな人と出会うことで少しずつ葉っぱが取れていく。

ティモシーは少し変な男の子だった。雲の間から太陽の光が差し込んでくると、光合成でもするように、両手を広げて気持ちよさそうな表情をする。そんなティモシーを見て眉をひそめる大人たち。

サッカーもへたくそで、いつもベンチでみんなに配る水を用意している。けが人が出て、試合に出場できても、監督からは「そこから一歩も動くな」と指示される。突っ立っていると、「いいぞ、その調子だ、ティモシー!」と、ボールに触ってもいないのに褒められる。そんな風に、ティモシーをないがしろにする大人が目立って残念だった。母親の姉、ティモシーからしたら叔母さん、でさえも嫌味を言ってくる。

ティモシーが現れた時は、これからどうなっていくんだろうと期待が膨らんだが、そこまで盛り上がりを見せるわけでもなく終わってしまった感じだった。


2013/07/15

黄色い老犬 (1957)

Old Yeller (1957) ★★★★★

自然豊かなテキサスで自給自足の生活を送る一家。子供たちはお金を見たことがないほど文明からかけ離れた生活をしていた。あるとき父親は牛を売るために遠くまで出かけることになった。残された母親と兄のトラビス(Tommy Kirk)弟のアーリス(Kevin Corcoran)だけで生活していくのはとても大変。そんな3人のもとに一匹の犬がやってくる。

「仔鹿物語」のように自然の中で生活していく厳しさを実感した。こういう映画は勉強になったりする。たとえば毒をもった獣にかまれたときは、近くの鹿を仕留めて内臓を取り出し、噛まれたところにあてておくと、毒を抜く効果があるらしい。狂犬病にかかった獣はすぐに殺してしまわないと、人間にも感染してしまう。

一家の大黒柱である父親がいないことはかなりの痛手。長男のトラビスが代わりに家族を守っていかなければならない。弟のアーリスは元気はとてもいいけれど、まだまだ子供。初めこそトラビスは、突然やってきた黄色くて醜い犬のことを受け入れられない。そこでイエラーのことを試すために、イエラーの前に肉をぶら下げて、一晩おいておいた。翌朝肉がなくなっていたら、射殺するつもりだった。朝になると銃を構えてイエラーのところへ行くが、何事もない肉の前にちょこんと座っていた。

イエラーは大活躍で、熊に襲われそうになっているアーリスを助けたり、穀物をあさるアライグマを追い払ってくれたりする。しかしついにイエラーの飼い主がやってくる。この人がまた良い人で、アーリアがいつもポケットに入れているトカゲと、イエラーを交換という条件を出してくれる。受け取ったトカゲはあとでそっと逃がしてやるのだった。

オープニングでは、イエラーの歌が流れて、エンディングでは、イエラーが残した子孫の歌が流れる。世代は交代していくのだった。


2013/07/14

キング・オブ・アップルタウン (2009) <未>

The Kings of Appletown (2009) ★★★

ディラン・スプラウス(Dylan Sprouse)、コール・スプラウス(Cole Sprouse)が兄弟そろって出演している。2人のことは海外ドラマ「スイート・ライフ」「スイート・ライフ・オン・クルーズ」でよく見ていたので、それぞれのキャラクターが定着している。この映画の従弟の設定の2人もイメージ通りのキャラクターだったので、ほのぼのした。

ディランがウィルを、コールがクレイトンを演じている。ややこしいので以下は本名で。ディランは運動神経抜群。頼もしい。まだ子供なのに山の中でもバイクを暴走させる。水上バイクの運転もできる。コールはいつもディランの後ろにくっついている。夜中の遊園地でも、先を行くディランの後ろで、「はやく家に帰ろうよ」と、びびりだった。お化け屋敷ではディランにくっついて、ふり払われる。

2人はたまたま殺人現場を目撃してしまう。2万5千ドル相当の金貨が盗まれる強盗殺人だった。一刻も早く犯人を目撃したということを警察に報告すればいいのに、トラブルに巻き込まれるからということで、(ディランはヒーローになりたいという気持ちもあった)自分たちで盗まれた金貨を探し始める。

犯人であるフットボールのコーチのあとをつけて、コーチの手にメモされた18という数字をヒントに、自分たちで推理していく。フットボールのフィールドの18ヤードあたりのところで金属探知機を使い、穴を掘る。スコップがスプリンクラーにあたって破裂し、びしょ濡れになる。

コールの方は、自分には何も取り柄がないと思っていて落ちこみ気味。ネズミが大嫌いで、潜入した犯人の家でネズミと遭遇すると、あとからねちねちと文句を言う。ただコールには、長い間水の中に潜っていられるという特技があった。ラストでは川の底に隠された金貨のケースを引き上げて、手柄を立てる。

大好きな2人が見られて良かった。

天使の詩 (1966)

Incompreso (1966) ★★★★★

「ウインター・ローズ」と同じ話だった。見始めるまで知らなかった。母親を亡くした兄弟とその父親の話。ヘンリー・トーマス君(「E.T.」の男の子)が主役の「ウインター・ローズ (1984)」の方を先に観ていた。こちらは劇場公開はされたものの日本ではVHSにもDVDにもなっていない。

弟のミーロ(Simone Giannozzi)はイライラさせられるぐらい純粋な男の子だった。兄のアンドレ(Stefano Colagrande)はどんなにミーロがしつこくてもやさしくしてあげる。不思議なぐらいだった。彼らの母親は死んでしまった。アンドレだけがそのことを知っていて、ミーロは母親は旅行に行ったのだと思っている。

父親とアンドレの関係は見ていてもどかしい。アンドレが何かをしても裏目にでてしまう。父親の誕生日プレゼントを町まで買いに行くが、ミーロと危険な2人乗りをしていたところを見られてしまい、父親を怒らせてしまう。せっかくのサプライズが台無しになってしまう。父親をびっくりさせようと、朝早くおきて、こっそり車を洗おうとするアンドレだったが、来るなというのにミーロもついてきて、邪魔をする。ミーロはわざと自分に水をかけて風邪をこじらせる。そのことでアンドレが責められる。楽しみだった父親とのローマ行きがなくなってしまう。

美しい豪邸に住む天使のような2人。それだけ見られただけでも満足だった。1966年制作とは思えないぐらい映像がきれいだった(ブルーレイも出ている)。着ているものも上品で、柔道着姿も可愛かった。ミーロがわがまますぎるのが駄目だと思った。

2013/07/12

ロアルド・ダール劇場/予期せぬ出来事 「見知らぬ乗客」

Tales of the Unexpected ★★★

「オーメン2」のジョナサンスコットテイラー君が寄宿舎にやってきた新人を奴隷のように扱う話。20分程度。

「早駆けのフォックスリー」の異名を持つ寮長(Jonathan Scott-Taylor)は、新入生のパーキンズをことあるごとに痛めつける。一日中部屋の掃除をさせた挙句、きれいになっているか確かめるために、白い手袋をつけて、本棚や窓の桟や、椅子の裏側をすうっとなぞる。それでホコリがついているなら、パーキンズを前かがみにさせ、お尻を棒で打つ。大きく助走をつけてばちぃと打つので「早駆けのフォックスリー」と呼ばれているのだった。それで泣いてばかりいると、追加で打たれる。パーキンズにとっては地獄のような日々。

このシリーズの少し皮肉の混じったような終わり方はくせになる。

2013/07/11

FBI 失踪者を追え!S2 #15

"Without a Trace" Wannabe ★★★

1話45分のTVドラマ。シーズン2、15話「少年エリック12歳」。映画とは違ってテンポがいい。サクサクと謎が解けていくので気持ちがいい。

12歳の少年エリックはいじめられっ子。そんな彼が学校のトイレに行ったきり行方不明になる。FBIの手際の良い捜査によりエリック発見までわずか数時間。さすがはFBI、頼もしかった。

ネタバレも含むが、エリックはクラスの好きな女の子にデートに誘われる。放課後に馬小屋に呼び出され、服を脱ぐように言われる。エリックは恥ずかしそうにしながらも、内心は喜んでいた(その後のことを期待して)。しかしパンツ1枚になると、今度は壁のパイプに手首を拘束される。次の瞬間、馬小屋の中に別の女の子が数人入ってきて、ブリーフ一枚で拘束されているエリックは写真を撮られ、辱められる。その写真を翌日クラスの男子全員にメールで回されるのだった。

子供たちの関係(特に女の子)は大人には理解しがたい不気味さがある。今回の事件も些細なことがきっかけで、エリックは自殺まで追い込まれる。

FBIは捜査の際に、「この子を知らないか?」と、エリックが裸で馬小屋に拘束されている写真を見せて回るのだが、別の写真はないのか、と思った。


2013/07/07

小さな目撃者 (1970)

Eyewitness (1970) ★★★★

マーク・レスター(Mark Lester)主演のサスペンス。彼の出演作を観るのはオリバー(1968)、小さな恋のメロディ(1971)に次いで3作品目。なかなかスリリングで引き込まれた。大統領射殺の場面は「パニック・イン・スタジアム」のようなハラハラ感を味わえた。それに加えて、若干のコメディ要素とマーク・レスター君の可愛さが味わえる。

空想に浸りがちのジギー(Mark Lester)は、ありもしないことをいつも吹聴して回るので、オオカミ少年のような状態になっていた。姉の運転する車に乗っているときも、窓から手を伸ばして「HELP!」と書いた紙を通行人に手渡すぐらいのいたずら好き。そんな彼があるとき大統領暗殺の場面を目撃してしまい、犯人から命を狙われることになる。大人たちにそのことを必死で伝えるのだが、日頃の行いが悪いせいで誰にも信じてもらえない。姉に言うとひどいもので、ひっぱたかれて、反省しなさい、と部屋に閉じ込められてしまう。

ジギーが助けを求めた近所の女の子は、彼の言うことを信じて警察に報告しに行くのだが、犯人に見つかり射殺されてしまう。あんなに小さな女の子を死なせてしまうのには少し驚いた。主に夜中に展開していく話なので街は常に暗く、ジギーのおびえた表情が際立っていた。昼間は、地中海を望むきれいな街を堪能できる。

ジギーのおじいちゃんがナイスキャラだった。行きずりの男、もともとナンパ目的でジギーの姉をつけてきた、とのやり取りも面白かったし、おびえきって涙を流しているジギーを救出する場面では頼もしかった。ジギーが「ヒトラーがいるよ」と言い、おじいちゃんが周りを見渡して目を疑って終わるラストが印象に残った。


ミフネ (1999)

Mifunes sidste sang (1999) ★★★★

少し前に黒澤明監督の「用心棒」を観た。名前だけは知っていた三船敏郎のことをちゃんと見た。この映画の中に三船敏郎が登場してくるというのでレンタルしてきた。トシロー・ミフネは海外の作品でも取り上げられるような偉大な役者さん。この映画でどのような役どころとして登場してくるかというと、主役のクリステンと知的障害のある兄のルードが、幼い時に「トシロー・ミフネ」ごっこをして遊んでいた、というただそれだけ。2人にとって「ミフネ」は、幼い時からずっと共有している思い出だった。

父親が死んでしまい、クレステンは田舎にある農場に帰省する。父親の死体が置かれているテーブルの下から、ひょっこりと兄のルードが顔を出す。兄弟の再開。

ルードは勝手にクレステンの有り金を宝くじに使い込んでしまう。クリステンはどうしようもなくなり夜中に一人でワインを開けるが、その宝くじが大当たり。ルードのことを世話してくれるメイドを雇うことにする。

やってきたメイドは風俗嬢。「なんというか、もっとふとったおばさんを想像していたよ」と、クレステンはやってきたリーバを見て言う。そのあと、リーバの息子のビアーケも古ぼけた農場にやってきて、4人で生活し始める。

ビアーケは悪がき。おかしなルードをからかう。そうしている間に2人はとても仲良しになる。「スリング・ブレイド」「ジャック」、のような友情。ほのぼのとした良作だった。

2013/07/01

スタンリーのお弁当箱 (2011)

Stanley Ka Dabba (2011) ★★★

なかなか観ないインド映画。「ミュージカルがない、スターがいない、・・・」とキャッチコピーがつけられている。インド映画と言えば、歌って踊るのが普通なのかな。

少し変わった映画で映像が綺麗。コミカルで笑える場面もあった。「プチニコラ」みたいだった。インドの小学校を舞台に、休み時間と休日を少しずつ利用して、トータル5時間以内で撮影したということだった。(たしか最後にそう表示された)

面白かったのが、アモール・グプテ監督が自ら演じる国語教師。人にお弁当を分けてもらうことばかり考えている。授業中に早弁している生徒がいると、(早弁という言葉がなつかしかった)匂いを嗅ぎつけて、授業を中断。ハンカチで口周りをやたらと拭いながら、生徒たちに向かって怒鳴る。ついには授業をほっぽりだして教室を出ていく。それでどこにいくのだろうと思って観ていたら、職員室に戻り、他の先生の弁当を探し当て、勝手につまみ食いを始める。さらに、お弁当を持って来られないスタンリー(Partho A. Gupte)に、クラスのみんなが食べ物を分けているのを見つけると、「俺によこせ」と、まるでジャイアンだった。学校の先生がである。昼休みは、先生と子供たちの弁当の攻防戦。子供たちは毎日場所を変えて、隠れて昼食をとらなければならない。生徒たちの弁当にありつけなかった先生は次の授業で、ねちねちと「どこで食べてたんだ」などと言い迫る。

学校にあんな先生がいたらとんでもない。「弁当を持って来れないやつは学校に来る資格はない」とまで言う。自分が食べたいからである。どうしてあの先生は弁当を持ってこないのか謎だった。いつも4段重ねのお弁当箱を持ってきて、携帯電話まで持っているぽっちゃり系のアマン君が可愛かった。

2013/06/29

トムとトーマス (2002)

Tom & Thomas (2002) ★★★★★

トムとトーマスの2人をアーロン・ジョンソン君が演じている。内容がどうのこうのの前に、この子がものすごく可愛い。今は結婚していて、アーロン・テイラー・ジョンソンと名前が変わっている。こんなに可愛い子がもう結婚しているのか、と10年前のこの映画を観ながらしみじみした。彼は、子役時代でお終いの俳優ではなく、最近の作品にも出演していて、「キック・アス」では主役級だった。さえないオタク青年を演じていて、ポルノを見ながらオナニーしていた。こんなに可愛い子が・・・と、ここでも寂しさを覚えた。

アーロン君の魅力たっぷりだった。表情やセリフの言い回しなど流石で、今でも活躍していることがうなずけた。映画初出演だということでますます才能を感じた。ただ、可愛い雰囲気の割には、人身売買がテーマとなっていて、意外とえぐい。麻酔を打たれて、動物たちと一緒に飛行機に乗せられる。トムの背中には、孤児院で打たれた鞭の痕が、痛々しく残っている。

トムとトーマスが出会う場面が良かった。一瞬で意気投合し、街をころころと駆け回っていく姿にはほのぼのした。それから誕生日パーティー。2人いることがばれてはいけないのでトーマスは宇宙服をかぶって出て行く。ラストもそうだが、ここもスリリングだった。

数年前に初めてこの映画を観たときは、子供向けなのかなと、あまり期待せずに見たが、思った以上に面白くて感動したことを覚えている。今回も間違いなく面白かった。お勧めできる一本。

2013/06/25

バダック 砂漠の少年 (1992)

Baduk (1992) ★★★

父親を事故で失い、バダック(運び屋)として、売り飛ばされる少年ジャファル(Mehrolah Mazarzehi)。唯一の肉親である妹とも引き離されてしまい、妹との再会を望み各地を行き来する。

「オリバー・ツイスト」のような話で、孤児オリバーの場合は街をうろうろしているところを捕らえられたが、この映画のジャファルと妹は、砂漠をさまよっているところを、金目当ての大人に捕まって、売り飛ばされてしまう。ジャファルは運び屋に、妹は、娼館のようなところに。

ジャファルを運び屋として買い取った集団の中には、「オリバー・ツイスト」で言うところのジャックのような、ずっとその道を生き抜いているユセフという名の少年がいて、彼からいろんな情報を聞き出す。ユセフは親切だったが、雇い主の大人2人に殺されてしまう。裸足の足を踏みつけられ、ロープで首を絞められる場面は衝撃的だった。

ジャファルは、妹に会いたい一心で、運び屋の組織を命がけで抜けてくる。しかし、行く先々で大人たちに騙されてばかり。今回も罠なんじゃないかと、観ていてひやひやさせられた。例えば、鉄線を掻い潜って国境を超えるのだが、先に超えてしまった者は、残された者のことなどどうでもよく、振り返りもしないで走り去ってしまう。

この映画みたいに、実際に子供たちが売買されるようなことが、今のイランの子供たちにも起きているなら大変なことだ。印象的だったのは、トラックの荷台に載せられた数十人の子供たちが、荷台から飛び降りる場面。みんな道路に体を打ち付けていた。とても危険な撮影だったのだろうと思う。そのあと、重い荷物を背負った子供たちは、全速力で荒野を駆け抜けていく。中には倒れてしまう子もいるような場面を、スローモーションで淡々と映し出すあのシーンはじんと来た。

2013/06/20

青きドナウ (1962)

Almost Angels (1962) ★★★★

ずっと観たいと思っていた映画。ディズニーだしウィーン少年合唱団だし、観たい人は少なくないと思うが、DVDになっていないしVHSですら見つけることが困難なのは不思議。

子供たちがワイワイとしていて楽しそうではあったが、その裏には声変わりをしてしまえばお終いという現実があって、切なかった。とてもきれいな声なのだが、心の底から楽しめないというか、例えば旅行に行って、その時は楽しいが、あと数日で帰らなければならないということを考えてしまった時のよう。そんな儚いところもまた良いのだろうけれど。

主役のトニー(Vincent Winter)はオーディションをパスし、あこがれのウィーン少年合唱団に入団する。世界各国を飛び回り、歌うことが出来る。ずっと一緒に生活している仲間といろんな国へ行けるのはすごく楽しいだろうなと思った。歌のレッスンの途中に、次の公演はどこですか?と先生に聞いたりしていて、海外に行けることが歌うこと以上に楽しみな様子だった。

ただ、年長のメンバーの中には、間もなく声変わりを迎えそうな子もいる。高い声が出なくなってしまったらツアーについて行く必要もなくなる。旅立つ直前に声が変化してしまったピーター(Sean Scully)を、みんなでかばう。口パクで歌わせ、後ろで別の子が歌うという作戦を立てるが、さすがに上手く行かない。そこまでして仲間を想う団結力にじんときた。

終わりが見えている少年合唱団に入団することはある意味残酷だなと思った。しかし劇中でも話題になっていたが、フランツ・シューベルトはもともとウィーン少年合唱団の一員だったらしい。声変わりを迎えて一度は挫折を味わうが、その後、彼のように偉大な音楽家になる生徒は多い。ふてくされないことが大事。


2013/06/10

リトル・ブッダ (1993)

Little Buddha (1993) ★★

allcinemaの解説の書き出しに、「世評は必ずしも芳しくなかったが、」とある。たしかに退屈した。宗教が絡んだ作品は多いが、仏教を取り上げたこの作品は、何となく日本人としてなじみやすい考え方だと思った。森にこもってずっと静かにしているなんて、西洋の人たちにとっては考えられないことかもしれない。

アメリカに住むジェシー(Alex Wiesendanger)の所にいきなりお坊さんたちがやってきて、だれだれの生まれ変わりだ、と言われる。意外にもジェシーの両親はちゃんと話を聞き、父親はジェシーを連れてブータンに飛ぶ。

現地に着くと、ジェシーは他の生まれ変わりの候補者2人と一緒になる。さまざまな試練(?)を乗り越えて、結局3人とも生まれ変わりだということに。

シッダールタを演じていた俳優がかっこいいなと思ったら、キアヌ・リーヴスだった。アジアっぽい顔をしていると思ったのはメイクのせいだった。西洋の人たちから見た仏教の話という感じだった。


2013/06/08

山河遥かなり (1948)

The Search (1948) ★★★★

戦争によって母親と離ればなれになってしまったカレル少年(Ivan Jandl)と、彼を保護したアメリカ兵ラルフの交流を描く。

カレルの母親は当てもなく街を歩きまわり、息子を捜す。一度は同姓同名の子を施設で見つけるが、別の子だった。「チェンジリング」の母親とよその子の再会の場面を思い出した。あの映画では失望感が強調されていたような気がしたが、こっちの母親は、別人が目の前に現れてきても、そこまで取り乱すことはなかった。

カレルははじめ、口を利くことが出来ず、大人に怯える姿など、まるで動物のようだった(「野生の少年」の子を思い出した)。パンで引き付けられて、捕まえられると、腕の中で暴れまくる。収容所の体験で大人は悪者ばかりだと思っていた。アメリカ兵のラルフは息子同然のようにいろんなことをカレルに教える。カレルもそれにこたえ2人はとても仲良くなる。ラルフがとてもかっこよかった。

最後はもっと感動的に演出できたのではないかと思う。しつこ過ぎるのもあれだが、ラストを迎えるまでが見事だったので、多少あっけない感じがした。最高のハッピーエンドだが、ラルフとカレルが別れてしまうのは残念だと思っていたので、その場面まで映さず、最高潮に達したところでのThe Endの画面は良かったと思う。